生後4週令wistar系ラット雄雌各々30匹からなる群を5群用意し、それぞれ対照群(cont.)、非照 射群(0−0)、7krad照射群(0−7)、15krad照射群(0−15)および30krad照射群(0−30)とし、 相当する飼料で24ヶ月間飼育した。各動物は個別ケージで飼育し、飼料ならびに水は自由に摂取させ たい。
なお、報文中の照射群とは、7、15および30kradの各γ線照射群を意味し、添加群とは、照射、非照 射にかかわらず玉ねぎを25%添加したすべてを意味する。
試験開始後1年間は、いずれの群でも特記すべき症状の発現を見ないが、試験後期には斜頚、眼球 白濁、背部皮膚表層潰瘍および脱毛の諸症状が少数例に出現した。しかし、これらの症状発現例数 は群間に殆んど差は認めない。
図B−1、2に示すごとく、雄雌ともに試験開始直後から添加群で体重増加抑制が見られ、81および 105週の時点で各群の体重増加率を比較すると表B−1に示すようにcont.に対して、いずれの添加群 で有意の減少を示す。しかし、0−0と照射群あるいは線量間には差を認めない。
摂餌量(g/day/rat)の推移は、表B−1、2に示すとおりで、雄雌とも60週頃より添加群で、やや低 値を示すが、0−0と照射群の間には差を見ない。
摂水量(ml/day/rat)を表B−1、2に示す。表のごとく雄雌ともに群間に殆んど差を見ない。
27週までの食餌効率は、図B−3に示すとおりで、雄では8週、また雌では6週目で、いずれの添加群で、 cont.の値を下廻る。しかし、添加群間には一定傾向の差がなく、その後の時期ではcont.と添加群 の間に殆んど差を見ない。
自然死亡動物数および死亡率は、表B−2および図B−4に示すとおりで、各群の死亡数は、雄で5〜 10例、雌で5〜11例の範囲にある。雄では、0−15および0−30で高く、cont.および0−0に比べいず れも有意の差を見る。また、雌では、cont.に比べ添加群で、いずれも有意に高い。しかし、雌で は0−0と照射群の間に著しい差を見ない。
3、6、12および24ヶ月の各時期に行った血液学的検査の成績を表B−3、4、5に示す。
3ヶ月:雄雌ともに、添加群で赤血球数およびヘモグロビン量(Hb)の減少あるいは減少傾向を見 る。また、雄の0−0で白血球数の増加を、雌の添加群でいずれもヘマトクリット値(Hb)の減少傾 向あるいは減少を見る。その外、0−7で白血球数の減少を認める。
しかし、これらの変化は、雄雌とも0−0と照射群の間に差を見ない。
6ヶ月:雄雌ともに、いずれの添加群で赤血球数の有意の減少、Hb量で減少あるいは減少傾向を示 す。その外、Ht値が雄では0−0、0−15および0−30、雌で0−0、0−7および0−15に有意の減少を見 る。しかし、これらの変化は、雄雌ともに、0−0あるいは線量間に一定の傾向を見ない。
12ヶ月:雄雌ともに添加群で赤血球数の減少を示し、照射群で有意の変化を見る。Hb量は、雄の 0−0で減少傾向、照射群で有意の減少を、また雌では、0−7が減少傾向を示す外、0−0、0−15およ び0−30で有意の減少を見る。その外、Ht値は雄の添加群で減少傾向あるいは減少を示し、雌ではい ずれの添加群で有意の減少をみる。さらに、cont.、0−0および0−30で測定した網状赤血球数では、 雄雌ともに0−0および0−30が対象群を上廻る。しかし、これらの変化は、0−0と照射群の間に差 を認めない。
24カ月:雄雌ともに添加群で、赤血球数、Ht値およびHb量で減少ないしは減少傾向を生じ、また 雌の0−0および0−30で網状赤血球数の増加を見るが、これらの変化は、0−0と照射群あるいは線量 間に一定の傾向が見られず、かつ殆んど差を認めない。
