食品照射に関する文献検索

Q&A(QUESTION and ANSWER)

食品照射の応用分野(4)日本の健全性試験


文書



35.照射馬鈴薯の食品としての安全性


35.照射馬鈴薯の食品としての安全性

概要

 放射線は発芽細胞の細胞分裂能を阻止する作用があるが、馬鈴薯については、0.15kGy以下の線量では組織細胞は生きており、新鮮な状態での長期貯蔵が可能となる。放射線は可視光線と同じような物理的処理法であり、処理後に食品中に放射線が残留することはない。

内容

1.馬鈴薯や玉ネギなどに0.02〜0.15kGyの線量の放射線を照射した場合、発芽部の細胞が放射線に弱いため細胞分裂能が失われる。しかし、発芽部の細胞は細胞分裂能は失われても、細胞としては生きていることが多い。また、発芽部以外の組織細胞は放射線耐性があるため、生きた状態が維持される。放射線は可視光線と同様に物理的処理であり、処理後、薬剤のように残留することは有り得ない。放射線は紫外線と同様に遺伝因子であるDNAに作用するが、タンパク質や酵素、その他の生体成分への影響は著しく少ない。

2.加熱の場合にはDNAばかりかタンパク質などの生体成分も同じように影響を受けるため、細胞そのものの活性が失われる。放射線の場合にはDNAが活性を失ってもミトコンドリアなどの生体組織は活性が残っていて細胞は生きている。放射線で活性を失ったDNAは主に分子鎖が切断されただけであり、食べた場合にも消化管内でさらに酵素分解されて吸収されるため薬剤のような悪影響がでることは有り得ない。




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