食品照射に関する文献検索

健全性(WHOLESOMENESS):毒性・微生物学的安全性、栄養学的適格性を総合した考え方

毒性に関する研究(変異原性を含む)


発表場所 : 食品照射研究運営会議
著者所属機関名 : 国立衛生試験所
発行年月日 : 昭和46年 6月30日
4. γ線照射馬鈴薯の安全性に関する研究
1. 総論
1 緒言
2 試験研究の概要
(1) 試験研究の実施場所
(2) 設備
(3) 試験方法
(a) 検体試料
(b) 検体投与方法
(c) 動物
(d) 試験種目
(e) 観察および測定項目
2. マウスによる次世代試験
1 試験方法
(1) 実験動物
(2) 試料
(3) 観察項目
2 試験結果
(1) 一般症状
(2) 体重増加(第1図、第2図)
(3) 摂飼量、摂水量(第3図)
(4) 哺育率(生後3週令までの)
(5) 死亡率(第1表)
(6) 剖検所見(第2表、第3表)
3 小括
3. サルによる短期毒性試験
1 試験方法
(1) 実験動物
(2) 試料
(3) 実験群別
(4) 観察項目
(a) 体重測定
(b) 摂餌量及び摂水量
(c) 一般症状
(d) 血液形態学的検査
(e) 臨床生化学的検査
(f) 病理組織学的検査
2 試験結果
(1) 体重増加(第1図、第2図)
(2) 摂餌量、摂水量(第1図、第2図)
(3) 一般症状
(4) 血液形態学的検査(第1表)
(5) 臨床生化学的検査
(6) 病理組織学的検査(第3表)
3 小括
4. マウスによる慢性毒性試験
1 一般症状
2 体重
3 摂餌量
4 死亡率
5 臓器重量
6 剖検所見
7 自然死亡動物の剖検所見
8 病理組織学的所見
9 腫瘍
10 小括
5. ラットによる慢性毒性試験
1 一般症状
2 体重
3 摂餌量および摂水量
4 食餌効率
5 死亡率
6 血液形態学的検査
7 血液生化学的検査
8 臓器重量
9 剖検所見
10 自然死亡動物の剖検所見
11 病理組織学的検査
12 腫瘍
13 小括
6. 結語



放射線照射による馬鈴薯の発芽防止に関する研究成果報告書[付録]−4.安全性に関する研究


4. γ線照射馬鈴薯の安全性に関する研究
1. 総論
1 緒言

 γ線を照射した馬鈴薯の安全性を調べるために、動物による長期飼育試験および次世代試験を中心に4種の毒性試験を行なった。

2 試験研究の概要
(1) 試験研究の実施場所

 東京都世田谷区上用賀1−18−1  国立衛生試験所

(2) 設備

 国立衛生試験所毒性部試験研究室および各種試験用器具機械ならびに附属動物室(室温25±1℃、湿度55±5%、100%新鮮空気調和)

(3) 試験方法
(a) 検体試料

 昭和42年の秋、北海道で収穫した男爵種馬鈴薯22,000kgを原子力研究所高崎研究所に移し、これを4等分して同所コバルト棟において、0、15、30および60kradのγ線照射を行なった。照射を終了したこれらの馬鈴薯を島根県出雲市に輸送し、同市に所在する乾燥工場で薄片状に切断し、80℃前後で熱風乾燥化した。このとき歩止り、13%、水分量5%であった。乾燥馬鈴薯は一定規格(20kg収容)の除湿容器に分別収納し、都内晴海の日本通運倉庫に運び、2±0.5℃、湿度29±1%の低温室に貯蔵し、要に応じて分出した。

(b) 検体投与方法

 分出した乾燥馬鈴薯を粉末化し、3種の動物用飼料原末に重量比で35%の割合に混合した後、水を加えて成型し、60℃前後で熱風乾燥を行ない固形添加飼料とした。この水分量は5%であった。固形添加飼料を動物に与え、自由に摂取させた。

 なお、3種の動物用飼料原末および乾燥馬鈴薯の成分々析値は、第1表に示すとおりである。


第1表 動物用飼料原末および乾燥馬鈴薯の成分分析値
  成 分  
       
       
    マウス・ラット    
 サ ル 
乾燥馬鈴薯
     
     
飼育用(M) 
繁殖用(NM)
 飼育用 
水分     
  7.0  
  7.0  
 4.82
 5.0 
粗蛋白質   
 24.2  
 26.5  
25.72
 6.0 
粗脂肪    
  5.5  
  6.1  
 4.63
 0.6 
粗灰分    
  6.2  
  6.5  
 5.65
 2.3 
粗繊維    
  4.5  
  4.1  
 3.16
 3.5 
可溶性無窒素物
 52.6  
 49.8  
56.02
82.6 


(c) 動物

 船橋農場産の生後4週令のdd系マウス雄雌おのおの200匹、当毒性部で継代維持するdde系マウス雄雌あわせて41匹、船橋農場産の生後4週令のWistar系ラット雄雌おのおの150匹及び日本モンキーセンター経由の輸入アカゲザル(macaca mulatta)雄5頭(2〜3才、体重1.65〜2.30kg)を用いた。

(d) 試験種目

 実施した毒性試験は4種でその内容をTable2に示す。

 なお、各試験での群別は馬鈴薯非添加飼料を与えるものを対照群(C)とし、非照射馬鈴薯添加群をP−0,15、30および60krad照射馬鈴薯添加群をおのおのP−15,P−30,およびP−60とした。P−0,P−15,P−30,P−60を総称して添加群と呼ぶ。


第2表 試験種目との内容
  試  験  
        
        
期間(月世代)
       
       
         使 用 動 物 種 (飼 料)         
マウス 
  ラット  
   サ ル   
   群構成    
短期毒性試験  
        
   6   
       
 −  
    
   −   
       
m.mulatta
  (サル用)  
P−0、P−60  
          
慢性試験    
        
  21   
       
dd系 
(M) 
   −   
       
    −    
         
C、P−0、P−15
P−30、P−60 
慢性試験    
        
  24   
       
 −  
    
wistar系
  (M)  
         
         
C、P−0、P−15
P−30、P−60 
世代試験    
(兼催奇型試験)
  F3   
       
dde系
(NM)
       
       
         
         
C、P−0、P−60
          


(e) 観察および測定項目

 一般症状、体重、摂餌量および摂水量を原則として週1回記録し、ラットにおいては体重、および摂餌量から次式によって食餌効率を計算した。

  食飼効率 = (体重−初期体重)g / 摂餌量 g

 死亡動物を毎日(日曜日を除く)調べ、さらに一定時期に血液の生化学的ならびに形態学的検査と病理組織学的検査を行なった。血液形態学的検査は動物を解剖する1週間前に、サルでは前腕頭静脈、ラットでは尾静脈より採取した血液について次の各検査を実施した。

  赤血球および白血球数  : トーアミクロセルカウンター

  総ヘモグロビン量(Hb): シアンメトヘモグロビン法

  ヘマトクリット値(Ht) : 毛細管遠心法

  網状赤血球数      : 超生体染色法

  白血球像(百分比)   : 塗沫標本

 また血液生化学的検査はサルでは形態学的検査を行なったと同一の血液について、ラットでは解剖時の断頭によって採取した血液についておのおの次の諸検査を行なった。

 血糖値 : glucose oxidase法

 総蛋白量 : 屈折蛋白計

 A/G比 : 電気泳動法

 総コレステロール量 : Zak法

 尿素窒素 : Chen−Sharton法

 アルカリフォスファターゼ : Kind & King法

     (ALP)

 トランスアミナーゼ : Reitman−Frankel法

 (GOTおよびGPT)

 さらに一定時期に各群の動物の一部、また試験の最終期には生存していた全部の動物をマウスおよびラットでは断頭、サルでは溶性バルビタール麻酔下に頸動脈切開放血によりおのおの殺し、組織および臓器の肉眼的所見を記録した後、主要臓器(脳、心、肺、肝、腎、脾、睾丸、卵巣および内分泌腺)の湿重量を秤量し、さらにこれら臓器を10%ホルマリンおよびZenker−Formolに固定し、顕微鏡的検査に備えた。

 なお世代試験の項目については、結果報告で述べる。

2. マウスによる次世代試験
1 試験方法
(1) 実験動物

 毒性部で系統維持している自家産のdde系マウスを兄妹交配した均一系を生後8週令の性成熟期まで育成し、8週令の時点で対照群、非照射群、60krad照射群の親動物(P)として、各群に雌23匹、雄18匹を配分して実験を開始した。親動物は検体投与1カ月で交配し、妊娠動物は半数に2分し、交配翌日腟栓を認めた日を妊娠0日として基算し、出産前日の18日目に1群は催奇形性実験のため解剖、他の1群は、1代目(F1)を19日目に出産させた。新生仔は親動物のもとで3週間哺乳し、この時点で離乳、親動物と別居させ同時に雌雄各々同腹のものを別ケージで8週令まで育成後、兄妹交配し、妊娠動物はP同様に2分し、1群は催奇形性実験用、1群は2代目(F2)を出産させた。同様にF2より3代目(F3)を出産させ、F3が3週令の離乳期まで育成した時点で、親および仔を解剖した。以上の 実験は当所の次世代実験動物室、室温25℃±1℃、湿度55%±5%、点燈時間12時間、照度150ルックス以下、騒音約50ホーン以下の環境下で繁殖用ケージを用いて行なわれた。

(2) 試料

 非照射乾燥馬鈴薯とγ線を60krad照射した乾燥馬鈴薯を、粉砕機を用いて粉末化し、マウス、ラット繁殖用飼料(NMF)に重量でそれぞれ35%の割合で添加した後、固型飼料製造機によって固型化し、前者を非照射群(P−0)、後者を60krad照射群(P−60)とした。対照群(C)は前記のマウス、ラット繁殖用飼料(NMF)で、投与方法は、各群の親動物(P)の全数が8週令の時点になるまでNMF飼料を与え、以後対照群にはNMF飼料を、また検体飼料P−0,P−60は、親動物の投与開始時から第3代の解剖時まで与え、それぞれ自由に摂取させた。

(3) 観察項目

 体重測定はPにおいては8週令から1週間に1回12週まで、F1、F2では生後1週令から8週令まで、またF3では生後1週令から3週令まで週1回測定した。

 摂飼量、摂水量は、Pでは8週令から11週令まで、またF1、F2では離乳後の4週令から7週令までであり、F3では離乳時に解剖するため、測定が不可能である。

 一般症状について観察を行なったが、主として妊娠率、出産仔数、哺育率、離乳時の体重などを重点に調べた。またF1からF3までの死亡率も記録した。

 一方催奇形性実験のために出産直前に解剖した動物は、医薬品の催奇形性試験法に準じた解剖時の剖検所見と、胎仔の外形検査およびアリザリンレッドS染色による骨格標本検査を行なった。

2 試験結果
(1) 一般症状

 試験開始の親動物8週令時から、F1、F2、F3まで特記すべき症状は、なんら認めなかった。

(2) 体重増加(第1図、第2図)

 雌雄ともPでは、検体投与の8週令から、交配時の12週令まで測定したが、この時期は動物の成長がほぼ成長しつくした時点なので、体重増加量が少ないが、対照群と添加群、添加群でもP−0とP−60との間に差が見られない。またF1、F2の成長曲線、体重増加量においても対照群に比較して添加群の方が極くわずかに低くなっているが、添加群のP−0,P−60の間にほとんど差が見られない。なおF3(離乳前)の3週令の時点まででは、むしろ対照群の方が低いカーブである。


図1 成長曲線(雄)



図2 成長曲線(雌)


(3) 摂飼量、摂水量(第3図)

 摂飼量では、雌雄ともP、F1、F2を通じて対照群より添加群の方がやや多い摂飼量を認めている。摂水量は、ばらつきの大きいもので一定の結果を得てないが、雌雄とも対照群との間に著明な差が見られない。なおF3は離乳期までであるので記録されてない。

              P

   対照    23/23(100%)

   P−0   21/21(100%)

   P−60  18/18(100%)

             F1

   対照    21/21(100%)

   P−0   20/20(100%)

   P−60  16/16(100%)

             F2

   対照    20/20(100%)

   P−0   29/32(90.6%)

   P−60  23/26(88.4%)

        *交配後1匹死亡のため交配数より1匹減

 前項において、交配確認された匹数の妊娠率で、対照群はP、F1、F2を通して100%の妊娠率を示し、添加群ではP、F1が100%であったが、F2においてやや低い妊娠率であるが、一般に実験動物の妊娠率は90%前後と云われていることと、添加群のP−0とP−60との間にほとんど差がみられない、などからして照射馬鈴薯が妊娠に及ぼす影響は見られなかった。


図3 摂水量および摂餌量


(4) 哺育率(生後3週令までの)

              F1

   対照    82/87(95.4%)

   P−0   97/102(95.1%)

   P−60  88/99(88.9%)

              F2

   対照    84/87(96.6%)

   P−0   85/85(100%)

   P−60  82/83(98.8%)

              F3

   対照   103/105(98.1%)

   P−0  103/107(96.3%)

   P−60  77/82(93.9%)

 F1、F3のP−60群において、対照群やP−0群よりやや低い値を示したが、実験動物の正常離乳率に比較してもかなり高率であるので、照射馬鈴薯による影響とは考えられない。

(5) 死亡率(第1表)

 F1、F2、F3の出産時から離乳時までの3間の死亡率を見ると、F1、F3で対照群の4.6%、1.9%であるのに対し、P−0群では5.0%、3.7%とやや多く、またP−60群では11.2%、6.1%と前二者よりまたやや多い。しかしF2では対照群の3.4%に対し、P−0群で0%、P−60群で1.3%の結果を得、離乳期までの死亡率はP−60群にやや多い傾向が見られた。また離乳後から交配期(8週令)までの死亡率を見るとF1、F2とも対照群では0%であるのに対し、添加群のF1でP−0群2.2%、P−60群4.8%、F2でP−0群2.5%の死亡率を見ている。


第1表 新生仔の成長に及ぼす影響
           週  令
  1W  
      
      
  2W  
      
      
  3W  
      
      
 8W(雌)  
 8W(雄)  
哺育率(%) 
       
       
生存率(%)
   
   
世代
群  別        
数 
 体 重 
数 
 体 重 
F1
  
  
  
  
  
  
  
Cont.
     
