日本だけが食べているわけではありません。国際原子力機関(IAEA)の調査によれば、1980年7月までの時点で、ジャガイモ、タマネギ、冷凍魚、冷凍の蛙脚、香辛料、果実、その他の照射食品がオランダ、ハンガリー、南アフリカ、その他の国々で試験販売されており、多数の市民による消費が始まっています。中でもオランダは積極的に活動しています。
従ってわが国が人体実験をしているなどということはありません。FAO(国連食糧農業機関)、IAEA(国際原子力機関)、WHO(世界保健機構)は合同の専門家委員会を設置し、照射食品の健全性について検討してきましたが、1976年9月「ジャガイモ、小麦、チキン、パパイヤ、イチゴの5品目については”無条件に安全”である」と発表しています。外国でジャガイモの実用化照射プラントが少い理由は、安全性に問題があるのではなく、むしろ各国の経済事情や流通機構、地理的条件、薬剤使用の許可状況などの国情の違いによるものといえます。
欧米各国では、いまだにCIPC(クロルプロファム)、MH(マレイクヒドラジド)などの薬剤処理によって、比較的安く、簡単に発芽を抑制する方法が行われていますが、これらは安全性が確認されていないこと、および処理後に残留する危険性があり、西ドイツでも連邦栄養研究所などでは、こうした薬剤の使用の禁止を主張しています。しかし、薬品業界の立場もあり禁止に踏み切れないというのが実状のようです。こんご世界的には、薬剤使用に変わって放射線処理が普及する機運にあります。
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