なお、白血球百分比は、検査した各時期において、cont.および0−0と各照射群あるいは線量間 に殆んど差を認めない。
3、6、12および24ヶ月に行った血液の生化学的検査成績を表B−6、7、8に示す。
3ヶ月;雄では、0−15を除く添加群でtotal-cholesterolおよびfree-cholesterolの増加傾向が 生じ、さらに0−30でester比の減少傾向を見る。一方、雌では、添加群でGOTおよびAIPの減少傾向 を見る。しかし、これらの変化は雄雌とも添加群間に差を認めない。
6ヶ月;雄では、0−15でAIPおよびUrea-Nの有意の減少を見る。また、0−30でGPTが0−0に比べ有 意の増加を示しているが、この変化は、0−0のGPTが他の群よりも異常に低値を示すためで、cont.と 照射群の間には殆んど差は認められない。
また、雌では、いずれの項目についてもcont.と他の群の間に有意の変化を認めない。
12ヶ月;雄では0−0でtotal-cholesterolおよびfree-cholesterolの減少あるいは減少傾向を見 るが、ester比には群間に殆んど差がない。雌では、添加群でUrea-Nおよびtotal-cholesterolの減少 傾向を、また0−7および0−30でGPTの減少傾向を示すが、添加群間ならびに線量間に差を認めない。 その他の項目については、雄雌ともに群間に殆んど差は見られない。
24ヶ月;雄では、0−7でGlucoseの有意の減少、0−0および0−15でProteinの有意の増加、0−0で Urea−Nの有意の減少ならびに各照射群で減少傾向を示す。また、0−0のester比で減少、GPTで増 加を見るが、群間あるいは線量間に一定の傾向が見られない。
雌では、0−30でtotal-cholesterol、free-cholesterolおよびester比で有意の減少を、またGPT で減少傾向を見るが、これらの変化は0−0と各照射群の間には殆んど差を認めない。
3、6、12および24ヶ月の各時期に解剖した動物の臓器湿重量および体重比について表B−9、10、 11、12のa、bに示すとおりである。なお、臓器重量の評価に際しては、cont.あるいは0−0に比べ、 実測値と体重比で、ともに同一方向に差を示すものについてのみ変化のあるものとした。その結果、 解剖した各時期において、雄雌ともに該当する臓器は認められない。また、cont.と添加群を比べた 場合は、雄雌ともに3、6、および12ヶ月の各時期で、脾の有意の増加を示し、24ヶ月目では、雄の0− 30および雌の0−7を除くすべての添加群で脾の増加を認める。その外、雄では、12ヶ月目の0−0の 肺で増加を見るにすぎない。雌では、3ヶ月目で0−7の副腎の増加、0−30で肝および副腎の増加を、 また12ヶ月目では、0−15で甲状腺の減少、0−30で肝の増加と甲状腺の減少を認める。
しかし、これらの変化を前述の評価方法で見た場合、0−0と照射群の間に殆んど差を認めず、かつ 線量間に一定の傾向を認めない。
3ヶ月;添加群の雄雌で脾の肥大例を高率に見るが、その他に特に著変を認めない。
なお、6、12および24ヶ月目の各時期に行った解剖時の肉眼所見を、変化を認めた例数とその変 化の内容に従って各群ごとに集計し表B−13、14に示す。
6ヶ月;雄では、cont.の1例に肝膿瘍を、また、各添加群で腎の帯黒色変化を1〜3例に、0−15お よび0−30で、それぞれ3例に腎の褪色を認める。また、脾では添加群で3〜5例に帯黒色変化を、2 〜4例に肥大を見る外、0−0、0−15および0−30でそれぞれ1、1および3例に肺炎を認める。