 87/ 9
 (9.7)
 4/ 87
(4.19)
 4/ 87
(6.19)
 4/ 87
(8.19)
48
  
25.08
     
35
  
29.78
     
 83/ 87
 (95.4)
83/ 87
(95.4)
P−0  
     
102/14
 (7.3)
 5/102
(4.00)
 5/102
(5.70)
 5/102
(7.50)
45
  
24.30
     
51
  
26.50
     
 97/102
 (95.1)
96/102
(94.1)
P−60 
     
 99/11
 (9.0)
10/ 99
(4.20)
11/ 99
(5.60)
11/ 99
(7.40)
40
  
24.20
     
46
  
26.50
     
 88/ 99
 (88.9)
86/ 99
(86.9)
F2
  
  
  
  
  
  
  
Cont.
     
 87/11
 (7.9)
 0/ 87
(4.39)
 2/ 87
(6.43)
 3/ 87
(8.51)
45
  
24.90
     
39
  
28.70
     
 84/ 87
 (96.6)
84/ 87
(96.6)
P−0  
     
 85/10
 (8.5)
 0/ 85
(3.63)
 0/ 85
(6.20)
 0/ 85
(8.10)
45
  
23.80
     
39
  
28.20
     
 85/ 85
(100.0)
84/ 85
(98.8)
P−60 
     
 83/11
 (7.7)
 0/ 83
(4.23)
 1/ 85
(6.14)
 1/ 83
(7.84)
39
  
25.80
     
43
  
26.50
     
 82/ 83
 (98.8)
82/ 83
(98.8)
F3
  
  
  
  
  
  
  
Cont.
     
105/11
 (9.6)
 0/105
(4.00)
 0/105
(5.30)
 2/105
(8.00)
                 
                 
                 
                 
                 
                 
                 
                 
103/105
 (98.1)
   
   
   
   
   
   
   
   
P−0  
     
107/14
 (7.6)
 0/107
(4.40)
 3/107
(6.60)
 4/107
(8.60)
103/107
 (96.3)
P−60 
     
 82/12
 (6.8)
 0/ 82
(4.50)
 5/ 82
(6.80)
 5/ 82
(9.10)
 77/ 82
 (93.9)


(6) 剖検所見(第2表、第3表)

 各世代の妊娠動物の半数は催奇形性実験のため交配後腟栓確認した日を妊娠0日と基算して18日目に妊娠動物の頸椎脱臼によると殺後、母獣開腹して子宮を摘出し、諸検査を行なった。平均着床数はP、F1、F2の各世代の対照、P−0、P−60各群間には差が見られなかった。胎盤遺残数はPで対照群が1例に対し、添加群各5例で多いが、P−0群とP−60群では同数であり、F1においては対照群が3例と多いが、P−60群では0である。またF2においても対照群が一番多く、次でP−0群、P−60群と云う順である。浸軟胎仔数についても胎盤遺残とほぼ同様なことが云える。ここに示されている両者の数字は平均着床数から見て、通常催奇形性試験によく見られる数値で、特に変化あるものとは思われない。被検胎仔数は、総着床数から胎盤遺残数と浸軟胎仔数を引いたものである。この数値を妊娠母獣数で割ったものが、1腹の平均胎仔数である。摘出された被検胎仔を肉眼的に発育遅延胎仔と外形異常胎仔の有無を検査したところ、P、F1、およびF2の各世代のP−0群、P−60群のいずれでも0例であった。これらの外形正常胎仔の1匹当りの胎仔平均重量は1.1g前後で、ここでも各世代、各群の間には差が見られない。アリザリンレッドS染色の骨格標本検査では頭部、躯幹、四肢に分け、頭部ではF1、F2、F3および3週まで育成した仔(F3’)において1例も異常例はなかった。また四肢においては、F1、F2各群間に異常例を認めず、F3においてP−0群、P−60群におのおの1例、1仔を認め、F3’では各群間とも異常例はなかった。躯幹においてはF1、F3およびF3’において対照群に比較し有意な差は見られなかった。F2においては、P−0群において対照群よりも多く異常例、異常仔を見ているが、P−60群で対照群より少ない異常例、異常仔が見られた。なお参考までにF1、F2、F3およびF3’における異常仔平均体重と、正常仔平均体重にも差が認められなかった。以上のことから、γ線照射馬鈴薯による影響を受けたと見られる異常例は認めなかった。


第2表 照射馬鈴薯世代試験剖検総括表
   世   代   
             P/F1               
             F1/F2            
             F2/F3              
   群   別   
  Cont.   
   P−0    
   P−60   
  Cont.   
   P−0
   P−60   
  Cont.   
   P−0    
   P−60   
妊娠動物数      
    10    
     7    
     7    
     9    
    10
     5    
    10    
    15    
    11    
剖検時平均体重(g) 
49.11±3.52
51.07±1.68
47.39±6.39
47.66±6.45
47.74±3.54
50.16±3.40
49.07±3.71
46.43±2.82
46.75±3.95
総着床数       
    99    
    76    
    75    
    98    
   103
    54    
   116    
   147    
   122    
平均着床数      
 9.90±1.85
10.86±1.07
10.71±1.89
10.88±1.17
10.30±2.71
10.80±1.79
11.60±1.51
 9.80±1.74
11.09±2.02
胎盤遺残数      
     1    
     5    
     5    
     3    
     1
     0    
     7    
     4    
     3    
浸軟胎仔数      
     2    
     5    
     7    
     4    
     6
     2    
     3    
    12    
     4    
被検胎仔数      
    96    
    66    
    63    
    91    
    96
    52    
   106    
   131    
   115    
発育遅延胎仔数    
     0    
     0    
     0    
     0    
     0
     0    
     0    
     0    
     0    
外形異常胎仔数    
     0    
     0    
     0    
     0    
     0
     0    
     0    
     0    
     0    
外形正常胎仔数    
    96    
    66    
    63    
    91    
    96
    52    
   106    
   131    
   115    
同腹平均仔数     
     9.6  
     9.4  
     9.0  
    10.1  
     9.6
    10.4  
    10.6  
     8.7  
    10.5  
生存胎仔平均重量(g)
 1.26±0.11
 1.26±0.14
 1.21±0.14
 1.23±0.22
 1.15±0.13
 1.19±0.18
 1.13±0.11
 1.14±0.16
 1.07±0.10



第3表 照射馬鈴薯の世代試験骨格検査
世代 
   
   
 群   
     
     
検査仔数
    
    
 頭 部 
 躯 幹 
 四 肢 
異常例数
    
    
異常仔数
    
    
異常仔  
平均体重 
     
正常仔  
平均体重 
     
例数
仔数
例数
仔数
例数
仔数
F1 
   
   
   
   
Cont.
 96 
0 
0 
 4
 4
0 
0 
  4 
  4 
1.209
1.269
P−0  
 66 
0 
0 
 8
 7
0 
0 
  8 
  7 
1.17 
1.26 
P−60 
 63 
0 
0 
 6
 5
0 
0 
  6 
  5 
1.18 
1.21 
F2 
   
   
   
   
Cont.
 91 
0 
0 
 7
 7
0 
0 
  7 
  7 
1.21 
1.23 
P−0  
 96 
0 
0 
12
11
0 
0 
 12 
 11 
1.10 
1.15 
P−60 
 52 
0 
0 
 3
 3
0 
0 
  3 
  3 
1.23 
1.19 
F3 
   
   
   
   
Cont.
106 
0 
0 
 2
 2
0 
0 
  2 
  2 
1.20 
1.13 
P−0  
131 
0 
0 
 3
 3
1 
1 
  4 
  4 
1.05 
1.14 
P−60 
115 
0 
0 
 6
 5
1 
1 
  7 
  6 
1.01 
1.07 
F3 
(1)
   
   
   
Cont.
103 
0 
0 
 5
 5
0 
0 
  5 
  5 
7.96 
8.00 
P−0  
103 
0 
0 
 6
 6
0 
0 
  6 
  6 
9.68 
8.60 
P−60 
 77 
0 
0 
 4
 4
0 
0 
  4 
  4 
9.70 
9.10 


3 小括

 マウスによる照射馬鈴薯の三代にわたる次世代に及ぼす影響を検討したところ、各世代における妊娠率、出産仔数、哺育率、成長、生存率等において、照射によると考えられる影響が認められず、また各世代において奇形発生が見られなかった。(池田良雄、堀内茂友、吉本浜子、降矢 強、川俣一也、金子豊蔵、長谷川愛子、水本美江)

3. サルによる短期毒性試験
1 試験方法
(1) 実験動物

 実験に用いたサルは日本モンキーセンターで検疫済みの輸入アカゲザル(Macaca mulatta)の雄性で、推定年令2〜3才、体重1.65kg〜2.30kgのものを購入し、当所のサル舎、温度25℃±1℃、湿度55%±5%の環境下で実験開始まで馴化飼育した。

(2) 試料

 γ線を60krad照射した乾燥馬鈴薯を粉砕機を用いて粉末化し、サル用飼料(船橋農場サル固型飼料の粉末)に重量で35%の割合で添加した後、固型飼料製造機によって固型化し、この時の水分量は5%であった。これを検体(添加飼料)として実験群に与え、対照群には非照射の馬鈴薯を同じく35%含有する固型飼料を与え、それぞれ自由に摂取させた。

(3) 実験群別

 実験に用いた動物と被検体の群別は次のように分けて行なった。

 Monkeys Sex  Body    Group

   No.       Weight

  ・1      雄   2.30kg  対照群(P−0)

  ・2      雄   1.65    対照群(P−0)

  ・3      雄   2.10    実験群(P−60)

  ・4      雄   1.95    実験群(P−60)

  ・5      雄   2.20    実験群(P−60)

 上記に示すように5頭のサルを2頭と3頭の2群に分け、前者には非照射馬鈴薯添加飼料(P−0)を、また後者には照射馬鈴薯添加飼料(P−60)を6ヶ月間与え、その期間中の体重、摂餌量、摂水量、一般症状を調べ、さらに6ヶ月間中、同一動物の試験開始前および、試験期間中に、血液形態学的検査では4回(−1日、45日、90日、180日)、臨床生化学的検査では3回(−1日、90日、180日)を行ない、6ヶ月目に動物を殺し、解剖時の肉眼的剖検所見をとり、病理組織学的検査を行なった。

(4) 観察項目
(a) 体重測定

 1週2回(火、金曜日)規則正しく測定を行なった。すなわち測定日、時間は個別飼育ケージから集団飼育室に戻す午後4時頃に行ない、測定法はサルのトレーニングと著者らのところの飼育室の扉の特殊構造と自動台秤に三方を金網で囲んだ秤をセットして正確に測定した。

(b) 摂餌量及び摂水量

 測定は日曜日を除く毎日行なわれ、方法は両群のサルを午前9時に1頭ずつ個別飼育ケージに入れてから、群別に添加飼料150gを与え、7時間後の午後4時に摂取量を測定した。摂水量についても摂餌量測定とまったく同様に行なった。また、測定時間外はそれぞれの集団飼育室にて、群別添加飼料を自由に摂取させ、この分については測定しなかった。

(c) 一般症状

 一般症状観察については、実験期間中毎日午前、午後の各1回、個別飼育ケージ中と集団飼育室中における動物の状態を観察した。

(d) 血液形態学的検査

 血液検査は群別添加飼料を与えない実験開始前と、実験開始後45日目、90日目および180日目に前腕頭静脈より注射器で採血して行なった。採血した血液については、次の各検査を実施した。

 赤血球および白血球数   : トーアミクロセルカウンター

 総ヘモグロビン量(Hb) : シアンメトヘモグロビン法

 ヘマトクリット値(Ht) : 毛細管遠心法

 網状赤血球数       : 超生体染色法

 白血球像(百分比)    : 塗沫標本

(e) 臨床生化学的検査

 本検査は実験開始前と、実験開始後90日目および180日目に血液形態学的 検査を行ったのと同一の前腕頭静脈よりの血液について、次の諸検査を行なった。

 血糖値 : glucose oxidase法

 総蛋白量 : 屈析蛋白計

 A/G比 : 電気泳動法

 総コレステロール量 : Zak法

 尿素窒素 : Chen−Sharton法

 アルカリフォスファターゼ : Kind & King法

   (ALP )

 トランスアミナーゼ : Reitman−Frankel法

   (GOTおよびGPT)

(f) 病理組織学的検査

 実験開始後180日目に溶性バルビタールで深麻酔後、頸動脈切開放血により屠殺し、臓器の肉眼的剖検所見を記録した後、主要臓器(脳、下垂体、甲状腺、心、肺、肝、腎、脾、副腎および睾丸)の湿重量を秤量し、さらにこれら臓器を10%ホルマリンおよびZenker−Formolに固定し、光学顕微鏡による病理組織学的検索を行なった。

2 試験結果
(1) 体重増加(第1図、第2図)

 体重変化については、180日間の短期毒性試験の期間中、実験群となんら対照群との間に変化がみられなかった。


図1 体重曲線および摂餌、摂水量



図2 体重曲線および摂餌、摂水量


(2) 摂餌量、摂水量(第1図、第2図)

 図にみられるように餌の摂取量や水の消費は日によって大きな変動を示すものであるが、実験期間中を通じて平均した摂取を示す。

 そのようななかで摂餌量については、実験群の方が、対照群よりやや多い傾向を示した。

 摂水量については、実験群との間に著しい差は認められない。


図1 体重曲線および摂餌、摂水量



図2 体重曲線および摂餌、摂水量


(3) 一般症状

 一般症状観察については毎日、午前、午後の各1回行なったが、実験群に一過性の下痢をみたものがあった。しかし対照群にも認められているので、検体による影響とは考えられない。その他、症状として記録されるようなものは全くみられなかった。

