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Q&A(QUESTION and ANSWER)

食品照射の応用分野(4)日本の健全性試験


文書



37.わが国における照射玉ネギの動物試験結果の問題点


37.わが国における照射玉ネギの動物試験結果の問題点

概要

 照射玉ネギの慢性毒性試験および世代試験において、飼料中の玉ネギ添加量が25%の場合には、玉ネギの過剰摂取が原因で血液検査などで悪影響が出たが、これは照射とは関係がない。世代試験でのマウスの骨の奇形は照射によるものではなく、標準飼料投与群の方が照射群より奇形が多い例もあった。栄養試験における臓器の重量変化も線量との相関関係は認められなかった。

内容

1.照射玉ネギの慢性毒性、世代試験においては、飼料中の乾燥玉ネギ添加量を25%にしたところ、照射、非照射を問わず血液検査での異常が認められた。これは、玉ネギの過剰摂取が原因である。このため、最適添加量を再検討し、2%または4%で試験をやり直した。なお、25%添加飼料を用いたラットの慢性毒性試験において雄の死亡率が照射群で高いとの指摘があったが、この場合も馬鈴薯での試験と同様に各線量との相関関係が認められず、雌では逆に非照射群の方が高い死亡率を示している。

2.2%添加飼料を用いたラットの慢性毒性試験では赤血球数の減少、甲状腺量の増加、副腎の減少が問題との議論があった。しかし、これらのデータでの照射群と非照射群との差はそれほど大きくなく、照射との相関関係は認められず、雄と雌とで一定の傾向はなく、飼育期間を通じても一定の傾向が認められていないことから、データのバラつきと考えられている。

3.マウスを用いた世代試験では、卵巣重量と骨の奇形が問題にされた。この場合、卵巣重量が照射群で若干低い傾向が認められたが有意な差ではなく、病理組織学的検査でも異常は認められていない。また、照射玉ネギを投与した2世代目で、子供の骨格に「頚肋」という奇形発生が認められたが、2世代目では照射群で高い、3世代目では標準飼料群の方が高い値を示したことなどから、データのバラつきにすぎないと考えられている。2〜3世代で3群とも20〜84%と高い値を示したことは、用いた実験動物の特質によるものと考えられている。また、肋軟骨異常などについて問題視されることがあるが、組織観察などの結果からも単なるデータのバラつきにすぎない。(「頚肋」は極めて軽微な骨格異常で、いわゆる奇形とは異なり、生体の機能にはなんら支障をもたらさない)

4.このように、照射玉ネギの場合もラットおよびマウスを用いた慢性毒性試験、世代試験および変異原性試験によって安全性が明らかにされている。ラットを用いた栄養試験では各種の臓器重量が照射群で変動しているとの議論があったが、実際の試験結果では各試験区で有意な差は認められておらず、線量との相関関係も認められていない。




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