食品照射に関する文献検索

Q&A(QUESTION and ANSWER)

食品照射入門(1)食品照射誌解説


Q&A集タイトル : 食品照射に関するQ&A(食品照射 第17巻 P78〜87)
発行年月日 : 1982年
<答>



国連組織により食品照射はどのように評価されているのですか。


<答>

 1980年10月に開催されたFAO/IAEA/WHO(国連食糧農業機関/国際原子力機関/世界保健機構)合同専門委員会の報告書では、線量10kGy(1Mrad)までなら全ての食品について放射線照射を毒性学的、栄養学的、又微生物学的に問題なしと容認しています。その根拠を要約すると次の3点になります。

 「a)ほとんどあらゆるタイプの食品の品目にわたって、個々の食品についての数多くの毒性学的研究を全面的に検討した結果、照射の結果有害作用を生じたという証拠は全く見い出せなかった。

 b)放射線化学の研究から、主要食品成分の放射線分解生成物は、食品の由来いかんにかかわらず、同じ成分からは同一な生成物を生ずることが判明した。さらに主要な食品成分については、それらの放射線分解生成物の多くは、すでに許容されている他の食品加工手段によって食品中に生成するものと同一であることが明らかになった。これら放射線分解生成物の性状や濃度から判断して、これらが毒性学的な危害を生ずると言う証拠はない。

 c)上記を支持する根拠としては、照射飼料を投与した実験動物で、いかなる有害作用も認められないこと、照射飼料は家畜の生産にすでに使用されていること、さらに、免疫力の低下した患者に対し、照射した食事を与えることが臨床的に応用されていることが挙げられる。(日本では食用家畜の飼料照射はまだ行われていない)

 そこで本委員会では、10kGy以下の総括平均線量*でいかなる食品を照射しても、毒性学的な危害を生ずるおそれは全くないこと、さらに、今後は、照射した食品についての毒性試験は、もはや不要である。」

 という結論をだしています。

 * ここでいう総括平均線量とは、食品の照射処理において、十分量の線量計を処理される食品中に配置しておき得られた各線量計の線量値を算術平均したものです。




関連する文献一覧に戻る

ホームに戻る