雌では、添加群で腎の帯黒色変化、脾の帯黒色変化ならびに肥大を1〜2例に見る外、0−15の1例 に横隔膜ヘルニヤを、0−30の1例に肺炎および黄色結節を認める。なお、肝および腎の変化は、 0−0と照射群の間に殆んど差を認めない。
12ヶ月;雄では、脾の帯黒色変化および肥大をcont.で1例、添加群で1〜3例に認める外、cont.の 1例に小腸粘膜面の出血を、また脾の変化を見る1例に肺炎を併存する。添加群では、0−0の3例に肺 炎、うち1例は膿瘍を呈し、他の1例は副腎の肥大を見る。0−7では、1例に腎の表面粗ソウを、0−15 では、1例に肺炎、肝の帯黒色変化および腎の帯黒色変化を、他の1例に腎の褪色を見る。0−30では、 1例に肝肥大、2例に腎の帯黒色変化を認める。雌では、添加群で脾の帯黒色変化および肥大をそれ ぞれ1〜4例および4〜5例に認める。その外、cont.の1例で子宮蓄膿を0−0の2例で腎の帯黒色変化を、 0−7で2例に腎帯黒色変化および1例に肺炎および肺膿瘍を、0−15では1例に腎の帯黒色変化、他の 1例に1側の腎欠如を認める。
また、0−30では、1例に肺炎、1例に卵巣水腫を認める。なお、雄雌ともに肺、肝、腎、副腎お よび卵巣の変化を認めた殆んどの動物は、脾の変化と併存している。また、これらの変化は、0−0と 照射群あるいは線量間に差を認めない。
24ヶ月;この時期では、多彩な変化が出現するが、雄雌ともに前3回の所見と同様に脾の肥大およ び帯黒色変化が高率に見られる。外、脳下垂体、顎凹部、甲状腺、肺、肝、腎、副腎、睾丸、卵巣、 および子宮などに変化を認めるが、脾を除く各臓器の変化は、cont.と添加群あるいは、0−0との間 に差を見ない。
また、24ヶ月目の解剖時に認められた腫りゅうは、雄で、0−7、0−15および0−30で肝腫りゅうをそれぞ れ3、1および1例に、0−7および0−15の副腎で各1例を、また体表部では、0−0の1例に腋下部腫りゅう、 0−7の1例に腹部および腋下部腫りゅうの併存、0−30で1例に腹部の腫りゅうを見る。一方、雌では、0−30 の1例に脾腫りゅう、他の1例に卵巣腫りゅうを見る。また、体表部では、cont.で顎凹部、大腿部および腋 下部にそれぞれ1例づつ、0−7では顎凹部、腹部および大腿部にそれぞれ1、1および3例に見るが、 うち1例は腹部と大腿部腫りゅうを併存するものである。0−7では、大腿部腫りゅうを1例に、0−15では腹 部、大腿部および腋下部にそれぞれ1、2および1例を見るが、うち1例は腹部、大腿部および腋下部 の腫りゅうを併存する。0−30では、腹部の腫りゅうを1例に認める。以上のように24ヶ月目の腫りゅう発現は、 雄雌ともに群間に殆んど差が見られず、かつ臓器特異的な傾向も認めない。
飼育期間中に自然死した動物の剖検所見を表B-15に示す。死亡した各群の大部分(60〜100%) に肺炎を認め、その他の臓器では散発的に変化を見るにすぎない。また、死亡動物の腫りゅう発現は、 雌で0−30の1例に脾腫りゅうを、0−7の1例に子宮の腫りゅうを見る外、体表部では、cont.の1例に大腿部 腫りゅう、0−0で顎凹部および腹部にそれぞれ1例、0−15で顎凹部および大腿部にそれぞれ2例、0−30 で腹部に1例を見る。しかし、各臓器の変化および腫りゅうの発現数は群間に一定の傾向の差が認めら れない。
3、6、12および24ヶ月の各時期の脳、脳下垂体、甲状腺、口、肺、肝、腎、脾、副腎、睾丸、卵 巣、胃および小腸の組織学的所見を表B−16、17、18、19に示す。
3ヶ月;雄雌ともに、肝、腎および脾に主な変化が見られ、特に添加群で肝のクッパー細胞の肥大 およびど貪食像を、脾のヘモシデリン沈着を著明に認める外、雌の添加群で脾の充うっ血を見る。腎 では、雄雌とも添加群で軽度の細尿管上皮細胞の肥大、ヘモシデリン様物の沈着を、またcont.を含 む各群で腎尿細管内に軽度の上皮性尿円柱を認める。
