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Q&A(QUESTION and ANSWER)

食品照射の応用分野(2)法規制と安全管理


文書



13.照射食品の表示の問題


13.照射食品の表示の問題

概要

 照射食品の表示に関しては、国連食糧農業機関(FAO)/ 世界保健機関(WHO)の合同国際食品規格委員会が放射線を照射した旨を食品名に近接して表示することを義務付ける勧告を行っている。なお、これにはロゴも付けることができるようになっている。

 日本の場合、照射馬鈴薯の表示は食品衛生法の規定により、包装容器などに放射線を照射した旨言葉で表示するよう規定している。なお、一般の食品についても、同法により、使用した食品添加物や加熱、冷凍などの保存方法などについて定められた表現などによって表示するよう規定されている。表示場所は包装、容器を開けなくても容易に見えるところとされている。

 内容

1.これまで照射食品の表示について国際的に統一された規格はなく、慣例として国際的に通用しているロゴであるRADURAマークや「照射」、「イオン化処理」といった言葉で表示されてきた。しかし、世界的な食品照射の実用化の進展に伴って、近い将来、照射食品が食料貿易の場に登場することが予想されるため、FAO/ WHO合同国際食品規格委員会が、照射食品の表示方法について検討してきた。その結果、イオン化放射線(ionizing radiation)で処理された食品(照射食品)は、

1)食品の名称のすぐ近傍にその処理を示す文字を表示しなければならない。国際的ロゴ(RADURAマーク)の使用は任意である。ただし、その場合は食品の名称のすぐ近傍につけることとする、

2)照射食品が他の食品の原材料として使用された場合はその旨原材料表に記載しなければならない。ただし、照射原材料が加工食品中に占める割合が25%未満の場合は最終食品の表示で照射原材料名の表示義務は免除される、などとの結論を得て、加盟国に同規格の受諾を勧告している。

2.食品衛生法では、営業を目的とした食品の衛生の確保などのため、食品処理方法やその表示方法などについて種々の規格・基準を規定している。例えば、表示について、食品添加物の名称、加熱、冷凍、乾燥などの処理方法と食品名、殺菌方法などについて、包装容器の見やすいところに記載するよう規定している。わが国唯一の照射食品である照射馬鈴薯についても食品の種類、照射事業者、照射線量、線源、表示方法などが規定されており、特に、表示については、同法施行規則の中で「放射線を照射した」旨表示することとなっている。

3.国際食品規格委員会の勧告事項は、加盟各国への国内法取り入れなどについての強制力はないが、表示方法に関し、独自の国内法が整備されていても、食品照射が国際的に普及した場合、照射食品の輸出入時に、国際規格外の方法による表示を相手方に要求した場合は、非関税障壁として非難される可能性がある。

4.表示問題とは異なるが、食品照射という手段についても既に国際食品規格委員会によって「照射食品に関する国際一般規格」および「食品照射実施に関する国際基準」が加盟各国に受諾勧告されている。なお、この国際食品規格委員会が作成した国際規格・基準は、平成7年1月に発足が予定されている世界貿易機関(WTO)での食品の安全性についての判断基準とされることが明かにされている。

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   │RADURAマーク│  │日本の例 │
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    RADURAマーク   日本の例

   食品衛生法の食品照射関係条文:表示等

 (ア)第1条:この法律は、飲食に起因する衛生上の危害の発生を防止し、公衆衛生の向上及び増進に寄与することを目的とする。

 (イ)第7条第1項:厚生大臣は、公衆衛生の見地から、販売の用に供する食品若しくは添加物の製造、加工、使用、調理若しくは保存の方法につき基準を定め、又は販売の用に供する食品若しくは添加物の成分につき規格を定めることができる。

 (ウ)同条第2項:前項の規定により基準又は規格が定められたときは、その基準に合わない方法により食品若しくは添加物を製造し、加工し、使用し、調理し、若しくは保存し、その基準に合わない方法による食品若しくは添加物を販売し、若しくは輸入し、又はその規格に合わない食品若しくは添加物を製造し、輸入し、加工し、使用し、調理し、保存し、若しくは販売してはならない。

 (エ)第11条第1項:厚生大臣は、公衆衛生の見地から、販売の用に供する食品若しくは添加物又は前条第1項の規定(営業上使用する器具及び容器包装の衛生化を規定)により規格若しくは基準が定められた器具若しくは容器包装に関する表示につき、必要な基準を定めることができる。

 (オ)同条第2項:前項の規定により表示につき基準が定められた食品、添加物、器具又は容器包装は、その基準に合う表示がなければ、これを販売し、販売の用に供するために陳列し、又は営業上使用してはならない。

 (カ)同法施行規則第5条(同法第11条の関係):別表第三に定める食品又は添加物であって販売の用に供するものの表示の基準は、次のとおりとする。ノ:別表第三第八号に掲げる食品にあっては、放射線を照射した旨。(別表第三の八号で放射線照射食品と規定している)




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