食品衛生法により箱づめのジャガイモでは、包装容器に照射した旨の明示が義務づけられており照射されたジャガイモはそのような容器に入れられて各地の市場に送られてきますが1個1個のイモに表示することはなされていません。
食品が市場に現われるまでにどのような経歴を経てきたかという表示を、一つ一つの食品に全て行うことは現在なされていません。それは、市販されているあらゆる農作物や果実等についても同様で、その生産のために用いた肥料、除草剤、殺虫剤、殺菌剤、冷却、加熱、乾燥、回数等々の表示は非現実的であるからです。放射線は電磁波という1種のエネルギーであり、照射処理は結局、食べもの加熱したり冷却したりするのと同じ物理的操作と見做されています。
照射食品を見分ける方法ですが、わが国を含め世界の各国で多くの試みがなされてきたにもかかわらず、照射ジャガイモを確実に区別する方法は、まだ見つかっていません。その違いは芽が出るか出ないかという点だけです。このことは逆説的に言えば、照射ジャガイモと通常のジャガイモとがいかに違いがないかということを証明しているといえるでしょう。異常成分の蓄積は検出できず、成分組成の変化はあったとしても、ごくわずかすぎるため、実用的な指標になり得ないというのが現実となっています。
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