(4) 血液形態学的検査(第1表)

 第1表はその結果を示し、赤血球数は実験群の90日目が一過性に高い数値をみたが、むしろ対照群の方が日時の経過に従って減少の傾向である。又、白血球数は対照群の6ヶ月目を除いては両群の間に著変がない。この対照群6ヶ月目の高数値は2匹中の1匹が、喧争時に受けた傷の影響が反映したものと思われる。ヘモグロビン、ヘマトクリット値および白血球百分比については、対照群と実験群の間に著明な変動は認められなく、両群の日時の経過による変動も殆んど差をみない。

(5) 臨床生化学的検査

 本検査の結果は第5表に示し、実験群においては日時の経過とともに、尿素窒素、グルコース、蛋白の減少がみられ、ALP,GOT,GPTの増加がみられたが、全く同様な傾向が対照群にもみられている。このことから、照射による影響とは認められなかった。


第2表 血液の生化学的検査
               
    分     類    
               
  Control Group  
    Test  Group  
 0カ月 
  3  
  6  
 0カ月 
  3  
  6  
蛋白         g/dl
 10.6
  7.1
  6.9
 10.8
  7.1
  7.7
アルブミン      g/dl
  3.1
  3.3
  2.8
  3.4
  3.6
  3.2
Urea−N    mg/dl
 34.5
 22.4
 16.5
 35.7
 26.7
 19.5
AlP mgphenol/dl
 29.0
 67.5
 54.2
 36.7
 70.4
 62.2
GOT       mu/dl
 42.0
 48.0
 70.3
 37.5
 28.8
 76.2
GPT       mu/dl
 11.0
 23.3
 21.5
 18.5
 19.0
 40.0
Chol(T)        
258.5
194.2
100.4
306.8
183.1
138.0
Chol(F)        
 47.2
 21.8
 66.7
 54.4
 16.7
 64.4
Chol        %  
 81.8
 88.8
 33.6
 82.3
 90.6
 54.2
糖         mg/dl
  −  
 97.5
 81.5
  −  
103.3
 79.0


(6) 病理組織学的検査(第3表)

 180日目に、屠殺解剖時の肉眼的所見では、対照群添加群ともになんら変化を認めない。

 臓器重量においては、実測値、体重比とも対照群と添加群との間には著明な差を認めない。

 また病理組織学的検査で、主要臓器に著しい変化はなく、対照群と添加群との間に差を認めない。


第3表 臓器・重量
      
 分 類  
      
  Control Group   
    Test  Group   
AbS(g) 
Rel(g/kg) 
AbS(g) 
Rel(g/kg) 
脳     
 70.5  
  35.0    
 83.2  
  35.7    
脳下垂体  
  0.1  
   0.04   
  0.1  
   0.04   
甲状腺   
  0.35 
   0.17   
  0.23 
   0.09   
心     
  8.5  
   4.2    
 10.5  
   4.5    
肺 
  
  
右  
  5.6  
   2.8    
  7.6  
   3.2    
左  
  4.8  
   2.2    
  6.0  
   2.6    
肝     
 48.9  
  24.8    
 52.4  
  22.4    
腎 
  
  
右  
  3.6  
   1.7    
  5.1  
   2.2    
左  
  3.5  
   1.7    
  5.2  
   2.2    
脾     
  1.6  
   0.8    
  2.8  
   1.2    
副腎
  
  
右  
  0.2  
   0.09   
  0.2  
   0.08   
左  
  0.2  
   0.09   
  0.2  
   0.08   
睾丸
  
  
右  
  0.3  
   0.13   
  0.3  
   0.12   
左  
  0.3  
   0.13   
  0.3  
   0.12   
体重(kg)
  2.0  
          
  2.3  
          


3 小括

 γ線照射馬鈴薯のサルにおける6ヶ月間の短期毒性試験を行なった。

 諸検査の結果からは照射馬鈴薯の摂取に起因すると考えられる悪影響は認められなかった。

 (池田良雄、堀内茂友、吉本浜子、降矢 強、川俣一也、金子豊蔵、長谷川愛子、水本美江)

4. マウスによる慢性毒性試験

 dd系マウス雄雌おのおの40匹からなる群を5群用意し、それぞれcont,P−0,P−15,P−30,およびP−60群とし、相当する飼料で21ヶ月間飼育した。飲料水としては水道水を自由に与えた。

1 一般症状

 飼育開始後2ヶ月前後から頸部および尾根部を中心として皮膚表層潰瘍を生ずる例が、さらに3ヶ月前後から背部の脱毛例が対照群、添加群の雄に共通して20〜30%の頻度に認められ、かかる症例はその後死亡するものが多いが、一部は自然に治癒する。

 また、12ヶ月以降に腹部あるいは肛門周囲に腫瘤の発生例をみるが、その発生数には対照群と添加群との間にほとんど差を認めない。

2 体重

 21ヶ月間の体重変化を第1図に示す。雄では対照群と添加群の間に差を認めないが、雌では52週(12ヶ月)以降で添加群の体重が抑制される。しかし、P−0群と照射3群の間では差を見ない。


図1 体重曲線及び摂餌量


3 摂餌量

 摂餌量(g/day/mouse)の変化は図1で明らかなように、対照群と添加群の間に雄雌ともにほとんど差を見ない。

4 死亡率

 21ヶ月間の動物死亡数および死亡率は第1表に示すとおりで、雄雌各群の死亡総数は19〜23例の範囲にあり、雄では群間に一定の傾向をみない。

 また雄の死亡率は72.29〜81.57%の範囲内に分布し、対照群と添加群およびP−0と他の添加群間に著しい差をみない。

 雌では、その死亡率が対照群に比べ添加群でやや高い値を示すが、P−0と照射群の間では明らかな差を見ない。


第1表 死亡率(月別動物死亡数)
    群    
         
  3  
     
  6  
     
 12  
     
 14  
     
 18  
     
 21  
     
 匹 数 
     
 死亡率 
  %  
 
 

 
 
 
 
 
 
Control
 2/40
 1/33
11/27
 0/16
 7/16
 2/ 5
 23  
81.57
 P− 0  
 3/40
 2/32
 5/25
 5/20
 7/15
 0/ 4
 22  
72.29
 P−15  
 5/40
 0/30
 6/25
 0/19
 8/19
 3/ 6
 22  
80.75
 P−30  
 4/40
 1/31
10/25
 1/15
 5/14
 0/ 5
 21  
68.65
 P−60  
 5/40
 1/30
10/24
 1/14
 3/13
 2/ 6
 22  
76.50
 
 

 
 
 
 
 
 
Control
 3/40
 0/32
 6/27
 0/21
 8/21
 2/ 5
 19  
73.28
 P− 0  
 3/40
 2/32
 8/25
 1/17
 3/17
 4/ 9
 21  
79.85
 P−15  
 2/40
 1/33
 5/27
 2/22
 7/20
 4/ 9
 21  
75.33
 P−30  
 2/40
 3/33
 5/25
 0/20
11/20
 2/ 5
 23  
87.56
 P−60  
 2/40
 0/30
 9/25
 1/16
 5/15
 3/ 6
 23  
88.35


5 臓器重量

 3,6,18,および21ヶ月に行なった解剖時の臓器重量測定結果は第2−a,b表,3−a,b表に示すとおりである。

 (i)3ヶ月:添加群で雄の肺と睾丸重量の減少傾向および肝重量の増加傾向が,また雌では腎重量の減少傾向と脾重量の増加傾向が絶対値と体重比でともに認められる。ことに雄のP−30の肺は対照群およびP−0と比べ、ともに有意の減少を、またP−60の睾丸は対照群との間に有意差を生ずる。また雌ではP−15の腎が対照群に比べ有意の減少を示す。これらの変化はP−0と照射群で比べるとほとんど差がなく、また照射群間に一定の傾向を認めない。

 (ii)6ヶ月:雄の添加群で腎重量の減少ないしはその傾向が、また雌の添加群で卵巣重量の増加ないしはその傾向が絶対値と体重比で、ともに見られる。また雌ではP−0で脾重量の減少傾向を見る。これらの変化についてP−0と照射群を比べるといずれも差を見ない。

 なお、18および21ヶ月で解剖したものでは対照群と添加群の間に著しい差を認めない。


第2表−a 3カ月目の臓器重量値(実測値)
    群    
 心 (g)   
 肺 (g)   
 肝 (g)   
 腎 (g)   
 副腎(mg)  
 脾 (g)   
 睾丸(g)   
 
 

 
 
 
 
 
 
Control
0.15±0.02
0.35±0.08
1.47±0.29
0.50±0.07
7.80±1.08
0.20±0.06
0.27±0.04
 P− 0  
0.16±0.03
0.31±0.08
1.71±0.18
0.50±0.05
8.86±1.88
0.17±0.06
0.22±0.02
 P−15  
0.16±0.02
0.29±0.07
1.71±0.33
0.48±0.08
8.64±1.90
0.21±0.07
0.21±0.04
 P−30  
0.18±0.01
0.23±0.02
1.76±0.31
0.53±0.07
6.50±2.19
0.29±0.20
0.22±0.06
 P−60  
0.18±0.03
0.31±0.06
1.88±0.19
0.53±0.08
6.62±1.84
0.17±0.06
0.23±0.03
 
 

 
 
 
 
 
 
Control
0.13±0.03
0.23±0.06
1.41±0.40
0.40±0.08
12.1±2.83
0.13±0.04
         
         
         
         
         
         
         
         
         
 P− 0  
0.13±0.03
0.24±0.03
1.51±0.28
0.38±0.07
10.0±2.30
0.19±0.07
 P−15  
0.14±0.03
0.28±0.01
1.47±0.30
0.32±0.04
11.0±0.89
0.18±0.11
 P−30  
0.14±0.03
0.26±0.02
1.52±0.27
0.35±0.05
13.0±3.54
0.20±0.08
 P−60  
0.16±0.04
0.26±0.01
1.35±0.07
0.32±0.04
12.1±1.74
0.17±0.05

5匹の平均値±標準偏差値



第2表−b 3カ月目の臓器重量値(体重比)
    群    
    心   (g)   
    肺   (g)   
    肝   (g)   
    腎   (g)   
   副 腎  (mg)  
    脾   (g)   
   睾 丸  (g)   
 
 

 
 
 
 
 
 
Control
  0.46±0.02   
1.04±0.21     
  4.44±1.46   
 1.51±0.20    
  23.5± 3.49  
  0.59±0.16   
  0.82±0.12   
 P− 0  
  0.48±0.08   
0.91±0.16     
  5.13±0.42   
 1.50±0.11    
  27.2± 8.94  
  0.51±0.19   
  0.66±0.09   
 P−15  
  0.48±0.08   
0.88±0.14     
  5.07±0.27   
 1.46±0.20    
  21.1±11.6   
  0.63±0.17   
  0.65±0.09   
 P−30  
  0.52±0.04   
0.67±0.07**(*)
  4.99±0.49   
 1.50±0.08    
  18.4± 4.65  
  0.81±0.52   
  0.63±0.19   
 P−60  
  0.44±0.05   
0.77±0.07     
  4.61±0.32   
 1.33±0.11*(*)
  17.0± 5.47  
  0.42±0.17   
  0.59±0.08** 
 
 

 
 
 
 
 
 
Control
  0.45±0.06   
0.83±0.18     
  4.95±1.09   
 1.43±0.28    
  43.1±11.7   
  0.47±0.11   
              
 P− 0  
  0.47±0.09   
0.84±0.12     
  5.39±0.93   
 1.35±0.21    
  35.9± 8.84  
  0.70±0.25   
              
 P−15  
  0.51±0.07   
0.99±0.07     
  5.22±0.77   
 1.12±0.10*   
  39.3± 1.45  
  0.62±0.33   
              
 P−30  
  0.47±0.05   
0.94±0.23     
  5.23±0.50   
 1.22±0.10    
  43.7±18.0   
  0.72±0.36   
              
 P−60  
  0.56±0.13   
0.89±0.34     
  4.74±0.42   
 1.13±0.15    
  42.3± 6.31  
  0.59±0.20   
              

5匹の平均値±標準偏差値
(g叉はmg/100g)
 * >0.05  ** >0.01 対照群に対して
(*)>0.05 (**)>0.01 非照射群に対して



第3表−a 6カ月目の臓器重量(実測値)
    群    
   心 (g)   
   肺 (g)   
   肝 (g)   
   腎 (g)   
  副腎 (mg)  
   脾 (g)   
睾丸(g)・卵巣(mg)
 
 

 
 
 
 
 
 
Control
0.17±0.02  
0.29±0.07  
1.89±0.23  
0.68±0.25  
 6.2±1.51  
0.20±0.05  
0.22±0.06   
 P− 0  
0.15±0.05  
0.24±0.07  
1.74±0.54  
0.47±0.15* 
 5.1±0.93  
0.23±0.10  
0.21±0.06   
 P−15  
0.17±0.03  
0.31±0.06  
1.69±0.22  
0.61±0.08  
 7.6±2.28  
0.14±0.04  
0.23±0.03   
 P−30  
0.18±0.02  
0.29±0.02  
1.67±0.05  
0.58±0.04  
 7.4±1.53  
0.17±0.04  
0.26±0.03   
 P−60  
0.12±0.03  
0.25±0.05  
2.15±0.28  
0.49±0.04* 
 9.1±2.92  
0.14±0.08  
0.24±0.02   
 
 

 
 
 
 
 
 
Control
0.15±0.04  
0.31±0.10  
1.63±0.32  
0.45±0.07  
12.3±3.70  
0.18±0.06  
14.5±2.24   
 P− 0  
0.14±0.03  
0.31±0.04  
1.85±0.30  
0.49±0.10  
11.3±0.76  
0.26±0.05  
28.2±5.01** 
 P−15  
0.15±0.02  
0.27±0.05  
1.75±0.14  
0.44±0.05  
15.9±4.16  
0.20±0.08  
24.3±5.00   
 P−30  
0.12±0.03  
0.18±0.06  
1.47±0.27  
0.36±0.09  
10.0±3.06  
0.11±0.02  
15.0±3.95   
 P−60  
0.13±0.03  
0.26±0.03  
1.77±0.39  
0.42±0.05  
13.9±1.32  
0.18±0.08  
23.5±7.67   

