食品照射に関する文献検索

Q&A(QUESTION and ANSWER)

食品照射入門(3)消費者への回答


Q&A集タイトル : 消費者団体が提出している問題点への回答
発行機関名 : 原子力研究所
<答>



問4.乾燥保存される穀類に照射したことによる害作用を減衰させるのに長い期間が必要であるが、この期間の研究がない。


<答>

 この意見はインドの照射小麦を食べさせた栄養障害児やラットなど6週間にわたる試験で照射群の血液リンパ球に異常染色体が0.6〜1.8%出現したという報告からのものと思われる。これについては正常な人でも0.1〜1%の異常染色体が存在しており、非照射群がゼロということはあり得ず、国際的に否定されている。

 さらに言えば、放射線の作用はフリーラジカル(遊離基)による化学反応によるもので、水分を含んだものに比べ乾燥食品中ではフリーラジカルは1〜10日程度残存することがある。しかし、このラジカルは水に対し不安定で水と接触すると1/1000秒以下で消失してしまう。また放射線照射によって生成したラジカルと可視光線で生成したフリーラジカルが本質的差があるわけでなく、両者とも酸化などの化学反応で安定化される。なお、ポテトチップなどの油を多く含む乾燥食品では放射線とは全く関係なく多量のラジカルが検出されるが、これは脂肪鎖中の二重結合が徐々に酸化されパーオキシラジカルを作るためである。また脂肪が酸化されやすい条件下で放射線を照射すると貯蔵中に酸化が著しく進行することが知られているが、これは加熱や日光でも同じである。通常の食品では他の成分と共存し、酸化されにくい状態にあるため照射による影響はほとんど認められていない。




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