食品照射に関する文献検索

Q&A(QUESTION and ANSWER)

食品照射の応用分野(2)法規制と安全管理


文書



10.わが国における法規制と安全管理


10.わが国における法規制と安全管理

概要

 照射施設の安全確保は、放射性同位元素等による放射線障害の防止に関する法律(障防法)で規制されている。また、照射食品の安全確保は、食品衛生法に基づき、食品照射を実施する営業者の許可や適正線量の確保による食品の安全確保、表示方法などが規定されている。

内容

 わが国唯一、照射が許可されている食品の馬鈴薯も、これまでの研究結果に基づき、昭和47年(1972年)に食品衛生法に基づく許可を取得した。

 食品衛生法では、原則として食品を製造および加工する場合に放射線を照射することを禁止したおり、馬鈴薯の場合は安全性を審査し確認して、特例として照射が許可された。この場合、60Coからのγ線を使用し、馬鈴薯の吸収線量が 150Gy以下であることなどが条件である。実際の照射にあたっては、同法に基づき、食品照射を行うことができる営業者が許可されるとともに、上記の条件で実施していることを確認するため、規制担当部局(実際は当該地区保健所)によって事業所への立入り調査を受けている。また、営業者も自ら毎日、馬鈴薯のコンテナの中に線量計を入れて自主的に線量管理を実施している。

 食品衛生法の食品照射関係条文:立入調査・許可条件等

 (ア)第1条:この法律は、飲食に起因する衛生上の危害の発生を防止し、公衆衛生の向上及び増進に寄与することを目的とする。

 (イ)第7条第1項:厚生大臣は、公衆衛生の見地から、販売の用に供する食品若しくは添加物の製造、加工、使用、調理若しくは保存の方法につき基準を定め、又は販売の用に供する食品若しくは添加物の成分につき規格を定めることができる。

 (ウ)同条第2項:前項に規定により基準又は規格が定められたときは、その基準に合わない方法により食品若しくは添加物を製造し、加工し、使用し、調理し、若しくは保存し、その基準に合わない方法による食品若しくは添加物を販売し、若しくは輸入し、又はその規格に合わない食品若しくは添加物を製造し、輸入し、加工し、使用し、調理し、保存し、若しくは販売してはならない。

 (エ)第11条第1項:厚生大臣は、公衆衛生の見地から、販売の用に供する食品若しくは添加物又は前条第1項の規定(営業上使用する器具及び容器包装の衛生化を規定)により規格若しくは基準が定められた器具若しくは容器包装に関する表示につき、必要な基準を定めることができる。

 (オ)同条第2項:前項の規定により表示につき基準が定められた食品、添加物、器具又は容器包装は、その基準に合う表示がなければ、これを販売し、販売の用に供するために陳列し、又は営業上使用してはならない。

 (カ)第17条第1項:厚生大臣、都道府県知事又は保健所法(昭和22年法律第101号)第1条規定に基く政令で定める市(以下保健所を設置する市をいう。)の市長は、必要があると認めるときは、営業を行う者その他の関係者から必要な報告を求め、当該官吏吏員に営業の場所、事務所、倉庫その他の場所に臨検し、販売の用に供し、若しくは営業上使用する食品、添加物、器具若しくは容器包装、営業の施設、帳簿書類その他の物件を検査させ、又は試験の用に供するのに必要な限度において、販売の用に供し、若しくは営業上使用する食品、添加物、器具若しくは容器包装を無償で収去させることができる。

 (キ)第20条:都道府県知事は、飲食店営業その他公衆衛生に与える影響が著しい営業(食鳥処理の事業の規則及び食鳥検査に関する法律第2条第5号(略)に規定する食鳥処理の事業を除く。)であって、政令で定めるものの施設につき、業種別に、公衆衛生の見地から必要な基準を定めなければならない。

 (ク)同法施行令第5条(営業の指定):法第20条((ハ)参照)の規定により都道府県知事が施設についての基準を定めるべき営業は、次のとおりとする。(全部で30を指定)

  14の二:食品の放射線照射業。

 (ケ)同法施行規則第5条(同法第11条の関係):別表第三に定める食品又は添加物であって販売の用に供するものの表示の基準は、次のとおりとする。ノ:別表第三第八号に掲げる食品にあっては、放射線を照射した旨。(別表第三の八号で放射線照射食品と規定している) (コ)食品、添加物等の規格基準(厚生省告示第370号)第1(食品)B(食品一般の製造、加工及び調理基準)1:食品を製造し、又は加工する場合は、食品に放射線(原子力基本法(昭和30年法律第186号)第3条第5号に規定するものをいう。以下第1 食品の部においても同じ。)を照射してはならない。ただし、食品の製造工程又は加工工程において、その製造工程又は加工工程の管理のために照射する場合であって、食品の吸収線量が0.10グレイ以下のとき及びD 各条の項において特別の定めをする場合は、この限りではない。

 (サ)同規格基準第1(食品)D(各条)4(野菜の加工基準):発芽防止の目的で、ばれいしょに放射線を照射する場合は、次の方法によらなければならない。

(1)使用する放射線の線源及び種類は、コバルト60のガンマ線とすること。

(2)ばれいしょの吸収線量が150グレイを超えてはならないこと。

(3)照射加工を行ったばれいしょに対しては、再度照射してはならないこと。




関連する文献一覧に戻る

ホームに戻る