5匹の平均値±標準偏差値
*>0.05 **>0.01 対照群に対して



第3表−b 6カ月目の臓器重量(体重比)
    群    
   心 (g) 
   肺 (g) 
   肝 (g) 
   腎 (g) 
  副腎 (mg) 
   脾 (g)  
 睾丸(g)・卵巣(mg)  
 
 

 
 
 
 
 
 
Control
0.42±0.04
0.72±0.16
4.78±0.45
1.71±0.51
15.8± 4.32
0.51±0.15 
 0.55± 0.15    
 P− 0  
0.45±0.05
0.70±0.08
5.42±0.29
1.48±0.09
17.7± 8.32
0.72±0.36 
 0.67± 0.16    
 P−15  
0.49±0.04
0.89±0.12
4.79±0.31
1.67±0.37
21.6± 5.85
0.40±0.10 
 0.65± 0.07    
 P−30  
0.52±0.05
0.83±0.11
4.75±0.34
1.66±0.15
21.3± 5.49
0.47±0.13 
 0.75± 0.12    
 P−60  
0.34±0.05
0.70±0.17
5.91±0.70
1.34±1.12
25.1± 8.03
0.41±0.24 
 0.66± 0.06    
 
 

 
 
 
 
 
 
Control
0.53±0.10
1.09±0.40
5.61±0.86
1.55±0.86
42.9±14.3 
0.62±0.20 
50.0 ± 5.51    
 P− 0  
0.45±0.04
0.98±0.09
5.80±0.53
1.55±0.19
36.3± 3.80
0.48±0.11 
91.6 ±22.4**   
 P−15  
0.47±0.05
0.84±0.15
5.32±0.31
1.34±0.14
48.3±11.9 
0.61±0.24 
73.9 ±14.4**   
 P−30  
0.39±0.06
0.59±0.12
4.88±0.53
1.21±0.15
32.7± 6.78
0.38±0.06*
49.4 ± 8.80(**)
 P−60  
0.38±0.06
0.78±0.13
5.26±1.07
1.24±1.14
41.7± 9.50
0.54±0.23 
69.3 ±19.4     

5匹の平均値±標準偏差値
(g叉はmg/100g)
 * >0.05  ** >0.01  対照群に対して
(*)>0.05 (**)>0.01  非照射群に対して


6 剖検所見

 3、6、18および21ヶ月且つ解剖時における肉眼的所見は第4表、第5表に示すとおりである。

 (a)3ヶ月:雄のP−0では1例に肺炎を起し、また雄の対照群と雌のP−30を除く他の群で1〜2例の脾肥大を見る。

 (b)6ヶ月:雌の対照群で1例に肺炎像を見る。またP−30を除く他の群で1〜2例に脾の肥大を認める。

 (c)18ヶ月:雄では対照群の1例で肝および腎に腫瘤を認める。この例は腸管膜リンパ節の腫瘤をも示す。また対照群の別の1例で脾肥大を見る。

 P−0およびP−60で肝に腫瘤が見られるが、全般的に対照群と添加群との間に所見の内容に著しい差を見ない。

 雌では対照群で1例に子宮腫瘤を、P−15で肺の腫瘤、卵巣肥大および腹水を示す各1例を見る。

 (d)21ヶ月:雄では対照群に変化例がないが、P−0およびP−15とP−30で肝あるいは肺に各々1例の腫瘤例を見る。

 雌では添加群で肺、肝、腎、脾にそれぞれ1例の腫瘤例を認める。

 なお21ヶ月では雄雌ともに群間に著しい所見の差は見られない。


第4表 剖検所見(3および6カ月目)
     群     
           
検査例数 
     
変化を見た
例   数
 肺 炎 
     
 脾肥大 
     
 
 

 

 

 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 

 
 
 
 
 
 
Control
  5  
     
     
     
 P− 0  
  5  
  3  
  1  
  2  
 P−15  
  5  
  2  
     
  2  
 P−30  
  5  
  2  
     
  2  
 P−60  
  5  
  1  
     
  1  
 
 

 
 
 
 
 
 
Control
  5  
  1  
     
  1  
 P− 0  
  5  
  1  
     
  1  
 P−15  
  5  
  1  
     
  1  
 P−30  
  5  
     
     
     
 P−60  
  5  
  1  
     
  1  
 
 

 

 

 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 

 
 
 
 
 
 
Control
  5  
  1  
     
  1  
 P− 0  
  5  
  2  
     
  2  
 P−15  
  5  
  2  
     
  2  
 P−30  
  5  
     
     
     
 P−60  
  5  
  1  
     
  1  
 
 

 
 
 
 
 
 
Control
  5  
  2  
  1  
  1  
 P− 0  
  5  
  2  
     
  2  
 P−15  
  5  
  1  
     
  1  
 P−30  
  5  
     
     
     
 P−60  
  5  
  1  
     
  1  



第5表 剖検所見(18および21カ月目)
     群    
          
          
検査例数 
     
     
変化を見た
 例 数 
     
  肺  
   肝     
  腎    
  脾    
子宮 
   
腫瘤 
卵巣 
   
肥大 


出血
   
   
腹水 
臀 部
   
粘液腫
リンパ節
    
腫 脹 
肺炎
腫瘤
嚢胞
褪色
腫瘤 
褪色 
腫瘤 
肥大 
腫瘤 
  
  
  
18
  
 カ
  
 月
  
  
  
  
  
  
  
  
  
  
  
 
 

 
 
 
 
 
 
Cont.
  4  
  2  
  
  
  
  
1*1
   
1*1
1  
   
   
   

   
   
1*1 
P− 0 
  4  
  3  
  
  
1 
  
2  
   
   
   
   
   
   

   
   
    
P−15 
  4  
  0  
  
  
  
  
   
   
   
   
   
   
   

   
   
    
P−30 
  4  
  1  
  
  
  
  
   
   
   
   
   
   
   

   
 1 
    
P−60 
  4  
  2  
  
  
  
  
1  
   
   
1*2
   
   
   
1*2
   
   
    
 
 

 
 
 
 
 
 
Cont.
  4  
  1  
  
  
  
  
   
   
   
   
   
1  
   

   
   
    
P− 0 
  4  
  3  
2 
  
  
  
   
   
   
1  
   
   
   

   
   
    
P−15 
  4  
  3  
  
1 
  
  
   
   
   
   
   
   
1  

1  
   
    
P−30 
  4  
  2  
1 
  
  
  
   
1*3
   
   
   
1*3
   
1*3
1*3
   
    
P−60 
  4  
  1  
  
  
  
  
   
   
   
1  
   
   
   

   
   
    
  
  
  
21
  
 ヶ
  
 月
  
  
  
  
  
  
  
  
  
  
  
 
 

 
 
 
 
 
 
Cont.
  3  
  0  
  
  
  
  
   
   
   
   
   
   
   

   
   
    
P− 0 
  4  
  1  
  
  
  
  
1  
   
   
   
   
   
   

   
   
    
P−15 
  4  
  2  
  
1 
  
1 
   
   
   
   
   
   
   

   
   
    
P−30 
  5  
  1  
  
1 
  
  
   
   
   
   
   
   
   

   
   
    
P−60 
  4  
  1  
  
  
  
1 
   
   
   
   
   
   
   

   
   
    
 
 

 
 
 
 
 
 
Cont.
  4  
  1  
1 
  
  
  
   
   
   
   
   
   
   

   
   
    
P− 0 
  5  
  1  
  
  
  
  
1  
   
   
   
   
   
   

   
   
    
P−15 
  5  
  1  
  
  
  
  
   
   
1  
   
   
   
   

   
   
    
P−30 
  2  
  3  
  
1 
  
  
1*4
   
   
   
   
   
1  

   
   
1*4 
P−60 
  3  
  2  
1 
  
  
  
   
   
   
   
1  
   
   

   
   
    

*1〜4それぞれ重複をしめす。


7 自然死亡動物の剖検所見

 12ヶ月以降に自然死をおこした動物で剖検が可能であったものの所見は第6表に示すとおりである。雄では対照群で肺の変化が多く、3例に肺炎像をまた2例に腫瘤を見る。P−0およびP−15で各々2例に肝膿瘍、またP−30で頸部および腋下部にそれぞれ1例の腫瘤発現例を見る。

 雌は全般的に雄に比べて変化を示す例が多く、かつ、多彩である。対照例では肝の変化を示す例を見ないがP−0およびP−15でそれぞれ3例に変化を見る。また対照群、P−0およびP−60で卵巣腫瘤例が見られる。

 なお、雄雌ともに対照群と添加群あるいはP−0と照射群の間にほとんど差を認めない。


第6表 自然死亡動物の剖検所見
  群    
       
       
検査例数
    
    
変化を見た
 例 数 
     
頭部
  
腫瘤
肢下部
   
腫 瘤
肛門周囲部
     
 腫 瘤 
  肺    
    肝     
  脾    
 卵  巣
    
    
陰裏水腫
リンパ節
    
 腫脹 
肺炎 
腫瘤 
膿瘍 
褪色
腫瘤 
肥大 
腫瘤 
肥大 
腫瘤
 
 

 
 
 
 
 
 
Cont.
 17 
  6  
  
   
     
3  
2  
1  
  
   
   
   
   

    
    
P− 0 
 10 
  4  
  
   
     
2*1
1  
2*1
  
   
   
   
   

    
    
P−15 
 15 
  2  
  
   
     
   
   
2  
  
   
   
   
   

    
    
P−30 
 11 
  3  
1 
1  
     
   
   
   
  
   
   
   
   

 1  
    
P−60 
 11 
  1  
  
   
     
1  
   
   
  
   
   
   
   

    
    
 
 

 
 
 
 
 
 
Cont.
 15 
  4  
  
   
1*2  
2*3
1*2
   
  
   
1*3
   
   

    
    
P− 0 
 11 
  7  
  
   
     
1*4
   
1*4
1 
1  
1  
   
1*4

    
1   
P−15 
 11 
  6  
  
2  
     
1*5
1  
1*5
1 
1  
   
   
   

    
    
P−30 
 16 
  2  
  
   
     
2  
   
   
  
   
   
   
   

    
    
P−60 
 13 
 10  
  
   
     
5*6
1  
   
  
   
1  
1  
1*6

    
    

*1〜6 それぞれ重複をしめす。


8 病理組織学的所見

 3、6、18および21ヶ月に解剖した動物について、脳、甲状腺、心、肺、肝、腎、脾、副腎、睾丸、卵巣、胃および小腸を検索した。

 3および6ヶ月では対照群および添加群ともに腎の尿円柱出現を見るが、他に著しい変化を認めない。また18および21ヶ月では肝の小葉間々質に軽度の円形細胞の浸潤、また腎で尿円柱を見るが、いずれも群間に差を見ない。さらに肉眼的に肺炎像を認めた例では、肺胞内に漿液の浸出を見るもの、あるいは多形核白血球の浸潤および壊死巣の見られるものがあるが、その組織像に群間で一定の傾向がない。

9 腫瘍

 3、6、18および21ヶ月に解剖した動物と12ヶ月以降に自然死亡し検査が可能であった動物に見られる腫瘍の種類および発生部位は第7表に示すとおりである。

 全般的に雌で腫瘍例数が多く、かつ部位が多岐に亘るが、雄雌ともに群間に著しい差を見ない。


第7表 腫瘍発生数
部位および 種類  
          
          
            雄            
            雌            
Cont.
P− 0
P−15
P−30
P−60
Cont.
P− 0
P−15
P−30
P−60
頸  繊維腫    
     
    
    
 1  
    
     
    
    
    
    
乳房 腺癌     
     
    
    
 1  
    
 1   
    
 3*2
    
    
肺 
  
  
腺腫     
 2*1 
 1  
 1  
    
 1  
 1   
    
    
 1  
 1  
腺癌     
     
    
    
    
    
     
    
 2*2
    
    
肝  肝腫瘍    
 2*1 
    
    
    
    
     
 1  
    
    
    
脾 
  
  
組織球性腫瘍 
     
    
    
    
    
     
    
 1  
    
    
白血球性腫瘍 
     
    
    
    
    
     
    
    
    
 1  
卵巣 腫瘍     
     
    
    
    
    
 1   
 1  
 1  
 1  
 2  
子宮 腫瘍     
     
    
    
    
    
     
    
    
 1  
    
睾丸 腫瘍     
     
    
    
    
 1  
     
    
    
    
    
リンパ節
    
    
リンパ腫 
     
    
    
    
    
     
    
    
 1  
    
リンパ肉腫
 1   
    
    
    
    
     
    
    
    
    
  合    計  
 5   
 1  
 1  
 2  
 2  
 3   
 2  
 7  
 4  
 4  
  例    数  
 4   
 1  
 1  
 2  
 2  
 2   
 2  
 6  
 4  
 4  

*1〜2 それぞれ重複をしめす。


10 小括

 照射馬鈴薯についてマウスによる21ヶ月間の慢性毒性試験を行なった。馬鈴薯添加による影響が雌の体重および一部の臓器重量において認められたが、非照射と照射馬鈴薯との差は見られず、また線量の差による一定傾向も見られない。(池田良雄、戸部満寿夫、小林和雄、

5. ラットによる慢性毒性試験

 ウィスター系ラットの雄雌おのおの30匹からなる群を5群用意し、cont、P−0,P−15,P−30およびP−60群とし、相当する飼料で24ヶ月間飼育した。動物は全て個別ケージで飼育し、飲料水として水道水を自由に摂取させた。

1 一般症状

 飼育開始後12ヶ月前後から主に雌で腹部および腋下部に腫瘤を生ずる例が見られる。しかしその発生例数には対照群と添加群の間で殆んど差がない。また試験後期に斜頸、眼球白濁、背部皮膚表層潰瘍および脱毛が少数例に生ずるが、群間でその例数に著しい差は認められない。