6ヶ月;雄では、主な変化が腎および脾に見られ、腎では各群ともに細尿管上皮細胞の極軽度の膨 化、上皮性尿円柱、および間質の拡張、円形細胞の浸潤、脾ではヘモシデリンの沈着を見るが、脾 の変化はcont.に比べすべての添加群で多く見られ、かつ充うっ血を伴う像を認める。また、添加群 の腎では、細尿管上皮細胞の軽度の脱落ならびに上皮細胞内ヘモシデリン様物の沈着を殆んどの動 物に認める。なお他の臓器では、cont.の1例に肺胞壁の肥厚、肝で1例づつ円形細胞の浸潤および クッパー星細胞の肥大を見る。添加群では、0−0と0−30の肝で円形細胞の浸胸を1および3例に、 0−7、0−15および0−30でクッパー星細胞の肥大を1〜3例、0−0の1例にグリッソン氏鞘内円形細胞 の浸潤を見る。
雌では、cont.に比べ添加群で肝、腎および脾の変化が多く見られる。肝では、各添加群で円形細 胞の浸潤を3例づつ、0−7の1例に肝細胞の空胞化、各添加群の3〜5例にクッパー細胞の肥大ならび に貪食像を見る。腎では、各添加群で軽度の細尿管上皮細胞の膨化を2〜5例に、ヘモシデリン様物 質の沈着を1〜3例に認める外、間質円円形細胞の浸潤を1〜2例に見られる。また、cont.、0−7、 0−15および0−30で3例づつ細尿管内上皮性尿円柱を見る。脾では、添加群のすべての動物でヘモ シデリン沈着および充うっ血を見る。
以上のように、6ヶ月目においては、雄では主に腎および脾に、雌では肝、腎および脾に変化を見 るが、これらの変化は0−0と照射群の間に殆んど差を見ない。
12ヶ月;雄では、cont.で1例に肝でクッパー星細胞の肥大、腎で2例に細尿管内上皮性尿円柱、3例 に細尿管の拡張を見る。一方、添加群では、肝でクッパー星細胞の肥大を1〜3例に、腎では細尿管 上皮細胞の軽度の膨化を1〜2例に、細尿管内上皮性尿円柱を3〜4例、細尿管上皮細胞内ヘモシデリ ン様物質の沈着を殆んどの動物に見る。また、0−15および0−30でそれぞれ1および2例に細尿管の 拡張を認める。脾では、添加各群の殆んどの動物にヘモシデリンの沈着、1〜3例に充うっ血を見る。 その他の臓器では、0−0の1例に肺炎を0−15の1例に気管支性肺炎を認める。肝では、0−0で肝細胞 の空胞化および円形細胞の浸潤を各2例、0−7で円形細胞の浸潤を1例に、0−30では肝細胞の肥大 および肝細胞の空胞化をそれぞれ1例づつ認める。
雌では、cont.で1例にクッパー星細胞の肥大、3例に腎細尿管内上皮性尿円柱を見る。
添加群では、肝でクッパー星細胞の肥大、および貪食像を1〜2例に、腎で細尿管内上皮性尿円柱 および細尿管上皮細胞内ヘモシデリン様物質をそれぞれ4〜5例に、脾ではヘモシデリン沈着を殆ん どの動物に認める。その外、0−7、0−15および0−30の肝で円形細胞の浸潤を1〜2例に、0−15お よび0−30の腎でそれぞれ2例に細尿管上皮細胞の軽度の膨化を、0−7および0−30で各2例に細尿管 の拡張を、0−30の1例で腎、乳頭部の壊死を認める。また、0−0、0−15および0−30の脾でそれぞ れ2例に充うっ血を、0−30の1例に卵巣の嚢胞状変化を見る。
以上のように、雄雌ともcont.と添加群との間には、肝、腎および脾で変化の数に差を見るが、 0−0と照射群あるいは線量間に明らかな差が認められない。
