放射線の照射が栄養上に必要な一般成分に及ぼす影響について、照射後1カ年の長期間にわたる貯蔵中に検討を行った。また別に照射米を飼料とする動物飼育実験を行い、成長発育に及ぼす影響と、体内における消化吸収の状態を検討した。その目的は実用的でかつ適正な照射線量を明らかにし、長期保存に対する照射の効果判定を行うためのものである。
試料は玄米(栃木県産、こしひかり、2等米、昭和43年度産)を昭和44年に日本原子力研究所高崎研究所において0(非照射)、10、20、30kradのγ線照射を行ったものであり、照射後直ちに送付をうけて、実験に供し、また室温に1カ年にわたり貯蔵した。
分析用の試料調製は貯蔵期間中に5回行い(0、3、6、9、12カ月)3カ月ごととした。その際に照射玄米を当研究所で小型精米機によって精白し、さらに粉砕機にかけて粉末化して分析試料とした。また玄米をそのまま粉末化して使用し、両者の成分を比較した。
使用機器
精米機 OM−2C,250W(モーター)
15kg容、(佐竹製作所)
粉砕機 ウイレイ粉砕機
回転刃、4枚付(木屋製作所)
玄米を白米に精白する際の精白度は重量法により、9%量の米糠を除去して用いた。
測定項目は第1表〜第3表に示すように、水分、蛋白質、脂質、糖質、ミネラル等の一般成分と、B1,B2のビタミンについて、それぞれ常法に従って行った。アミノ酸については、アミノ酸分析機により分析したアミノ酸中、とくにリジン、メチオニン、グルタミン酸についてのみ表示した。
貯蔵期間 (月) |
照射線量 krad |
水 分 (g) |
蛋白質 (g) |
脂 質 (g) |
糖 質 (g) |
灰 質 (g) |
V.B1 (mg) |
V.B2 (mg) |
0 |
0 |
10.6 |
8.71 |
3.01 |
75.78 |
1.31 |
0.54 |
0.046 |
10 |
12.4 |
8.58 |
2.89 |
74.29 |
1.27 |
0.52 |
0.046 |
|
20 |
10.1 |
8.27 |
2.82 |
77.06 |
1.30 |
0.50 |
0.049 |
|
30 |
10.5 |
8.02 |
2.98 |
76.73 |
1.26 |
0.46 |
0.047 |
|
6 |
0 |
10.3 |
8.79 |
2.91 |
75.97 |
1.38 |
0.59 |
0.054 |
10 |
11.4 |
8.07 |
2.83 |
75.23 |
1.37 |
0.65 |
0.052 |
|
20 |
10.4 |
8.21 |
2.74 |
76.85 |
1.25 |
0.50 |
0.050 |
|
30 |
10.7 |
8.27 |
2.84 |
76.23 |
1.32 |
0.59 |
0.050 |
|
12 |
0 |
8.8 |
8.06 |
1.54 |
80.52 |
0.89 |
0.35 |
0.039 |
10 |
8.9 |
7.81 |
2.49 |
79.26 |
1.14 |
0.36 |
0.040 |
|
20 |
8.9 |
8.17 |
1.66 |
80.18 |
0.91 |
0.37 |
0.032 |
|
30 |
8.9 |
7.88 |
2.06 |
79.83 |
1.10 |
0.33 |
0.034 |
貯蔵期間 (月) |
照射線量 krad |
水 分 (g) |
蛋白質 (g) |
脂 質 (g) |
糖 質 (g) |
灰 質 (g) |
V.B1 (mg) |
V.B2 (mg) |
0 |
0 |
10.7 |
8.51 |
0.45 |
79.95 |
0.32 |
0.07 |
0.018 |
10 |
11.0 |
8.15 |
0.35 |
80.72 |
0.31 |
0.05 |
0.016 |
|
20 |
10.7 |
8.16 |
0.40 |
80.57 |
0.31 |
0.06 |
0.018 |
|
30 |
10.6 |
7.82 |
0.40 |
80.80 |
0.30 |
0.06 |
0.019 |
|
6 |
0 |
10.8 |
7.78 |
