40.わが国における照射ウインナーソーセージの動物試験結果の問題点
概要
照射ウインナーソーセージを投与した各種動物での試験結果は飼育期間によってデータのバラつき、変動があるものの照射による異常はまったく認められていない。
内容
1.マウスを用いた慢性毒性試験において照射群における体重増の抑制、各試験群で24カ月目の異常に高い死亡率、血液検査での照射群と非照射群との差、24カ月目の臓器重量の異常などが指摘された。しかし、実際のデータでは、体重増は飼育期間、照射、非照射で一定の傾向は認められず、データのバラつきの範囲内である。死亡率が24カ月で異常に高いのは老齢化が原因であり、しかも照射、非照射による差は認められていない。血液形態学的検査や臓器重量の問題についてもデータのバラつきはあるものの、飼育期間や雄、雌で相関関係がなく、照射、非照射で一定の傾向が認められていない。
2.ラットの慢性毒性試験でもマウスと同様のことが指摘された。特に、雄の体重増が80から90週目にかけて一時的に減少および増加しているという指摘があるが、これは老齢期などによる変動であり、雌では認められていないことから照射による影響とは考えられない。死亡率や臓器重量の変動についても照射との相関関係は認められず、個体差または老齢化が原因によるデータのバラつきである。
3.サルを用いた慢性毒性試験では血液検査で照射群に異常があったとの指摘があったが、血液形態学的検査および血清生化学的検査で照射群は非照射群に比べて有意の増加あるいは減少を示すものが観察されたが、雄と雌での相関関係や経時的に一定の傾向が見られないことから、一過性のデータのバラつきと判断されている。
4.マウスを用いた世代試験では照射群の頚肋や腰椎の異常が指摘されたが、頚肋については各群での有意差は認められていない。腰椎については親世代で異常のあったものが第
3世代で照射群に現れたものであって、動物の実験前の個体差(個体毎の遺伝的偏り)が子孫に影響した例であり、照射による影響ではない。
5.変異原性試験で指摘があった、マウスによる宿主経由試験における変異コロニー数は非照射群で5.4、照射群で5.9はデータのバラつきの範囲内であり、有意差はない。
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