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Q&A(QUESTION and ANSWER)

食品照射の応用分野(5)海外の健全性試験


文書



47.米国における照射食鳥肉投与によるマウス精巣異常に関する見解


47.米国における照射食鳥肉投与によるマウス精巣異常に関する見解

概要

  この問題については、米国食品医薬品局(FDA)の専門家が詳細に検討し、安全性についての懸念はないという結論を出している。

内容

1.米国陸軍および農務省の行った委託試験で、56kGy照射した食鳥肉をマウスに投与すると精巣異常や生存数減少などの悪影響が観察されたという報告がある。しかし、そのデータと標本をFDAの専門家が評価し直したところ、照射食鳥肉の投与による悪影響は観察されなか                       った。なお、56kGyは食鳥肉の実用線量(3〜7kGy)と比べてはるかに高い線量である。1.56kGy照射した食鳥肉を用いたマウスにおいて、精巣の腫瘍の発生の可能性があるとRaltech Scientific Service(民間の試験機関)の報告は述べ                       ている。FDAの科学者は組織病理学的プレパラートについて、照射食鳥肉の摂取により精巣の腫瘍が誘発されたかどうかを独自に調査した。その結果、腫瘍は良性なものであること、照射処理によって腫瘍が誘発される頻度の上昇は認められないと結論した。

2.非照射および照射の凍結食鳥肉飼料の両方ともすべてのマウスに、細胞壁への無機塩の沈着(mineralization)、腎臓障害(glomerulonephropathy)および通常の対照飼料(食鳥肉を含まない)を与えたマウスに比べて生存率が低下する徴候                       が認められた。これらの影響は照射によるものではなく、食鳥肉飼料の高タンパク質含有量によるものだと結論した。なお、飼料には35%食鳥肉が混入されていた。

 また、照射食鳥肉群の雌マウスで生存率の低下が注目されるが、これはある一つの群の雌だけで起こり、統計的にも有意差の限界ぎりぎり(p=0.04)であり、反対に照射試料の方が生存率が高くなる群もあるため、FDAは照射食鳥肉の投与により生存率が減少することはな                       いと判断した。




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