0.44 |
80.02 |
0.47 |
0.08 |
0.022 |
10 |
10.4 |
7.56 |
0.46 |
81.04 |
0.41 |
0.06 |
0.021 |
|
20 |
10.9 |
7.45 |
0.58 |
80.49 |
0.42 |
0.07 |
0.018 |
|
30 |
10.5 |
7.37 |
0.57 |
81.04 |
0.40 |
0.07 |
0.023 |
|
12 |
0 |
8.9 |
7.79 |
0.35 |
82.56 |
0.35 |
0.03 |
0.022 |
10 |
8.9 |
7.06 |
0.37 |
83.27 |
0.34 |
0.05 |
0.016 |
|
20 |
8.9 |
7.88 |
0.27 |
82.53 |
0.38 |
0.04 |
0.023 |
|
30 |
8.9 |
7.28 |
0.30 |
83.09 |
0.37 |
0.04 |
0.018 |
貯蔵期間 (月) |
照射線量 krad |
玄 米 |
白 米 |
||||
Lysine (g) |
Glutamic (g) |
Methionine (g) |
Lysine (g) |
Glutamic (g) |
Methionine (g) |
||
0 |
0 |
0.328 |
1.134 |
0.165 |
0.332 |
1.151 |
0.162 |
10 |
0.324 |
1.135 |
0.148 |
0.333 |
1.088 |
0.154 |
|
20 |
0.306 |
1.095 |
0.144 |
0.340 |
1.090 |
0.149 |
|
30 |
0.301 |
1.091 |
0.134 |
0.325 |
1.030 |
0.146 |
|
6 |
0 |
0.320 |
1.178 |
0.130 |
0.273 |
1.095 |
0.123 |
10 |
0.281 |
1.171 |
0.132 |
0.254 |
0.826 |
0.114 |
|
20 |
0.262 |
1.090 |
0.139 |
0.237 |
0.838 |
0.124 |
|
30 |
0.275 |
1.162 |
0.120 |
0.258 |
0.928 |
0.129 |
|
12 |
0 |
0.352 |
1.126 |
0.088 |
0.309 |
0.822 |
0.130 |
10 |
0.364 |
1.179 |
0.133 |
0.320 |
1.010 |
0.159 |
|
20 |
0.340 |
1.398 |
0.170 |
0.366 |
0.905 |
0.129 |
|
30 |
0.344 |
1.310 |
0.138 |
0.348 |
0.850 |
0.119 |
γ線照射処理を行った米についてその安全性をしらべるために、その一般成分の変化を検討した。1カ年の貯蔵期間中は室温に保存し、6カ月ごとに分析を行った。
7カ月以降、非照射区には虫害とカビの発生が多くなり、ビタミンB1の減少傾向を示した。水分は当初から含有量が標準分析値にくらべやや低い傾向を示していたが、12カ月目にはとくにその減少傾向が著るしかった。
非照射群に比較して、10、20、30krad照射群としその分析結果に大差なく、照射による影響等と認められるものは少ないようである。白米は分析のたびごとに玄米を精白して比較分析を行った。両者の一般成分のちがいは、米糠として除去される成分の含有量の差によるものと思われる。
γ線照射米を飼料としてラットを飼育し、成長発育の状態、体内における消化吸収、主要な臓器に対する影響などを検討した。
試料は前報1.に記したものと同一物を使用し、0(非照射)、10、20、30kradをそれぞれ照射し、貯蔵9カ月以後のものを使用した。
飼料の組成は第1表に示した通りである。各線量を照射した白米を粉末にして、糖質源として与えた。玄米は消化吸収の影響をみるため、そのままの形で与えた。白米の蛋白質含有量を分析し、不足分は牛乳カゼインを追加して、全体を12%となるように調整した。各栄養素の配合率は各群とも同一である。