2 体重

 雄(第4図)では飼育開始後5週頃より対照群に比べ添加群の体重増加が悪く、およそ30週前後にその差が最も大きくなり、以後24ヶ月の試験終了時までその差が維持される。53、81、および105週の各時期で各群の体重増加率(初期体重に対する各時期の体重増加量)を比較すると第1表で明らかなようにP−15では53週、P−30では53および81週、さらにP−60では3時期ともに対照群との間に有意差を見る。さらに80週以降では照射群で抑制の度がやや強く、P−0との間にも差を生ずるが推計学的に有意の差は見られない。

 また雌(第2図)では30週頃から対照群に比べP−15を除く添加群で抑制が現われ、P−15では50週以降に軽度の抑制を見る。さらにP−30およびP−60では55週前後以降ではP−0と比べても軽度の抑制がみられ、体重増加率(第1表)では105週のP−30およびP−60で対照群およびP−0との間に有意差を見る。


第1表 体重増加率
   群   
例数
   53 週     
例数
   81 週     
例数
   105 週      
 
 

 
 
 
 
 
 
Cont.
15
175.9±36.7  
12
196.6±31.5  
10
189.7±39.5    
P− 0 
14
168.8±62.2  
11
193.9±79.8  
 7
193.3±68.3    
P−15 
15
142.7±47.2* 
 8
160.8±45.7  
 3
176.2±29.5    
P−30 
12
138.2±20.0**
 9
141.1±39.6**
 4
158.0±37.2    
P−60 
13
147.8±47.3* 
10
150.7±29.9**
 7
140.4±19.6**  
 
 

 
 
 
 
 
 
Cont.
15
102.3±27.2  
13
127.4±31.5  
11
137.8±54.6    
P− 0 
13
 92.9±15.5  
13
124.7±50.1  
 9
130.4±36.2    
P−15 
14
 95.1±19.3  
11
139.8±35.1  
 8
124.5±45.4    
P−30 
14
 83.4±28.6  
13
 92.0±28.1**
 8
 84.6±33.3*(*)
P−60 
13
 74.7±27.3* 
12
 93.6±43.9* 
11
 90.9±40.1*(*)

体重増加率=((測定時 b.W−initial b.W)/(initial b.W))×100
 * >0.05  ** >0.01  対照群に対して
(*)>0.05 (**)>0.01  非照射群に対して


3 摂餌量および摂水量

 摂餌量(g/日/ラット)および摂水量(ml/日/ラット)の変化を第1〜2図に示す。摂餌量については雄で対照群と添加群の間にほとんど差を見ないが、雌では対照群に比べ、P−0が全期間を通じて軽度に高い値を示すが、対照群と照射群との間には差を認めない。

 摂水量は雄でほとんど変化を見ないが、雌ではP−0およびP−30が対照群に比べやや断続的に多い摂取を示す。


図1 体重曲線及び摂餌量、摂水量



図2 体重曲線及び摂餌量、摂水量


4 食餌効率

 試験開始後27週までの食餌効率は第3図に示すとおりである。雄では対照群に比べ添加群が低値を示すことが多い。しかしP−0と照射群の間にはほとんど差を見ない。一方雌では対照群と添加群の間に明らかな差は認められない。


図3 食餌効果


5 死亡率

 24ヶ月間の自然死亡動物数および死亡率は第2表に示すとおりである。各群の死亡例数は雄で5〜12例、雌では4〜7例の範囲で雄がやや多い。死亡率で比較すると、雄では対照群33.33%に対し、P−0で49.88%、照射群では51.54%〜79.77%を示し、照射群の死亡率はP−0と比べてもやや高い値を示す。しかし照射各群の間には一定の傾向はなくP−60が最も低い。

 雌では対照群33.33%、添加群で25.35〜45.58%の範囲でその間の差が僅かであり、照射群間にも一定の傾向を見ない。

 死亡率の経時変化を第4図に示す。雄では15ヶ月以前で照射群の死亡率が高く、それ以降ではP−0と照射群との間に殆んど差がない。

 一方雌では全期間を通じて対照群と添加群の間に著しい差を見ない。


第2表 死亡率
   群   
       
       
           月 別 動 物 死 亡 数                         
 3  
 6  
 9  
12  
15  
18  
21  
24  
匹数
死亡率(%)
 
 

 
 
 
 
 
 
Cont.
0/30
0/25
0/20
0/20
1/15
1/14
2/13
1/11
 5
33.33 
P− 0 
0/29
0/24
0/19
0/19
0/14
2/14
1/12
4/11
 7
49.88 
P−15 
0/30
0/25
0/20
0/20
5/15
1/10
1/ 9
5/ 8
12
79.77 
P−30 
0/30
1/25
0/19
1/19
3/13
1/10
2/ 9
3/ 7
11
72.01 
P−60 
0/30
0/25
0/20
2/20
1/13
2/12
1/10
2/ 9
 8
51.54 
 
 

 
 
 
 
 
 
Cont.
0/30
0/25
0/20
0/20
2/15
0/13
2/13
1/11
 5
33.33 
P− 0 
1/31
1/25
0/19
1/19
0/13
0/13
1/13
3/12
 7
39.17 
P−15 
0/30
0/25
0/20
1/20
1/14
2/13
2/11
1/ 9
 7
45.58 
P−30 
1/30
0/24
0/19
0/19
0/14
1/14
1/13
4/12
 7
44.75 
P−60 
0/30
0/25
0/20
1/20
1/14
1/13
0/12
1/12
 4
25.35 



図4 死亡率


6 血液形態学的検査

 3、6、12、および24ヶ月の各時期に行なった血液の形態学的検査成績は第3〜6表に示すとおりである。

 (a)3ヶ月:雄ではt−Hbが対照群に比べ添加群でやや減少の傾向を示し、P−60ではその変化が有意(P<0.05)であるが、P−0との間には有意の差を見ない。またP−15で赤血球数の減少を認めるが、P−0と比べると差がない。その他の検査項目には著しい変化がなく、雌では全般的にほとんど変化を認めない。

 (b)6ヶ月:雄のP−60でt−Hbが、またP−30とP−60でHtがそれぞれ減少を示す。雌では添加群でt−Hbが低く、また照射群のHtが対照群およびP−0のそれよりも低値を示す。しかし、これらの変化には群間に一定の関係が見られず、またP−0との間に有意の差を認めない。

 (c)12ヶ月:雄のP−0でt−HbおよびHtの両値ともに対照群のそれらを下廻るが、P−0との間ではいづれも差がない。雌ではとくに変化を認めない。

 (d)24ヶ月:雄では著変を見ないが、雌のP−0とP−60でt−HbとHt、および赤血球数の減少傾向ないしは減少を見る。しかしこれらの変化にはP−0とP−60の間では差がない。一方P−15とP−60で白血球数が対照群およびP−0に比べ減少ないしはその傾向を示す。


第3表 3ヶ月目の血液形態学的所見
   群   
       
       
総ヘモグロビン量 
(t−Hb)   
(g/dl)   
血球容積
(Ht)
(%) 
  赤血球数   
(×10・E(4)
/mm・E(3))
  白血球数   
(×10・E(2)
/mm・E(3))
        白 血 球 百 分 率 (%)   
好塩基球
好酸球
 好 中 球  
リンパ球
単球 
       
         
    
         
         
    
   
桿状核
分葉核 
    
   
 
 

 
 
 
 
 
 
Cont.
14.7±1.5 
47±3
857± 42  
173±20   
 0  
3.2
0.1
15.0
81.1
0  
P− 0 
13.8±0.8 
48±3
853± 75  
183±34   
 0  
3.7
0.2
10.2
79.7
0.6
P−15 
13.1±1.3 
50±2
777± 56* 
184±36   
 0  
3.3
0.2
14.2
82.0
0.3
P−30 
13.8±0.7 
48±1
819± 51  
182±20   
 0  
3.5
0.4
16.2
79.2
0.6
P−60 
13.1±0.5*
48±3
824± 52  
185±12   
 0  
3.5
0.4
18.8
76.9
0.4
 
 

 
 
 
 
 
 
Cont.
14.7±1.9 
47±5
850±101  
179±30   
 0  
4.4
0.1
15.0
80.1
0.3
P− 0 
15.0±2.1 
50±6
729± 44  
173±26   
 0  
6.5
0.3
14.9
78.1
0.2
P−15 
15.4±2.5 
48±5
793± 24  
173±41   
 0  
4.3
0.3
23.0
72.4
0  
P−30 
14.5±0.7 
49±8
786± 41  
148±19   
 0  
2.4
0.3
19.8
77.3
0.2
P−60 
14.3±1.1 
46±6
754± 34  
147±30   
 0  
6.8
0.4
15.8
76.7
0.3

5匹の平均値±標準偏差
*>0.05 対照群に対して



第4表 6カ月目の血液形態学的所見
   群   
       
       
総ヘモグロビン量 
(t−Hb)   
(g/dl)   
血球容積(Ht) 
(%)      
         
赤血球数     
(×10・E(4)
/mm・E(3))
白血球数     
(×10・E(2)
/mm・E(3))
        白 血 球 百 分 率 (%)   
好塩基球
好酸球
 好 中 球  
リンパ球
単球 
       
         
         
         
         
    
   
桿状球
分葉核 
    
   
 
 

 
 
 
 
 
 
Cont.
16.3±1.2 
54.3±3.4 
859± 84  
255±57   
 0  
5.5
0.7
11.5
82.3
0  
P− 0 
15.4±6.1 
50.4±6.1 
807± 41  
274±60   
 0  
8.0
0.3
14.1
75.5
0  
P−15 
15.6±1.4 
51.8±3.6 
826± 76  
215±35   
 0  
5.5
0.7
19.3
71.3
0  
P−30 
15.6±0.7 
49.5±3.5*
827± 44  
183±54   
 0  
5.0
0.3
13.3
81.0
0.1
P−60 
14.9±0.6*
49.6±2.6*
778± 26  
200±64   
 0  
4.7
0  
15.0
80.5
0  
 
 

 
 
 
 
 
 
Cont.
15.9±1.2 
52.0±3.0 
736± 55  
187±63   
 0  
2.6
0.4
13.4
83.0
0.3
P− 0 
14.1±2.8 
52.0±5.8 
682±137  
188±24   
 0  
3.5
0.5
18.4
77.5
0  
P−15 
13.9±1.0*
44.2±4.9*
681± 66  
159±17   
 0  
6.3
0.5
15.0
77.8
0.3
P−30 
14.2±0.6*
44.9±5.3*
724± 40  
142±43   
 0  
4.8
0.7
12.6
81.5
0.3
P−60 
14.5±0.7 
46.4±3.4*
702± 67  
142±38   
 0  
7.3
0.5
11.9
80.2
0.2

5匹の平均値±標準偏差
*>0.05 **>0.01 対照群に対して



第5表 12カ月の血液形態学的所見
   群   
       
       
総ヘモグロビン量  
(t−Hb)    
(g/dl)    
血球容積(Ht) 
(%)      
         
赤血球数     
(×10・E(4)
/mm・E(3))
網状赤血球数   
(0/00)   
         
白血球数     
(×10・E(2)
/mm・E(3) 
   白 血 球 百 分 率 (%)   
好酸球
 好 中 球  
リンパ球
単球 
       
          
         
         
         
         
   
桿状核
分葉核 
    
   
 
 

 
 
 
 
 
 
Cont.
17.3±0.5  
51.4±3.6 
753± 76  
14.3± 9.0
199± 87  
3.5
0.7
23.3
71.5
0.3
P− 0 
16.7±0.3  
49.0±1.4 
773±133  
18.1±10.9
190±102  
2.5
0.3
21.0
76.1
0.2
P−15 
16.7±0.6  
49.3±1.9 
736± 83  
         
191± 71  
3.8
0.2
22.3
73.5
0.2
P−30 
16.7±1.3  
51.1±1.3 
714±117  
         
185± 62  
3.3
0.3
21.7
74.7
0.0
P−60 
15.9±0.8**
47.7±2.9*
704±121  
12.0± 4.3
210± 41  
7.1
0.3
22.2
70.1
0.2
 
 

 
 
 
 
 
 
Cont.
16.1±1.0  
47.3±1.4 
595± 21  
10.0± 4.8
164± 41  
3.3
0.3
23.9
73.0
0.3
P− 0 
15.4±0.8  
47.9±1.2 
617± 90  
14.5± 3.3
156± 45  
3.3
0.7
22.6
76.3
0.2
P−15 
16.0±1.8  
47.7±3.8 
682±140  
         
118± 28  
4.5
0.5
14.5
80.5
0.0
P−30 
15.0±0.6  
47.5±3.9 
618±121  
         
166± 67  
5.0
1.0
24.6
69.5
0.0
P−60 
15.1±1.4  
46.6±3.8 
636± 98  
13.6± 7.3
131± 42  
3.7
0.5
16.3
79.3
0.2

5匹の平均値±標準偏差
 *>0.05 対照群に対して
**>0.05 非照射群に対して



第6表 24カ月目の血液形態学的所見
     群     
           
       (匹数)
総ヘモグロビン量   
(t−Hb)     
(g/dl)     
血球容積(Ht)   
  (%)      
           
赤血球数      
(×10・E(4) 
/mm・E(3)) 
網状赤血球数   
 (0/00)  
         
白血球数
×10・E(2)
/mm・E(3))
    白 血 球 百 分 率      
好酸球
 好 中 球  
リンパ球
単球 
           
           
           
          
         

   
桿状核
分葉核 
    
   
 
 
 

 
 
 
 
 
Cont.(10)
15.6±2.2   
48.1±3.8   
816± 75   
28.4± 8.5
194±47
3.3
1.2
24.7
67.7
2.9
P− 0 ( 7)
15.1±1.1   
46.1±3.3   
742± 79   
23.6±10.7
183±47
3.1
2.0
31.1
62.4
1.3
P−15 ( 3)
14.9±1.5   
45.7±5.3   
763±109   
         
