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Q&A(QUESTION and ANSWER)

食品照射の応用分野(2)法規制と安全管理


文書



12.照射食品の検知技術


12.照射食品の検知技術

概要

 規制担当部局、流通業界、消費者にとって食品が照射されたか否かを知る唯一の方法は、照射したことを明確に表した表示を行うことである。照射食品を識別する技術(照射食品の検知技術)も国際プロジェクトの成果としていくつかの方法が確立されつつある。そして、これら技術の開発により放射線照射を適正に表示させるのに役立つ。

内容

1.照射食品には、原則として、放射線を照射したことの表示が国際的に義務付けられている。カナダで1989年4月に開催された国連食糧農業機関(FAO)/世界保健機関,(WHO)合同の国際食品規格委員会・食品表示部会およびその上部組織である国際食品規格委員会の第19回会合(1991年)で、下記が採択され、FAOおよびWHOの加盟各国に受諾が勧告された。

  1)照射処理された食品表示においては、食品の名称のすぐ近傍にその処理を示す文字を表示しなければならない。国際的表示であるマーク(RADURAマーク、次項参照)の使用は任意である。ただし、マークは食品の名称のすぐ近傍に存在しなければならない。

  2)照射食品が他の食品の原材料として用いられたときは、その旨を原材料表中に記載しなければならない。

  3)ある複合食品中の原材料の名称が国際食品規格計画または各国法規によって定められており、その複合原材料がその食品の25%未満のときは、その最終製品で技術的機能を果たす食品添加物以外の原材料を個別に表示する必要はない。すなわち、上記に該当する時は、たとえ照射処理したものであっても、その事実を表示する義務はない。

 4)単一の原材料の製品が、食品照射の行われた一つの原材料から製造されたとき、その製品のラベルには、その処理を記載した文言が含まれていなければならない。

2.わが国では、照射馬鈴薯は表示が義務付けられており、ダンボール箱および個装袋に放射線を照射したことを表す表示をしている。

3.海外でもオランダ、米国、ベルギー、南アフリカ、タイ、イスラエルなどほとんどの国で照射した旨表示されて市販されている。

4.照射食品を正しく表示させるためには、照射食品を判別する技術(照射食品の検知技術)が必要である。しかし、放射線照射による食品成分の変化はほとんどなく、照射食品中の変化は加熱や乾燥などによっても引き起こされるものがほとんどであり、また、その変化は食品の貯蔵中に消滅することもあり、照射食品の検知技術の開発は困難であるといわれていた。

5.近年の科学技術の進歩に伴い1980年代後半にいくつかの有望な検知技術が報告されるようになったため、国際原子力機関(IAEA)/ FAOは1990年からの5カ年の計画で、照射食品の検知技術の開発のためのプロジェクトである「食品の照射処理の検出法(ADMIT)に関する研究プログラムを開始した。このプロジェクトと同様のプロジェクトがECでも行われており、この2つのプロジェクトが協力して照射食品の検知技術の開発を行っている。

6.現在のところ、ESR(骨付の肉、殻付の魚介類)、熱ルミネッセンス(香辛料などの食品一般)などの技術が確立されつつある。




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