飼料 |
% |
備 考 |
白米澱粉 |
78 |
照射米は精白、精粉 |
蛋白質 |
12 |
カゼインを4.5%添加 |
大豆油 |
7 |
|
塩混合 |
2 |
|
ビタミン混合 |
1 |
|
(註)飼料の配合率は各群とも同一とする。 |
ラットはウィスター系、生後4週齢のものを使用した。雌雄同数とし、4群に分け各群はそれぞれ12匹づつとし、飼育期間は3カ月とした。一定量を投与し、翌日は残量を秤量して摂取量を測定した。飲料水は自由摂取させた。体重は隔日に測定を行った。第2表には成長状態を示したが、体重増加及び飼料効率はほとんど差が認められなかった。
項目 群 別 |
実験開始 時の体重g |
終了時の 増加体重量g |
飼料効率 |
ラットの状態 |
|
0krad |
♂ |
50 |
492 |
0.227 |
正常 |
♀ |
48 |
221 |
0.125 |
〃 |
|
10krad |
♂ |
50 |
473 |
0.221 |
〃 |
♀ |
45 |
228 |
0.159 |
〃 |
|
20krad |
♂ |
49 |
476 |
0.226 |
〃 |
♀ |
49 |
233 |
0.164 |
〃 |
|
30krad |
♂ |
50 |
468 |
0.210 |
〃 |
♀ |
50 |
250 |
0.160 |
〃 |
動物実験の終了前に栄養素についての消化吸収試験を行った。
各群から平均体重に近い雌雄各3匹選び、特製のメタボリックケージで個別に飼育し、飼料および飲料水は従来と同様に給与し、2週間にわたり採尿と採糞を行った。2週間後に一匹毎の蛋白質、脂質、糖質の分析を行い、同時に摂取飼料についても同様の分析を行い、消化吸収率の計算を行った。第3表にその結果を示したが、蛋白質、脂質および糖質について、非照射群、照射群間の差異はほとんどみられなかった。
成分 群 別 |
蛋白質% |
脂質 % |
糖質 % |
|
0krad |
♂ |
92.4 |
97.2 |
99.9 |
♀ |
92.6 |
97.8 |
99.9 |
|
10krad |
♂ |
89.2 |
96.7 |
99.8 |
♀ |
87.6 |
97.6 |
99.7 |
|
20krad |
♂ |
91.0 |
96.2 |
99.8 |
♀ |
87.2 |
96.8 |
99.7 |
|
30krad |
♂ |
89.6 |
95.2 |
99.8 |
♀ |
89.6 |
96.7 |
99.8 |
実験終了後にラットを解剖し、主要臓器における異常の有無を剖検したが、特別の異常は認められなかった。なお臓器の重量を比較するため体重10g当りに算出して肝臓、腎臓、脾臓、副腎および睾丸については第4表に示した。腎、脾、副腎は各群に多少のばらつきがみられた。
臓器 群 別 |
肝臓mg |
腎臓mg |
脾臓mg |
副腎mg |
睾丸mg |
|
0krad |
♂ |
357 |
48.2 |
14.3 |
0.71 |
52.7 |
♀ |
269 |
56.5 |
19.0 |
1.13 |
− |
|
10krad |
♂ |
362 |
52.8 |
14.8 |
0.78 |
60.2 |
♀ |
288 |
61.0 |
17.6 |
1.61 |
− |
|
20krad |
♂ |
358 |
49.3 |
16.3 |
0.83 |
57.3 |
♀ |
293 |
57.7 |
21.7 |
1.67 |
− |
|
30krad |
♂ |
351 |
53.5 |
17.3 |
0.89 |
65.1 |
♀ |
298 |
59.7 |
21.2 |
1.68 |
− |
γ線照射米を飼料としてラットの飼育試験を行った。飼料は貯蔵9カ月の玄米を精白し粉末として糖質源として使用した。
成長発育の状態は各群ともに正常であり、大きい差違はみられなかった。消化吸収率は群別間の差はほとんどなかった。
主要臓器については特に異常は認められず、また重量の変化も顕著でなかった。
γ線照射米の栄養成分の変化については、すでに1.、2.でのべた通りである。
