プラスチックに放射線を照射すると10kGy以上の高線量で劣化が著しくなる材質があることが知られている。この場合、物性的劣化が最も問題となるが、水溶性のアルデヒド、ケトン、アルコール等も生成し、45kGy以上の高線量照射は好ましくないとされている。しかし、これは注射筒や人工臓器などの医療用具の場合で、血液などと直接に触れても人体に悪影響はない基準である。これらプラスチックからの生成物は食品中にも照射の有無にかかわらず存在しており人体への影響がない材質を用いている。また食品照射でプラスチック包装材を使用するのは10kGy以下の線量であり、体内に摂取されるとしても胃腸壁の選択過程を通るため、医療用具の場合より、さらに安全のはずである。10kGy以上の高線量での実用化は病人食と宇宙食しかないが、一般食として実用化する場合にはアルミホイルとプラスチックの複合材を使うものと思われる。これは長期保存を目的とするため材質の強度を保つためである。
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