1.残留農薬あるいは食品添加物を含む食品を照射すると、健康に対して危害をもたらしませんか?


いいえ、もたらしません。

残留農薬や食品添加物を含む食品の照射と関連付けられる健康上の危害を示す科学的な証拠は何もありません。 アメリカにおいてFDAは残留農薬を含む食品の照射について調査しています。 FDAは、残留農薬を含む食品が1kGy照射された時に生成することが予測される放射線分解生物の量を算出しました。 1kGyは殺虫を目的として果実、野菜、穀物に使用される線量の上限に当たります。 もし食品中の残留農薬の含有量が平均約1ppmとすると、残留農薬から生成する放射線分解生成物の総量は食品1kgにつき約0.00033mgあるいは食品3000トンの中に1gになると、FDAは見積もっています。 FDAは、「この量は実質的にはゼロに等しい。」と評価し、「照射される食品中の残留農薬から生成する個々の放射線分解生成物のどくせいはあったとしても無視することができ、健康に対して危害を及ぼすものではない。」という結論を出しています。

photo 1kGyよりも高い線量の放射線を照射したときの食品添加物に着いても検討されました。 FAO/WHO国際食品規格委員会は、食品添加物とは、通常食品素材としては使用されないが、ある効果を期待して食品に慎重に添加される物質として定義しています。 着色料、合成酸化防止剤、ソルビン酸カリウムのような保存料、ポリリン酸塩などが食品添加物の例であり、食品総重量の0.01〜0.1%を占めています。 これらのことを考慮すると、食品照射に認められている最高線量である10kGyの放射線を照射すると、食品添加物から生成する放射線分解生成物の総量は3〜30ppbであるということがわかります。このことは、1年間に500kgの食品を食べる人にとって、全食事の5%を照射した加工食品が占めると仮定して、その中の食品添加物から生じる放射線分解生成物は0.1〜1rとなり、この数字は無視することができます。 したがって、食品添加物からの放射線分解生成物の生成により引き起こされる危害の可能性はきわめて低いと考えられています。




(科学技術文献)
「食品の製造、処理、取り扱いにおける放射線照射最終規則」
Irradiation in the Production,Processing and Handing of Food;Final Rule,Federal Register 51;13376-99,U.S.Food & Drug Administration(18 April 1986)