食品照射の実用化をめざした研究は、わが国では昭和42年から、科学技術庁が中心となって進められてきました。これには農林水産省や厚生省などに所属する多くの研究機関や日本原子力研究所高崎研究所、大学などが参加協力しています。これまでの研究成果として、昭和47年にジャガイモの発芽防止のためのガンマ線照射が、国から正式に許可されました。そして翌昭和48年には北海道士幌町にジャガイモの照射施設が建設され、照射処理が開始されました。今のところ、照射数量は年間1〜2万トン程度で、わが国のジャガイモ生産量約300万トンにくらべごくわずかですが、食品保存のための新技術として、春先の端境期におけるジャガイモの価格安定にも役立っています。
照射されたジャガイモは、青果用または加工用として、全国的にも出荷されています。ジャガイモに続いて、タマネギの発芽防止、米、小麦の殺虫、ウインナーソーセージ、かまぼこ、そしてみかんの殺菌などの研究も進められています。
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