48.照射エビの投与によるイヌの甲状腺異常に関する見解
概要
照射エビについては、これを経口摂取したラットで病理組織学的検査などにおいて明らかな毒性が見られていないこと、さらにビーグル犬では生後比較的早期より高率に甲状腺炎が自然発生病変として認められることから、照射エビの投与に伴って観察されたイヌの甲状腺炎(リン パ節性)増加が照射エビの毒性を示していると考えることは妥当ではない。
内容
照射エビの毒性試験については、次に示すようにラットによる4世代にわたる試験および90日間の経口投与試験の結果、ならびにイヌの甲状腺に関する自然発生病変が報告されている。
1.インドにおけるラットでの4世代連続投与試験で、 2.5kGyで照射したエビを乾燥重量で25%の割合で飼料中に添加し、1群240匹の雄および297匹の雌に与え、非照射群と比較した。摂取量、体重については照射による影響はみられなかった。また、受精率、出生 時の異常あるいは哺乳中の死亡はみられておらず、寿命についても照射による変化は認められていない。
2.オランダにおける1群雌雄各10匹のラットに投与した試験で、1.5あるいは3.0kGyで照射したエビを 2.8及び28%の割合で飼料中に添加し90日間与えた。体重、摂取量、血液学的検査値および生化学的検査値について変化は認められていない。また、臓器重量 や病理組織学的検査においても照射によると考えられる変化は見いだされていない。
3.米国における50頭のビーグル犬を対象とした研究(2カ所で実施)で、27.9〜55.8kGy照射したエビを、飼料中に35%添加して投与した。甲状腺炎の発生率は非照射群、照射群間に差はなく、ともに17.4%と27%であった。また、この試験での繁殖性につい ては異常はなかったと報告されている。
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