226±34
5.3
1.0
35.6
57.0
1.0
P−30 ( 4)
15.7±1.1   
48.3±2.6   
778± 54   
         
214±65
3.3
2.0
22.1
72.8
0.3
P−60 ( 7)
15.5±1.1   
47.0±4.5   
755± 70   
19.2± 5.8
161±60
4.4
1.9
34.1
59.7
0.3
 
 

 
 
 
 
 
 
Cont.(11)
14.5±1.6   
45.3±3.9   
735± 52   
27.9±19.1
163±40
2.7
2.4
26.3
67.6
0.9
P− 0 ( 9)
13.3±1.6   
39.8±4.3** 
639±107*  
33.4±21.8
168±20
2.3
3.0
26.4
67.3
1.2
P−15 ( 8)
14.0±1.6   
44.5±2.3(*)
723±118   
         
136±36(*)
4.0
2.7
29.9
62.6
0.9
P−30 ( 8)
15.0±1.6(*)
45.4±4.5(*)
750± 70(*)
         
166±40
4.9
3.0
26.7
64.3
0.7
P−60 (11)
12.9±2.9   
37.9±7.1*  
621± 95** 
35.7±31.8
138±30(*)
2.6
2.8
30.4
63.8
0.5

5匹の平均値±標準偏差
 *>0.05  (*)>0.01 対照群に対して
**>0.05 (**)>0.01 非照射群に対して


7 血液生化学的検査

 3、6、12および24ヶ月に行なった血液の生化学的検査成績を第7〜10表に示す。

 (a)3ヶ月:雄では全般に著変を見ない。一方雌ではALPおよびGOTが添加群でやや減少の傾向を、GPTがやや上昇の傾向を示し特にP−0およびP−15でその上昇が有意である。しかし雌に見られるこれらの変化はP−0と照射群で比べるとほとんど差がなく、各照射群間にも一定の傾向は見られない。

 (b)6ヶ月:雄の添加群でtotal−chol.の減少傾向が、さらに照射群でfree−chol.の増加を生ずる。そのため、照射群のchol.%は対照群およびP−0に比べ減少を示しP−15およびP−60の両群で有意の差を生ずる。しかし照射群間に一定の傾向は見られない。さらに雄ではP−0およびP−15で尿素窒素の減少が認められる。

 雌では添加群でGPTの上昇が生じ、ことに照射群では群間に一定の傾向はないがいづれも対照群に比べ有意の変化を示す。またP−30では尿素窒素の減少傾向を見る。雌に見られるこれらの変化は、P−0と照射群で比較するといづれも有意の差を示さない。

 (c)12ヶ月:雄では添加群のtotal−chol.およびfree−chol.が全般的に低いが、chol.%では差を見ない。また添加群ではGOTおよびGPTが対照群に比べ高い値を示し、尿素窒素がやや低下の傾向を示す。しかしこれらの変化はP−0と比べた場合いづれも差が認められない。

 雌では尿素窒素が添加群で減少するが、P−0と照射群では差がなく、照射群間に一定の傾向を見ない。

 (d)24ヶ月:雄の添加群でtotal−chol.の減少傾向が見られるが、chol.%では対照群およびP−0に比べて差を見ない。また添加群では、対照群に比べGOTが上昇傾向を、またGPTの有意の上昇を見る。しかしこのGPTの変化もP−0との間では有意の差を示さない。

 雌ではP−30でブドウ糖の減少が生じ、さらにGOTおよびGPTの増加傾向を見る。P−30およびP−60で尿素窒素の減少傾向を見るが、P−0との間にはほとんど差を見ない。


第7表 3ヶ月目の血液生化学的検査
   群   
       
蛋  白   
(g/dl) 
糖         
(mg/dl)   
TotalーChol.
(mg/dl)    
Free−Chol.
(mg/dl)   
Chol.    
  %      
AlP       
mg.phenol/dl
GOT       
 U.       
GPT       
 U.       
 
 

 
 
 
 
 
 
Cont.
6.9±0.3
106.5±13.7
105.7±19.2 
16.9± 7.0 
83.6± 6.5
17.9±10.5   
 85.2±14.6
21.4±6.0  
P− 0 
7.0±0.4
100.0±19.0
 95.5±22.5 
19.8± 9.7 
82.7± 7.6
15.1± 5.2   
 72.4±12.4
24.6±4.1  
P−15 
6.9±0.4
102.0±17.5
109.3±16.0 
23.3± 4.8 
78.8± 2.5
 9.2± 4.4   
 78.6± 8.2
23.1±5.5  
P−30 
6.9±0.4
110.4±10.9
105.4±20.7 
23.2± 8.9 
76.0±13.5
11.7± 6.7   
 83.2±13.4
21.8±2.9  
P−60 
6.8±0.4
110.4±23.6
109.0±34.3 
28.7±10.5 
72.7± 7.9
15.8± 6.6   
 80.8±10.2
20.5±1.6  
 
 

 
 
 
 
 
 
Cont.
7.6±0.3
107.0± 6.0
106.1±28.3 
20.1±10.8 
82.1± 9.8
11.6± 4.9   
117.0±37.2
18.3±3.6  
P− 0 
7.7±0.3
108.5±12.0
104.3±26.3 
15.6± 4.5 
86.9± 1.1
 7.9± 3.0   
108.0±22.6
28.9±4.9**
P−15 
7.3±0.2
102.3±20.2
 96.6±30.3 
14.8± 4.3 
84.1± 4.1
 8.0± 1.9   
 98.8± 8.4
30.5±5.1**
P−30 
7.2±0.3
117.3±22.1
103.9±27.0 
20.2± 9.6 
78.5± 8.7
 8.9± 2.0   
 96.8±26.2
25.0±7.4  
P−60 
6.2±3.1
111.3±21.7
110.3±53.7 
17.5± 9.0 
84.0± 4.6
 9.1± 2.3   
 86.6±16.2
23.9±9.1  

5匹の平均値±標準偏差
 *>0.05 対照群に対して
**>0.05 非照射群に対して



第8表 6カ月目の血液生化学的検査
   群   
       
蛋  白    
(g/dl)  
糖         
(mg/dl)   
Total−Chol. 
(mg/dl)     
Free−Chol.
(mg/dl)   
Chol.       
  %         
AlP         
mg・phenol/dl
GOT       
 U.       
GPT       
 U.       
尿素窒素        
UreaーN.mg/dl
 
 

 
 
 
 
 
 
Cont.
7.0±0.3 
113.1± 8.5
 85.7± 9.9  
 9.4±3.2  
88.8±4.4    
31.9±10.4   
110.4±17.6
18.7±4.4  
21.5±2.2    
P−0  
6.8±0.6 
108.4±14.6
 75.3±11.2  
 9.6±3.2  
87.6±3.0    
29.2± 4.0   
116.8±16.0
18.0±3.0  
17.9±0.6**  
P−15 
6.8±0.5 
115.5±12.5
 64.5± 7.6**
11.4±1.9  
82.2±2.9*(*)
22.1± 7.7   
118.4±15.2
20.0±2.9  
17.4±1.8*   
P−30 
7.0±0.6 
112.0±11.4
 72.7±20.5  
12.6±7.7  
84.7±5.0    
24.7± 7.1   
119.2±20.4
16.7±7.4  
20.1±4.6    
P−60 
6.8±0.3 
108.7± 9.9
 77.0±16.4  
12.7±5.9  
82.9±3.5*(*)
23.0± 6.9   
110.8±16.8
18.8±3.1  
19.3±6.7    
 
 

 
 
 
 
 
 
Cont.
7.7±0.4 
115.9± 6.3
139.5±12.1  
19.3±6.9  
86.0±5.2    
22.2± 8.9   
117.6± 9.2
19.4±2.8  
20.0±6.1    
P− 0 
7.3±1.4 
120.0±14.8
133.4±39.9  
17.5±8.3  
87.3±3.6    
19.6± 5.8   
115.6±28.0
26.8±8.4  
20.1±5.8    
P−15 
7.1±0.3*
118.6± 5.1
102.2±22.9* 
13.4±5.8  
87.1±3.7    
25.2± 6.0   
111.6±17.6
31.1±6.1**
18.9±1.7    
P−30 
7.8±0.8 
121.9± 7.4
116.6±26.6  
18.1±5.8  
84.6±3.1    
23.8±11.4   
125.2±42.8
33.5±8.8* 
15.6±2.0    
P−60 
7.8±0.2 
117.6± 9.9
132.0±16.2  
17.9±5.8  
86.7±3.4    
21.7± 5.7   
110.4±13.6
29.7±4.1**
20.6±1.8    

5匹の平均値±標準偏差
 *>0.05  (*)>0.01 対照群に対して
**>0.05 (**)>0.01 非照射群に対して



第9表 12カ月目の血液生化学的検査
   群   
       
蛋  白   
(g/dl) 
アルブミン  
(g/dl) 
糖         
(mg/dl)   
Total−Chol.
(mg/dl)    
FreeーChol.
(mg/dl)   
Chol.
  %
AlP         
mg.phenol/dl
GOT        
 U.        
GPT        
 U.        
尿素窒素        
UreaーN.mg/dl
 
 

 
 
 
 
 
 
Cont.
7.7±0.5
3.9±0.3
100.7± 9.7
129.2±27.7 
18.3±10.3 
86.6±5.4
15.9±5.6    
137.6±48.0 
16.0± 6.0  
14.6±2.4    
P− 0 
7.4±0.9
4.1±0.3
 99.6± 5.3
 94.7±12.0 
14.2± 6.9 
85.3±5.9
18.4±6.1    
182.6±21.0 
39.3±21.0* 
13.3±1.3    
P−15 
7.4±0.7
4.1±0.7
102.0±10.5
 99.0±12.2 
12.4± 6.8 
87.6±6.2
21.8±5.6    
171.2±33.2 
30.8±20.0  
12.0±0.6*   
P−30 
7.8±0.4
4.3±0.5
101.7± 6.1
 94.9±16.4 
11.3± 5.8 
88.8±3.7
16.5±7.0    
199.0± 9.0*
46.0±14.0* 
12.8±2.0    
P−60 
7.7±0.9
3.9±0.3
105.3± 3.9
 83.6±14.7 
10.7± 1.9*
87.1±1.9
20.6±6.9    
188.0±37.0 
39.0±23.0  
12.8±1.2    
 
 

 
 
 
 
 
 
Cont.
8.6±0.5
5.6±0.9
109.4±17.1
162.5±33.5 
14.8± 9.3 
90.2±2.8
24.6±3.3    
139.6±41.4 
25.4±10.1  
17.5±2.1    
P− 0 
8.7±0.8
5.2±0.3
115.8±18.0
133.2±33.6 
12.9± 7.4 
90.6±3.9
22.8±3.2    
143.0±76.0 
24.0±12.0  
13.6±2.8*   
P−15 
8.5±0.3
4.9±0.5
111.8±18.7
133.6± 8.3 
13.7± 3.2 
89.6±3.7
23.9±2.9    
121.2±58.0 
21.0±14.0  
12.6±2.4*   
P−30 
8.6±0.7
5.4±0.9
106.2±11.0
152.4±26.5 
16.0± 6.1 
87.1±5.3
20.8±5.6    
162.0±78.0 
30.0±14.0  
13.2±3.0*   
P−60 
8.5±0.5
5.3±0.8
106.6± 9.0
130.4±21.0 
13.3± 8.6 
89.9±6.7
19.5±4.5    
147.0±70.0 
28.0±15.0  
13.9±5.6    

5匹の平均値±標準偏差
*>0.05 **>0.01 対照群に対して



第10表 24カ月目の血液生化学的検査
     群     
       (匹数)
蛋  白   
(g/dl) 
アルブミン  
(g/dl) 
糖             
(mg/dl)       
Total−Chol.
(mg/dl)    
Free−Chol.
(mg/dl)   
Chol.   
 (%)    
AlP         
mg.phenol/dl
GOT        
 U.        
GPT         
 U.         
尿素窒素        
UreaーN.mg/dl
 
 

 
 
 
 
 
 
Cont.(10)
8.9±0.6
3.2±0.7
113.5±25.3    
210.4±110.7
29.5±17.8 
85.5±4.4
25.1± 9.6   
222.6± 58.0
 54.6±13.9  
17.1±4.6    
P− 0 ( 7)
8.6±0.4
3.6±0.5
119.7±11.5    
210.9± 91.6
25.1±15.7 
87.5±2.3
25.7± 5.2   
224.0± 87.3
 84.9±25.3**
14.7±1.9    
P−15 ( 3)
8.6±0.4
3.2±0.6
113.5± 7.8    
181.1± 81.9
21.3±14.4 
89.0±2.3
27.8± 3.9   
266.7± 43.0
104.7±37.0**
15.8±3.7    
P−30 ( 4)
8.7±0.4
3.8±0.4
101.0±10.4    
152.0± 33.2
23.2± 8.0 
84.8±4.4
24.5± 3.6   
279.0± 44.8
125.7±37.8**
15.4±2.3    
P−60 ( 7)
8.7±0.8
3.4±0.7
104.8±21.2    
185.1± 69.4
29.4±13.2 
84.3±4.0
32.0± 9.5   
294.0± 87.7
110.2±52.2* 
15.9±5.6    
 
 

 
 
 
 
 
 
Cont.(10)
8.8±0.9
4.6±0.8
109.4±10.5    
171.6± 63.3
22.5± 7.0 
86.5±2.1
28.5±10.3   
281.0± 85.1
 62.6±29.5  
18.0±3.1    
P− 0 ( 9)
9.0±1.1
4.2±0.8
114.6±21.2    
172.2± 86.7
21.4±13.7 
88.0±3.7
21.8± 6.5   
247.1± 60.8
 59.2±21.5  
16.2±1.5    
P−15 ( 8)
9.4±0.8
4.8±1.0
103.2±19.5    
142.9± 41.0
15.3± 8.2 
89.1±4.2
24.9± 8.2   
256.9± 77.7
 57.6±26.5  
16.2±5.5    
P−30 ( 8)
9.3±1.0
4.4±0.7
 94.5± 8.4*(*)
136.4± 36.5
15.2± 5.1 
88.7±2.7
26.0± 6.8   
324.4±101.8
 88.4±37.5  
15.5±2.6    
P−60 (11)
8.8±0.4
4.4±0.6
114.1±20.0    
147.6± 57.7
16.4± 8.6 
89.0±3.5
33.0±12.9(*)
273.8± 91.2
 87.2±59.5  
15.1±1.8*   