24ヶ月;雄では、cont.で甲状腺濾胞の拡張を2例、肺炎を4例、肝で肝細胞の空胞化を2例、腎で細 尿管内上皮性尿円柱を4例に、間質の拡張を3例に見る。一方、添加群では、各群とも肝で肝細胞の 空胞化を1〜2例、腎の細尿管内上皮性尿円柱を2〜8例、細尿管上皮細胞内ヘモシデリン様物質の沈 着を2〜8例、脾でヘモシデリン様物質の沈着を2〜8例、脾でヘモシデリン沈着5〜10例および充うっ 血を3〜5例に認める。また、腫瘍性変化としては、0−30で甲状腺腺腫および肝腫瘍をそれぞれ1 例づつ、0−0では腋下部に線維腺腫、0−7では、頚部の線維腫、腋下部の線維腺腫および腹部の線 維腺腫、0−15で頚部の線維腫0−30で腹部の線維腺腫をそれぞれ1例づつ認める。
雌では、主な変化は、腎および脾に認められ、他の臓器では散発的に見られるにすぎない。すな わち、腎ではすべての群で細尿管内硝子様尿円柱を2〜4例、添加群で細尿管上皮細胞内にヘモシデ リン様物の沈着を3〜5例に、またcont.、0−15および0−30では細尿管内に上皮性尿円柱を1〜2例、 脾では、添加群でヘモシデリン沈着を1〜4例に、0−0、0−15および0−30で充うっ血を1〜2例認め る。また、腫瘍性変化としては、0−0、0−7および0−15の各1例に脳下垂体の腺腫を、0−30の1例 に肺腺腫を認める外に、体表部では、cont.で頚部の線維腫、腋下部の線維腺腫および大腿部の線維 腫を各々11例づつ、0−0では頚部の線維腫および大腿部の線維腫をそれぞれ1および3例に、0−7で は、大腿部の線維腫を1例、0−15では腋下部の線維腺腫、大腿部の線維腫および腹部の線維腺腫を それぞれを1例、0−30では腹部の線維腺腫を1例認める。
以上のように24ヶ月目の組織学的変化としては、雄雌ともに腎および脾に多く見られるが、0−0と 照射群の間に著しい差が見られない。また、腫瘍の発現数ならびにその内容においてもcont.およ び0−0と照射群との間に明らかな差を見ない。
3、6、12、24ヶ月目に解剖した動物および自然死亡した動物で組織学的に診断の可能なものについ て検査した結果の総括を表B-20に示す。
雄では、0−0で1例に線維腺腫を、0−7で頚部の線維腺、腋下部の線維腺腫を各々1例づつ、0−15 では1例に頚部の線維腺腫を、0−30では腋下部の線維腺腫、甲状腺腺腫および肝腫瘍をそれぞれ 1例づつ認める。
一方雌では、cont.で頚部の線維腫、腋下部の線維腺腫、大腿部の線維腫、肺腺腫および副腎腺それ ぞれ1例づつ、0−0では頚部および大腿部の線維腺腫をそれぞれ2および3例、脳下垂体の腺腫を1例に 認める。0−7では、大腿部の線維腺および脳下垂体腺腫を1例づつ、0−15では腋下部、腹部の線維 腺腫および大腿部の線維腫をそれぞれ1例づつ、脳下垂体の腺腫を2例に認める。0−30では、腋下 部の線維腫、腹部の線維腺腫および脾腫瘍を1例づつ認める。
なお、群別の腫瘍発現動物数を見ると、雄では、cont.30例中0、0−0で29例中1例、0−7で30例中 2例、0−15で31例中1例、0−30で30例中3例であり、雌ではcont.30例中5例、0−0で27例中4例、0−7で 29例中2例、0−15で29例中4例、0−30で27例中3例である。
以上のように、雄雌ともに腫瘍の発現数およびその内容は、cont.および0−0と照射群ならびに線 量間に差を認めない。
ウィスター系ラット雄雌各々30匹からなる群を5群用意し、0、7、15、および30krad照射玉ねぎを 25w/w%含む飼料で24ヶ月間飼育し、残り1群を対照群として普通飼料を同期間与えた。
玉ねぎを添加した群では照射の有無に係わらず、体重、食餌効率、死亡率、血液所見、および臓器 重量に変化が生じ、さらに病理組織的所見で主として脾臓に変化像が認められた。
しかし、いずれの検査成績にも照射によると考えられる明確な悪影響は認められなかった。