食品照射に関する文献検索

Q&A(QUESTION and ANSWER)

食品照射入門(3)消費者への回答


Q&A集タイトル : 消費者団体が提出している問題点への回答
発行機関名 : 原子力研究所
<答>



問7.照射後の二次汚染を防ぐため、缶詰、冷凍などの保存方法は依然として必要です。


<答>

 放射線処理は薬剤と異なり効果が持続するということはあり得ない。したがって二次汚染を防ぐために包装するなり、低温貯蔵などの組み合せが必要である。放射線処理の主な応用分野の一つは寄生虫や病原菌を殺滅して衛生的な食品を消費者に提供することにあり、この場合には放射線や熱耐性の腐敗菌は生き残っており、低温貯蔵が必要である。完全殺菌を目的とする場合はプラスチック叉はアルミホイルで包装しておけば缶詰と同じ効果が期待できる。この場合は重い金属容器を使う必要がなくなる。

 なお、低温貯蔵や冷凍法で食品衛生が十分確保できるという意見があるが、低温貯蔵でもリステリア菌のように増殖できる病原菌もあり、凍結下では病原菌は長期にわたり安定に生存できるようになる。さらに真空包装食品でも食中毒菌は繁殖でき、衛生確保は困難である。一方、食品保存料などの薬剤は微生物や虫の殺滅、根菜類の発芽防止に効果があるが、人間が食べた場合にはこれら残留薬剤の人体に対する何らかの悪影響が予想されるし、腸内細菌群のバランスに悪影響をおよぼすはずである。これに対し、放射線処理した食品では、これらの悪影響を心配する必要がなくなる。




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