食品照射に関する文献検索

Q&A(QUESTION and ANSWER)

食品照射入門(3)消費者への回答


Q&A集タイトル : 消費者団体が提出している問題点への回答
発行機関名 : 原子力研究所
<答>



問1.動物に異常が出ない量を決め、次に人間にあてはめる時には100以上の安全係数をかけて基準を定めるべき。


<答>

 100倍の安全係数は、食品添加物が動物に対して影響を与えない最大量が体重1kg当りのgで計算される場合には100のオーダーの安全限界が広く使用されてきた。照射食品の場合は照射される可能性のある最大線量で健全性試験を行えば良いことになっている。わが国の場合も特定総合研究初期には食品添加物と同じ考え方で試験を行い、馬鈴薯や玉ねぎでは必要線量上限の2倍、0.3kGyまでの健全性試験を行い、安全係数も馬鈴薯で333倍、玉ねぎで450倍取っている。米、小麦、ウインナソーセージ、水産ねり製品、みかんでは安全係数を7〜44倍としているが、これは国際的に照射食品を物理的処理法として扱うように勧告されたのを受けたためである。しかもアメリカのFDAが言うように放射線分解生成物のうち未同定の物質のみを対象とした場合には3ppm程度しか生成せず、これら未同定の物質は単一ではないため、たとえ有毒物質が生成されるとしても1ppmよりはるかに少ない量である。米国では58kGyという高線量照射した鶏肉での健全性が確認されており、わが国での低線量での健全性のデータの裏付けとなっている。従って照射食品の安全係数としては100倍よりはるかに高い率で評価していると言うことができる。




関連する文献一覧に戻る

ホームに戻る