100%の確率で食品が照射されたか否か判別する方法はない。しかし、多くの食品について、ある程度照射処理の有無を判別する方法が開発されている。
例えば、馬鈴薯では、電気的交流抵抗を測定すれば、照射処理の有無が推測できる。また、香辛料などの乾燥食品では、化学ルミネッセンス、熱ルミネッセンスを測定することにより、照射試料の検知がある程度可能である。また、骨片、種、果実の核、食品に附着した砂等の長寿命のフリーラジカルを測定する方法も有望とされている。
食品の諸性質は放射線以外の要因、例えば貯蔵条件、流通条件等の影響を受けるので、100%の確率で照射食品を判別できる技術は今後とも開発されないであろう。ただし、70〜80%の確立で照射食品の判別が可能な技術はいくつも開発される可能性はあり、これらの技術は食品照射の違法な実施や照射食品の不当な表示に対する牽制として役立つものと思われる。
文 献
1) 林 徹:ニューフードインダストリー、28(12)、P11〜16(1986)
2) 林 徹:エネルギーレビュー、1986年10月号、P17〜21
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