○一審判決は、食品衛生法第7条に基づき食品照射を認めるために必要な、「食品衛生調査会の答申を待って個別的に当該食品について定められる基準に適合しているか否かを判断する手続き」が行われていない点をもって、被告人らの照射行為は同法第7条等に違反するとしたもの。
○なお、一審判決はWHO−合同委員会の安全宣言にも一応触れ、「専門家の間で意見が分かれている点、検討課題が切捨てられている点、実験データが未公開のもののため追試確認が困難な点、特定食品から”あらゆる食品”へ範囲を広げる点での論理の飛躍がある点」など被告側の主張を列記してはいるが、食品照射が安全ではない旨を判示したものではない。
○二審判決では「我が国の現状によれば、前記(WHO−合同委員会の)報告の結果にも一抹の疑問なしとせず、また世論の動向もあり結局のところ粉末野菜食品等原判示食品に対する放射線照射の安全性は未だもって確認されていない段階にあると認めざるを得ない。」としているがこれは、我が国における食品に対する放射線照射の許容は各個別食品の品目ごとに行われていること、粉末食品等の原判示食品についての健全性研究は我が国では行なわれていない現状から、粉末野菜食品等に関する食品照射の安全性は確認されていない段階にあるとしたものであって、食品照射が安全ではないことを判示したものではないと考えられる。
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