今回は、γ線照射米の健全性を調べる目的で、ラットによる実験を実施した。とくに、被検動物の生殖腺の発育、および生殖腺の発育を支配するホルモン(テストステロン)量の血清中における昼夜の変動に留意しつつ実験を行ったので、その結果について報告する。
昭和54年産新米(宮崎県串間市産こしひかり玄米)を購入(昭和54年9月6日)後直ちに理化学研究所コバルト60照射装置にて30kradのγ線照射を行った。対照試料にはγ線を照射しない米を用い、いずれの試料も実験に供するまで室温に保存した。
フィッシャー系雄ラット(日本チャールスリバー、3週令)48匹を4日間、ミルクカゼイン20%を含む精製飼料で予備飼育後、24匹ずつの2群にわけ、1群を対照米給与群[以下、対照群(C)]、他をγ線照射米給与群[以下、照射群(R)]、とした。これらの群をさらに各群6匹の8群とし、1カ月飼育午前8時30分屠殺群(1C8群および1R8群)、1カ月飼育午前0時30分屠殺群(1C0群および1R0群)、3カ月飼育午前8時30分屠殺群(3C8群および3R8群)、3カ月飼育午前0時30分屠殺群(3C0群および3R0群)に群別した。各動物はステンレススチール製の飼育カゴに単飼し、飼料ならびに水道水を自由に摂取させた。γ線照射米はγ線照射16日後より動物に給与した。動物の体重ならびに飼料摂取量は飼育期間中ほぼ2日に1回測定した。飼育温度は23±1℃、湿度は55±5%であった。
γ線照射米は白米粉末とし、飼料に混入して動物に与えた。対照動物には、γ線を照射しない米を同様に処理して与えた。すなわち、玄米を91.5%の分留りに精白し、105〜110℃で4時間乾燥、室温以下に冷却後オスターブレンダーにて粉砕したものを白米粉末として使用した。
飼料組成は表1の通りである。白米粉末は重量で70.8%添加した。この添加量は、国民1人1日当りの米の摂取量(昭和53年度)の4倍強を添加した計算となる。飼料中の蛋白質量は18.7%(ミルクカゼインに換算して20%)であり、ラットの正常な発育に必要な、十分量の全必須アミノ酸が含まれていることは確かめてある。飼料はほぼ2週間に1回調製し、−20℃に保存した。
成 分 |
% |
白米粉末 |
70.8 |
ミルクカゼイン |
14.5 |
セルロース粉末 |
5.0 |
局方大豆油 |
5.0 |
ビタミン混合* |
1.0 |
塩混合* |
3.5 |
コリン酒石酸塩 |
0.2 |
計 |
100 |
*:AIN−ビタミン混合、塩混合;J.Nutr,107,1040(1977) |
エーテル麻酔下、心臓穿刺によって採血し、遠心分離、測定時まで−20℃に保存した血清のテストステロンは、ラジオイムノアッセー用キット(ラジオケミカルセンター社、アムステルダム)により測定した。
a)血液性状は、自動血球計数器(東亜医用電子社)により、睾丸の組織像はヘマトキシリン、エオシン染色後に観察した。
b)結果の比較はウェルチのt検定により行った。有意水準は5%とした。
飼育1カ月および3カ月後の照射群、対照群間に差を認めなかった。(表2参照)
群 別 |
対 照 群 |
照 射 群 |
||
1 カ 月 |
3 カ 月 |
1 カ 月 |
3 カ 月 |
|
ラット数 |
12 |
12 |
12 |
12 |
初体重 g |
42.5 ± 0.9* |
42.3 ± 1.2 |
||
増体重 g |
145.9±2.6 |
260.3±5.5 |
144.0±3.3 |
263.8±6.1 |
総採食量g |
362.3±5.4 |
1245.7±15.8 |
365.3±5.7 |
1210.9±19.5 |
*:平均値±標準誤差 |
体重100g当りの前立腺、精のう、副睾丸および睾丸重量において、1C群と1R群、3C群と3R群間に差を認めなかった。また、脾臓、腎臓、肝臓重量においても1C群と1R群、3C群と3R群間に差を認めなかった。(表3参照)
群 別 |
対 照 群 |
照 射 群 |
||
1 カ 月 |
3 カ 月 |
1 カ 月 |
3 カ 月 |
|
ラット数 |
12 |
12 |
12 |
12 |
前立腺mg |
54.0 ± 4.7* |
