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Q&A(QUESTION and ANSWER)

食品照射の応用分野(5)海外の健全性試験


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45.旧ソ連での照射馬鈴薯におけるラジオトキシン検出の問題点


45.旧ソ連での照射馬鈴薯におけるラジオトキシン検出の問題点

概要

  各国でこの研究に関する追跡試験が多く行われたが、旧ソ連の実験で検出されたというラジオトキシンを再現することはできなかった。

内容

 ソ連の科学者が、照射により馬鈴薯中にラジオトキシンという毒物ができるということを1972年に報告したが、わが国を含め各国で追跡試験が行われ、このことは否定されている。

1.ソ連の科学者が、照射馬鈴薯のアルコール抽出物がマウスに対して変異原性を示すという論文を出した。これは、馬鈴薯に 100Gyのγ線を照射して24時間後、0〜4℃で2時間冷却し、−5℃で95%エタノール(pH 2.0)中でホモジナイズし、同じく−5℃で1                       20分間撹拌しながら抽出し、濾過後アルコールが完全になくなるまでアルゴン気流中(20℃)で濃縮したものに毒性があり、照射により「ラジオトキシン」という毒物ができるというものである。

2.この試験の追跡試験がいくつか行われ、わが国でも実施された。しかし、上記と同様な精密な抽出操作を行ってもラジオトキシンを検出することはできなかった。また、高速液体クロマト法やペーパークロマト法で分析しても、照射馬鈴薯からラジオトキシンを検出することはで                       きなかった。

3.ラジオトキシンが生成するにしても馬鈴薯を加熱または貯蔵すれば完全に消滅することは、ラジオトキシンの検出を報告した旧ソ連の科学者も報告している。したがって、ソ連の科学者の唱えたラジオトキシンは実際の食生活ではまったく問題にはならない。




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