1988年12月12日(月)から16日(金)の5 日間, スイスのジュネーブで「照射食品の受容,管理,貿易に関する国際会 議」が開催された。この会議はIAEA,FAO,WHO,ITC‐UNCTAD/GATTの共催によるものであり,57ケ国お よび14の国際機関や非政府機関からの科学者,行政官,消費者など200名以上が参加した。この会議では1988年 12月16日に最終文暮が総意で採択された。最終文暮は,法的な拘束を持たないが,政府レベルの協力,消資者 の態度,工程管理 ,貿易を含む広範囲にわたる項目についての合意を反映したものであり,食品照射の今後の国 際的な発展に重要な影響を及ぼすものである。
最終合意文暮の結論と勧告は以下のとおりである。
・食品照射は,食品,特に固体食品の病原菌汚染を低減させて食品由来の病気を減少させる可能性を秘めている。
・食品照射は,農産物のポストハ-ベストロスを減少させて消費者に多くの多様な食品を提供することを可能に する。さらに,食品照射はある種の農産物の植物防疫手段として有効であり,農産物の国際間貿易を促進する。
・照射食品に関する国際一般規格およぴ食品照射の実施に関する国際規範に従った,政府当局による規制・管理 の実施が食品照射の導入の前提となる。食品照射はGMPの代替として使用すべきでない。
・食品照射の管理のための各国の規制を国際的に認められた規格に基づいて調和することにより,照射食品の国 際間貿易が促進されるであろう。
・消暮者の受容が食品照射の成功にとっての重要な因子であり,そのためには情報の提供が必要である。
・食品照射を適用することが有効であると思われる食品に対しては,国民の健康のために食品照射技術を利用す ることを考濾すべきである。
・食品照射が農産物のポストハ-ベストロスを減少したり植物防疫の手段として有効である場合には,食品照射 を利用することを考濾すべきである。
・食品照射の実施および照射食品の販売の前提条件として,各国政府は食品の照射および照射食品の販売を管理 するための規制を策定すべきである。とくに照射施設の登録,許可,管理,検査,照射食品に関する記録と表示, 監督官のトレーニング,GMPの導入などに関する事項を,策定する規制に盛り込むべきである。
・食品照射を管理するための規制を策定する特には,その規制が照射食品に関する国際一般規格および食品照射 の実施に関する国際規範に盛り込まれた国際的に同意された原則と一致するようにすべきである。食品照射の 実施中は,各国およぴ国際的な規格で定められた線量測定を行って,正当な食品照射が実施されていることを 示す証拠とすべきである。
・各国政府は,照射施段を離れても行政による照射食品の管理が行えるように,照射食品の検知技術の開発のた めの研究を推進すべきである。このことにより,照射食品の国際間貿易が促進され,消資者が照射食品の全体 の管理システムに対して信頼するようになる。
・国際貿易に供される照射食品の表示は,食品規格委員会により採択された原則と一致したものでなければなら ない。
・各国政府は,食品照射施設の設計および運転が,人間の健康,安全および環境の保護のために国際的に合意さ れた基準に合致した規制に従うようにすべきである。
・各国政府,とくに食品照射を許可しようとしている政府は,食品照射について明瞭で適切な情報を提供するよう にすべきである。その際.消資者団体を含むあらゆる関心を有している団体の参加を得るようにすべきである。
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