平均値±標準偏差
 * >0.05  ** >0.01 対照群に対して
(*)>0.05 (**)>0.01 非照射群に対して


8 臓器重量

 3、6、12、および24ヶ月に解剖した動物の臓器重量は第11(a,b)表、第12(a,b)表、第13(a,b)表、第14(a,b)表に示すとおりである。対照群およびP−0の両者に比べ同一方向に有意の差を現わす変化について以下に述べる。

 (a)3ヶ月:イ)実測値;雄雌ともに有意の変化を認めない。ロ)体重比;実測値と同様に変化を見ない。

 (b)6ヶ月:イ)実測値;雄ではいづれの群でも変化を見ないが、雌でP−15およびP−30の脳重量の増加とP−60で卵巣重量の減少を見る。ロ)体重比;雄では実測値と同様に変化を見ない。雌ではP−60で実測値と同様に卵巣重量の減少を生ずる。なお実測値で見られる脳重量の増加は対重比では認められない。

 (c)12ヶ月:イ)実測値;雄では変化を見ないが、雌ではP−60で肺重量の増加を見る。ロ)体重比;雄の照射群でいづれも心重量の増加が、またP−15およびP−60で肝重量の増加を見る。雌ではP−60で肺重量の増加が見られるが、その他に変化を認めない。

 (iv)24ヶ月:イ)実測値;雄では変化を見ない。一方雌ではP−60で脳重量の減少が見られる。ロ)体重比;雄ではP−30で睾丸重量の増加を、また雌ではP−30で脳重量の増加を見る。

 以上の結果から、実測値および体重比でともに有意の変化が認められる臓器として6ヶ月におけるP−60の卵巣重量の減少と、12ヶ月における雌のP−60の肺重量の増加が指摘される。なおP−60の卵巣重量について経過を追ってその重量変化を見ると、3ヶ月では増加、6ヶ月および12ヶ月では、減少、さらに24ヶ月で増加の傾向を認める。一方、肺重量については3ヶ月および12ヶ月で増加の傾向を見るが、6ヶ月および24ヶ月ではほとんど変化を認めない。


第11−a表 3ヶ月目の臓器重量(実測値)
   群   
       
  体重       
    g      
  脳      
    g    
  脳下垂体  
     mg 
  甲状腺       
     mg     
  心      
    g    
  肺         
    g       
  肝       
    g     
  腎          
     g       
  副腎         
      g      
  脾        
    g      
  睾丸・卵巣     
     g      
 
 

 
 
 
 
 
 
Cont.
367.0±41.0 
2.02±0.09
11.5±1.5
23.6±4.3    
1.17±0.13
1.96±0.22   
13.68±2.38
2.48±0.33    
54.0±11.7    
0.61±0.10  
  2.66±0.25 
P− 0 
356.2±26.6 
2.08±0.11
10.1±1.9
23.5±3.7    
1.17±0.08
1.76±0.18   
14.70±1.15
2.44±0.34    
58.3±11.1    
0.65±0.10  
  2.82±0.20 
P−15 
384.0±31.5 
2.07±0.13
10.8±1.8
21.3±9.4    
1.19±0.22
2.00±0.39   
14.58±1.88
2.47±0.36    
60.2±10.3    
0.62±0.12  
  2.89±0.20 
P−30 
339.2±27.3 
2.01±0.12
10.2±1.0
23.0±2.7    
1.04±0.15
1.63±0.18*  
12.88±1.90
2.20±0.35    
56.2±10.8    
0.55±0.08  
  2.83±0.24 
P−60 
359.2±43.6 
1.98±0.09
11.5±1.7
21.3±4.0    
1.16±0.14
1.86±0.23   
13.68±1.60
2.33±0.23    
53.8±10.1    
0.60±0.08  
  2.84±3.16 
 
 

 
 
 
 
 
 
Cont.
227.0±15.1 
1.85±0.03
14.2±2.6
18.6±3.0    
0.82±0.50
1.37±0.27   
 8.77±0.33
1.73±0.14    
74.5± 5.7    
0.43±0.05  
 77.50±25.70
P− 0 
225.6± 4.72
1.95±0.07
13.3±2.4
14.9±3.0    
0.83±0.08
1.34±0.11   
 9.51±0.79
1.51±0.08*   
80.6± 7.8    
0.51±0.11  
 75.90±26.06
P−15 
224.8±28.9 
1.95±0.11
13.1±2.5
21.9±1.3(**)
0.80±0.08
1.43±0.11   
 9.30±1.07
1.68±0.07(**)
77.4±19.5    
0.58±0.07**
101.70±19.94
P−30 
219.2±24.0 
1.82±0.07
11.1±3.2
18.0±4.6    
0.77±0.11
1.27±0.18   
 7.87±1.59
1.54±0.12    
71.3± 2.6(**)
0.40±0.09  
 89.80±46.21
P−60 
224.6± 9.07
1.95±0.06
15.4±3.0
20.1±3.0(*) 
0.82±0.09
1.60±0.19(*)
 9.14±0.79
1.73±0.13(*) 
77.0±12.0    
0.57±0.15  
 96.10±29.89

5匹の平均値±標準偏差
 * >0.05  ** >0.01 対照群に対して
(*)>0.05 (**)>0.01 非照射群に対して



第11−b表 3ヶ月目の臓器重量(体重比)
   群   
       
  脳      
    g    
  脳下垂体   
     mg  
  甲状腺       
     g      
  心      
    g    
  肺         
    g       
  肝          
  g        
  腎         
    g       
  副腎      
     g    
  脾        
    g      
  睾丸・卵巣    
     g・mg  
 
 

 
 
 
 
 
 
Cont.
0.55±0.05
3.16±0.44
6.44±0.95   
0.32±0.01
0.54±0.07   
3.71±0.31    
0.66±0.04   
14.50±1.78
0.17±0.02  
 0.73± 0.11
P− 0 
0.58±0.04
2.85±0.58
6.56±0.58   
0.33±0.02
0.49±0.02   
4.13±0.07*   
0.68±0.06   
16.09±2.50
0.19±0.04  
 0.80± 0.10
P−15 
0.54±0.03
2.80±0.30
5.54±2.36   
0.31±0.04
0.52±0.09   
3.79±0.25    
0.64±0.04   
15.67±2.11
0.16±0.02  
 0.76± 0.06
P−30 
0.59±0.04
3.01±0.20
6.77±0.35   
0.30±0.03
0.48±0.04   
3.78±0.28    
0.65±0.07   
16.72±3.93
0.16±0.02  
 0.84± 0.11
P−60 
0.56±0.05
3.20±0.42
5.98±1.15   
0.32±0.03
0.52±0.08   
3.81±0.08(**)
0.65±0.04   
14.46±2.57
0.17±0.03  
 0.80± 0.09
 
 

 
 
 
 
 
 
Cont.
0.82±0.07
6.27±1.20
8.25±1.67   
0.36±0.03
0.61±0.15   
3.88±0.24    
0.77±0.10   
32.90±2.85
0.19±0.03  
32.60±12.89
P− 0 
0.87±0.04
5.90±1.12
6.60±1.39   
0.37±0.03
0.60±0.05   
4.22±0.38    
0.66±0.03   
35.67±5.69
0.23±0.06  
33.79±14.12
P−15 
0.88±0.15
5.85±0.92
9.90±1.62(*)
0.36±0.04
0.65±0.14   
4.15±0.38    
0.76±0.08   
34.40±6.94
0.26±0.02**
46.40±13.15
P−30 
0.84±0.08
5.09±1.47
8.31±2.26   
0.35±0.05
0.58±0.04   
3.56±0.39(*) 
0.70±0.04   
32.27±4.95
0.18±0.07  
41.52±21.81
P−60 
0.87±0.06
6.86±1.28
8.98±1.53(*)
0.36±0.04
0.71±0.07(*)
4.08±0.39    
0.77±0.08(*)
34.24±4.55
0.25±0.06  
42.62±12.31

5匹の平均値±標準偏差
(g or mg/100g)
 * >0.05  ** >0.01 対照群に対して
(*)>0.05 (**)>0.01 非照射群に対して



第12−a表 6ヶ月目の臓器重量(実測値)
   群   
       
  体重      
     g    
  脳            
    g          
  脳下垂体      
     mg     
  甲状腺   
     mg 
  心      
    g    
  肺      
    g    
  肝       
    g     
  腎      
    g    
  副腎     
    mg   
  脾      
    g    
  睾丸・卵巣        
    g・mg       
 
 

 
 
 
 
 
 
Cont.
441.8±31.3
2.09±0.16      
11.1±2.2    
23.8±5.6
1.21±0.10
1.88±0.35
16.45±1.75
2.73±0.24
54.5± 6.2
0.66±0.12
 2.97± 0.41    
P− 0 
391.0±70.8
2.17±0.16      
10.3±2.6    
21.9±6.9
1.18±0.25
1.71±0.40
14.50±3.85
2.68±0.24
55.3± 4.0
0.67±0.19
 2.70± 0.28    
P−15 
416.0±53.2
2.20±0.11      
11.1±1.9    
20.0±4.1
1.22±0.13
2.10±0.29
13.7±2.62 
2.78±0.27
59.5±14.1
0.73±0.18
 3.25± 0.27    
P−30 
394.6±37.5
2.08±0.11      
11.3±2.5    
22.5±3.8
1.14±0.11
1.77±0.21
15.0±2.88 
2.47±0.19
48.4±15.4
0.61±0.17
 2.84± 0.27    
P−60 
384.4±65.0
2.08±0.10      
 9.5±0.5    
21.4±8.5
1.18±0.12
2.07±0.66
14.0±2.39 
2.63±0.30
52.4±19.8
0.61±0.15
 2.95± 0.48    
 
 

 
 
 
 
 
 
Cont.
252.0±17.9
1.90±0.11      
15.3±2.7    
17.9±5.6
0.78±0.08
1.27±0.11
 8.92±1.71
1.74±0.29
72.3±16.8
0.42±0.04
67.7 ± 8.1     
P− 0 
267.0±69.4
1.88±0.12      
 9.9±3.7*   
18.8±3.9
0.81±0.10
1.45±0.31
11.69±5.21
1.78±0.20
85.0±17.9
0.51±0.16
68.3 ±18.2     
P−15 
244.0±13.6
2.07±0.04**(**)
11.2±3.6    
17.3±2.5
0.77±0.05
1.31±0.16
 9.09±0.67
1.66±0.20
77.1±11.9
0.44±0.06
69.5 ±16.1     
P−30 
259.0±19.2
2.08±0.08*(*)  
14.2±5.5    
23.7±6.4
0.88±0.10
1.41±0.20
10.30±1.45
1.96±0.20
81.7± 9.7
0.50±0.10
66.8 ±24.6     
P−60 
252.4± 9.7
1.92±0.01      
16.4±1.8(**)
21.8±3.7
0.78±0.06
1.41±0.15
 9.85±0.43
1.78±0.29
81.8± 7.5
0.48±0.05
44.8 ± 7.6**(*)

5匹の平均値±標準偏差
 * >0.05  ** >0.01 対照群に対して
(*)>0.05 (**)>0.01 非照射群に対して



第12−b表 6ヶ月目の臓器重量(体重比)
   群   
       
  脳       
    g     
  脳下垂体      
       mg   
  甲状腺    
     g   
  心       
    g     
  肺      
    g    
  肝      
 g    
  腎      
    g    
  副腎       
    mg     
  脾       
    g     
  睾丸・卵巣         
     g・mg       
 
 

 
 
 
 
 
 
Cont.
0.48±0.04 
2.51±0.48   
5.50±1.67
0.28±0.02 
0.43±0.07
3.74±0.28
0.62±0.05
12.34± 0.90
0.15±0.02 
 0.67± 0.10     
P− 0 
0.58±0.18 
2.74±0.71   
5.80±2.16
0.30±0.02*
0.45±0.10
3.68±0.50
0.71±0.17
14.65± 3.55
0.17±0.04 
 0.72± 0.21     
P−15 
0.53±0.07 
2.76±0.86   
4.88±1.20
0.29±0.04 
0.51±0.10
3.28±0.47
0.68±0.09
14.49± 3.91
0.17±0.03 
 0.79± 0.10     
P−30 
0.53±0.08 
2.90±0.81   
5.76±1.02
0.29±0.03 
0.45±0.06
3.78±0.52
0.63±0.08
12.47± 4.50
0.15±0.04 
 0.71± 0.08     
P−60 
0.56±0.10 
2.52±0.43   
5.45±1.32
0.31±0.05 
0.55±0.20
4.51±0.35
0.70±0.16
13.68± 4.36
0.16±0.04 
 0.77± 0.07     
 
 

 
 
 
 
 
 
Cont.
0.76±0.06 
6.06±0.95   
7.17±2.45
0.31±0.04 
0.51±0.07
3.54±0.64
0.68±0.08
28.70± 5.85
0.17±0.02 
26.96± 3.58     
P− 0 
0.73±0.14 
3.90±1.75*  
7.41±2.23
0.31±0.04 
0.55±0.08
4.25±0.08
0.69±0.11
32.50± 5.82
0.19±0.03 
25.99± 6.37     
P−15 
0.85±0.04*
4.65±1.78   
7.06±0.84
0.32±0.02 
0.54±0.06
3.72±0.28
0.68±0.08
28.76±10.84
0.18±0.03 
28.34± 6.01     
P−30 
0.81±0.07 
5.41±1.82   
9.14±2.41
0.34±0.02 
0.54±0.07
3.96±0.30
0.72±0.08
31.62± 3.82
0.19±0.05 
26.46±10.79     
P−60 
0.76±0.03 
6.49±0.86(*)
8.62±1.42
0.31±0.01 
0.56±0.04
3.90±0.18
0.70±0.11
32.42± 3.46
0.19±0.02*
17.74± 2.75**(*)