70.3 ± 5.0 |
50.4 ± 6.2 |
80.9 ± 6.0 |
精のうmg |
71.3 ± 7.4 |
129 ±11 |
70.1 ± 5.3 |
125 ± 9 |
副睾丸mg |
136 ± 5 |
276 ± 6 |
143 ± 6 |
272 ± 5 |
睾 丸mg |
1042 ±16 |
885 ±16 |
1080 ±25 |
877 ±15 |
脾 臓mg |
258 ± 6 |
195 ± 3 |
256 ± 3 |
186 ± 2 |
腎 臓mg |
835 ± 9 |
694 ± 6 |
846 ± 9 |
698 ± 7 |
肝 臓 g |
4.32± 0.11 |
3.35± 0.09 |
4.32± 0.09 |
3.36± 0.09 |
*:平均値±標準誤差 |
血液比重で3C8群と3R0群、3R0群と3R8群間、赤血球数で1R0群と1R8群、3C8群と3R0群、3R0群と3R8群間、白血球数で1C0群と1R0群、3R0群と3R8群間、ヘモグロビン量で1R0群と1R8群、3R0群と3R8群間、ヘマトクリット値で、3C0群と3C8群、3R0群と3R8群間にそれぞれ有意差を認めた。これらはいずれも正常範囲内の変動であり、また照射による悪い影響は認められなかった。
群 別 |
対 照 群 |
照 射 群 |
||
1 カ 月 |
3 カ 月 |
1 カ 月 |
3 カ 月 |
|
屠殺時刻 |
0 8 |
0 8 |
0 8 |
0 8 |
ラット数 |
6 6 |
6 6 |
6 6 |
6 6 |
血液比重 |
1.051 1.051 |
1.051 1.052 |
1.053 1.053 |
1.052 1.053 |
赤血球数 10・E(4)/mm・E(3) |
* 616 594 ± 32 ± 18 |
559 611 ± 8 ± 8 |
735 779 ± 21 ± 7 |
685 764 ± 23 ± 15 |
白血球数 10・E(2)/mm・E(3) |
42.2 37.8 ± 1.6 ± 2.2 |
31.2 36.5 ± 2.2 ± 2.0 |
44.0 36.3 ± 6.3 ± 3.5 |
28.5 36.5 ± 2.1 ± 2.4 |
ヘモグロビン g/d1 |
12.5 12.5 ± 0.2 ± 0.3 |
12.1 12.9 ± 0.2 ± 0.2 |
14.0 14.1 ± 0.5 ± 0.2 |
12.7 14.0 ± 0.3 ± 0.0 |
ヘマトクリット % |
41.4 42.9 ± 0.5 ± 0.7 |
42.8 42.8 ± 0.7 ± 0.8 |
43.1 46.7 ± 0.8 ± 0.7 |
41.2 45.7 ± 1.4 ± 0.6 |
*:平均値±標準誤差。各群間の差については本文参照。 |
いずれの群間にも有意差を認めなかった(表5参照)
群 別 |
対 照 群 |
照 射 群 |
||
1 カ 月 |
3 カ 月 |
1 カ 月 |
3 カ 月 |
|
屠殺時刻 |
0 8 |
0 8 |
0 8 |
0 8 |
ng/ml |
*3.38 3.55 ±0.39 ±0.73 |
3.49 3.91 ±0.58 ±0.71 |
3.11 3.35 ±0.60 ±0.83 |
2.71 3.43 ±0.77 ±0.69 |
*:平均値±標準誤差 |
対照群、照射群間に差を認めなかった。
a)血清テストステロン量の変動は、γ線照射米給与群、対照群間に差を認めなかった。昼夜の生理機能の差を健全性評価の指標として用いることは、その鋭敏性においてすぐれているので、ここで得られた結果は、γ線照射米に、一つの評価を与えたものと考えられる。
b)生殖腺重量においても、γ線照射米給与群、対照群間に差を認めなかった。この結果は、生体内で産生されたテストステロンが、各標的器官に対して正常に作用していることを示しており、この面からもγ線照射米の健全性の評価を支持しうるものと考えられる。
c)血液性状においては、各群間で有意差のある場合と、差のない場合がみられた。これらはいずれも正常範囲内の変動であり、照射による悪い影響は全く認められなかった。