5匹の平均値±標準偏差
(g or mg/100g)
 * >0.05  ** >0.01 対照群に対して
(*)>0.05 (**)>0.01 非照射群に対して



第13−a表 12ヶ月目の臓器重量(実測値)
   群   
       
  体重  
     g
  脳      
    g    
  脳下垂体     
   mg      
  甲状腺    
     mg  
  心          
    g        
  肺         
    g        
  肝       
    g     
  腎      
    g    
  副腎     
    mg   
  脾      
    g    
  睾丸・卵巣    
    g・mg   
 
 

 
 
 
 
 
 
Cont.
516±36
2.06±0.08
12.2±2.6   
28.6±6.2 
1.32±0.44    
1.85±0.44    
16.84±1.60
3.01±0.41
62.1±17.4
0.71±0.19
 2.84± 7.34
P− 0 
501±61
2.09±0.06
10.4±1.3   
26.2±4.7 
1.28±0.15    
2.12±0.45    
16.06±2.89
2.74±0.32
54.9±11.5
0.71±0.19
 2.94± 0.19
P−15 
438±40
2.15±0.17
13.3±2.3(*)
28.1±7.7 
1.35±0.24    
2.66±0.86    
16.22±1.70
2.71±0.27
51.8± 7.5
0.70±0.16
 3.10± 0.54
P−30 
471±39
2.16±0.16
13.6±2.3(*)
28.7±8.2 
1.48±0.17    
2.81±0.76*   
15.41±2.28
2.98±0.78
60.0±10.4
0.71±0.14
 3.21± 0.33
P−60 
470±46
2.12±0.06
12.6±1.9   
28.3±9.4 
1.39±0.18    
2.42±1.04    
17.61±2.03
2.91±0.34
64.9±17.0
0.63±0.07
 2.87± 0.28
 
 

 
 
 
 
 
 
Cont.
263±20
1.93±0.12
15.7±3.6   
26.3±7.1 
0.89±0.04    
1.33±0.18    
 9.77±0.79
2.00±0.14
82.5±10.5
0.45±0.10
56.7 ±28.8 
P− 0 
268±18
1.96±0.13
11.7±2.4   
19.0±7.0 
0.82±0.04*   
1.24±0.23    
 9.97±1.67
1.91±0.13
87.9±21.9
0.45±0.07
60.8 ±25.7 
P−15 
288±20
2.06±0.13
15.8±5.3   
19.6±3.5 
0.99±0.10(**)
1.67±0.52    
10.60±1.13
1.92±0.15
74.5± 4.5
0.45±0.05
73.2 ±55.4 
P−30 
271±11
1.90±0.06
15.0±3.0   
20.3±6.3 
0.90±0.08    
1.39±0.14    
10.42±1.29
1.93±0.24
83.9± 6.9
0.44±0.05
49.2 ±11.1 
P−60 
269±31
1.94±0.14
10.9±1.2*  
16.5±2.5*
0.89±0.04(*) 
1.62±0.14*(*)
10.68±1.23
1.96±0.13
79.7±12.1
0.48±0.06
43.7 ± 3.73

5匹の平均値±標準偏差
 * >0.05  ** >0.01 対照群に対して
(*)>0.05 (**)>0.01 非照射群に対して



第13−b表 12ヶ月目の臓器重量(体重比)
   群   
       
  脳        
    g      
  脳下垂体       
     mg      
  甲状腺      
     mg    
  心            
    g          
  肺           
    g         
  肝           
    g         
  腎         
    g       
  副腎      
    mg    
  脾      
    g    
  睾丸・卵巣    
     g・    
 
 

 
 
 
 
 
 
Cont.
0.39±0.03  
2.36±0.41    
 5.57±1.34 
0.26±0.03      
0.36±0.09     
3.26±0.11     
0.58±0.08   
12.09±3.57
0.14±0.04
 0.55±0.07 
P− 0 
0.42±0.04  
2.10±0.37    
 5.30±1.12 
0.26±0.02      
0.42±0.07     
3.19±0.33     
0.55±0.05   
10.90±1.32
0.14±0.02
 0.59±0.08 
P−15 
0.49±0.04**
3.02±0.30(**)
 6.28±1.50 
0.31±0.03*(**) 
0.61±0.20*    
3.70±0.26**(*)
0.62±0.03(*)
11.87±1.88
0.16±0.03
 0.71±0.11 
P−30 
0.46±0.05* 
2.96±0.55(*) 
 6.13±1.87 
0.31±0.02**(**)
0.60±0.18*    
3.26±0.31     
0.63±0.11   
12.84±2.59
0.15±0.02
 0.68±0.07 
P−60 
0.45±0.05* 
2.68±0.25(**)
 5.96±1.60 
0.30±0.02*(**) 
0.53±0.27     
3.74±0.17**(*)
0.62±0.10   
13.96±4.45
0.14±0.03
 0.62±0.10 
 
 

 
 
 
 
 
 
Cont.
0.73±0.06  
5.94±1.16    
10.0 ±2.61 
0.34±0.03      
0.50±0.04     
3.71±0.13     
0.76±0.09   
31.50±4.63
0.17±0.03
21.38±9.81 
P− 0 
0.73±0.06  
4.41±1.08    
 7.15±2.43 
0.31±0.02      
0.47±0.10     
3.71±0.45     
0.66±0.14   
29.23±6.39
0.17±0.03
22.71±9.73 
P−15 
0.72±0.05  
5.52±1.95    
 6.86±1.52*
0.35±0.05      
0.50±0.08     
3.71±0.23     
0.66±0.04*  
26.01±3.12
0.16±0.02
25.11±18.07
P−30 
0.70±0.04  
5.58±1.29    
 7.57±2.62 
0.33±0.04      
0.52±0.07     
3.84±0.42     
0.71±0.01   
31.01±2.61
0.17±0.02
18.08±3.44 
P−60 
0.73±0.07  
4.05±0.21**  
 5.91±1.50*
0.33±0.04      
0.61±0.04**(*)
3.97±0.16*    
0.74±0.10   
30.01±6.63
0.18±0.04
16.02±2.83 

5匹の平均値±標準偏差
(g or mg/100g)
 * >0.05  ** >0.01 対照群に対して
(*)>0.05 (**)>0.01 非照射群に対して


9 剖検所見

 3、6、12、および24ヶ月の各時期に行なった解剖時の肉眼的所見を、変化を認めた例数とその変化の内容に従って各群ごとに集計し第15〜16表に示す。

 (a)3ヶ月:この時期では全般的に所見に乏しく、雄のP−0の1例で腎が軽度に黒色調を呈し、その割面皮質部でも同様の色調を呈するのを認めるに過ぎない。

 (b)6ヶ月:変化が見られる動物数は、雄では対照群およびP−0と比べ殆んど差がなく全般的にやや少ない。その変化像ではP−0およびP−30で腎の変化が見られるが、対照群では肝に集中して変化を見る。

 また雌ではP−15で甲状腺肥大と腎の色調変化を示す1例を見るが、他に著しい変化を認めない。

 (c)12ヶ月:雄では変化の例数が対照群で最も多い。変化の内容では肺の変化がP−30を除く各群に共通して認められる。雌ではP−0で変化例を見ないが、対照群と照射群で例数および変化の内容にほとんど差を見ない。

 (d)24ヶ月:24ヶ月ではほとんどの動物でなんらかの所見が認められ、その例数に群間で著しい差を見ない。一方その変化像としては、下垂体、甲状腺、肝、腎、脾、副腎、卵巣、および睾丸などの肥大、腎萎縮、副腎壊死、腫瘤等、やや重篤な所見が他の時期に比べ高頻度に現われる。

 雄ではP−60で下垂体肥大、脾肥大、および睾丸水腫が各々1例づつ見られる。しかしその他の所見では対照群あるいはP−0と比べ照射群に特異な所見は見られない。なお、対照群で肝の肥大、退色、脆弱が高頻度に見られるが、添加群ではP−60で1例に退色を見るに過ぎない。

 雌では下垂体肥大が各群に共通に出現するが、群間に一定の傾向を見ない。P−0で2例に卵巣肥大、また別に2例の腸出血を見る。さらにP−15で1例、P−60で2例に卵巣腫瘤が認められる。その他の所見については、各群間に著しい差を認めない。

10 自然死亡動物の剖検所見

 飼育期間中に自然死した動物の剖検所見を第17表に示す。死亡した各群の動物の60〜100%に肺炎像を認めるが、雄雌ともに各群間にその発現率に一定の傾向を見ない。またその他の所見でも群間に著しい差は認められない。

11 病理組織学的検査

 3、6、12、および24ヶ月の各時期に解剖した動物および自然に死亡した動物について脳、脳下垂体、甲状腺、心、肺、肝、腎、脾、副腎、卵巣、睾丸、胃および小腸、骨髄の諸臓器を材料として病理組織学的検査を実施した。

 試験初期においてはいづれの群の臓器でも著変を見ないが、後期においては腎でボーマン氏嚢内に恕状物の出現、尿細管上反細胞の膨化が少数例に軽度に認められるほか、多くの例に尿円柱の出現が見られる。しかしこれらの所見は、対照群と添加群あるいは照射各群の間で差を見ない。また肝に軽度の円形細胞の浸潤および肝細胞の空胞化を見る例があるが、この所見も各群に共通して認められ群間に一定の傾向を見ない。このほか12ヶ月以降に死亡あるいは解剖した例では腫瘍性変化を呈するものがあるが、これについては腫瘍の項で述べる。

12 腫瘍

 顕微鏡的に腫瘍と認めた例数およびその内容は第18表に示すとおりである。

 雄では対照群で腫瘍発生例を見ないが、添加群で1〜3例に腫瘍を認める。しかしP−0と照射群の間にほとんど差はない。

 雌では全般的に雄に比べて腫瘍発生例が多く、ことに乳腺腫瘍を含めて組織腫瘍が目立つ。しかし対照群と添加群の間に例数および発生部位に関してほとんど差を見ない。

13 小括

 γ線照射馬鈴薯についてラットによる24ヶ月間の詳細な長期慢性毒性試験を行なった。本実験の各検査項目における結果の評価については、照射群における数値が対照群および非照射群両者に対して有意の増減を示し、かつこのような変化が線量に関連があると考えられる場合にのみ意味のあるものとした。

 このような評価尺度を基として本実験の結果を総括すると、雌の体重および卵巣重量に変化が見られ、体重の変化については非照射群に比べて、P−30およびP−60では55週以後軽度の抑制が生じ、105週においてこれらの体重増加率がP−0および対照群に比べて有意の差を示す。また、卵巣重量についてはP−60において6ヶ月で有意の減少を示し、12ヶ月では有意ではないが減少の傾向を示した。しかしこのような重量の変動にかかわらず、組織学的所見では異常を認めなかった。

 (池田良雄、戸部満寿夫、鈴木康雄、小林和雄、鈴木幸子、川崎 靖)

6. 結語

 照射馬鈴薯の安全性を調べるため、dd系マウス総数400匹、およびWistar系ラット総数300匹による両動物の生涯の大部分にわたる長期慢性毒性試験、アカゲザル5頭による6ヶ月の短期毒性試験、dde系マウス41匹から出発して3代にわたる次世代に及ぼす影響に関する試験(次世代試験)を行なった。長期慢性毒性試験においては、試験材料として馬鈴薯非添加の通常の飼料(negative control)、非照射馬鈴薯(positive control)、15、30、および60krad照射馬鈴薯添加飼料、サルでの短期毒性試験では、positive controlと60krad照射馬鈴薯添加飼料、次世代試験においては、negativeおよび、positive controlと60krad照射馬鈴薯添加飼料を用い、これらの馬鈴薯はすべて35%の割合で通常の飼料に混合した。

 これらの各種試験における毒性判断の尺度は、ラットにおいては成長、食餌効率、一般症状、死亡率、血液学的検査(赤血球数、ヘモグロビン、ヘマトクリット、白血球数およびその分類)、血液の生化学的検査(血清総たん白、ブドウ糖、コレステロール、アルカリホスファターゼ、トランスアミナーゼ)、病理学的検査(肉眼所見、器官重量、組織学的所見、腫瘍発生率)である。サルにおいても大体同様であるが、食餌効率を算定せず、また、血液の生化学的検査においては、コレステロールの代りにアルブミンおよび尿素窒素の定量をした。マウスの長期慢性毒性試験においては、催腫瘍性有無に検査の主眼を置いた。次世代試験においては、各世代における妊娠率、出産仔数、哺育率、成長、一般症状、死亡率、奇形発生の有無等を毒性判断の指標とした。

 照射馬鈴薯についての前記の広汎な毒性研究の結果を総括して述べると、マウスおよびラットにおける長期慢性毒性試験においては、諸種の検査項目において馬鈴薯を飼料に混入したことによる影響が明らかに認められているが、照射馬鈴薯摂取によると考えられる影響はほとんど認められない。しかしラットの30および60krad群の雌における体重抑制と60krad群の卵巣重量の変化が認められた。後者については実験6ヶ月後において、negativeおよびpositive controlに対して有意の減少を示し、12ヶ月後においては推計学的に有意ではないがやはり減少の傾向を示していた。これらが照射馬鈴薯摂取によるかもしれないと考えられる唯一の所見である。マウスにおける長期毒性試験と次世代試験、およびサルにおける短期毒性試験においては、催腫瘍性および催奇形性を含め、照射によると考えられる影響は認められなかった。

 以上のとおり、照射馬鈴薯の各種動物における毒性試験の結果を総括すると、雌ラットにおける所見を除けば、照射馬鈴薯による著明な毒性発現は認められなかったので15krad以下の照射では無影響レベルと考える。

 馬鈴薯の照射はすでに諸外国で実用化されているが、過去3年以上に亘ってわれわれが行なった詳細な毒性研究の結果は、安全性の立場からみて、照射馬鈴薯に対して危険視すべき根拠がないものと考えられ、また諸外国における実用化の妥当性を裏付けるものである。




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