食品照射に関する文献検索

Q&A(QUESTION and ANSWER)

食品照射の基礎(1)


Q&A集タイトル : 食品照射Q&A
発行機関名 : 日本原子力産業会議
発行年月日 : 1987年
<答>



衛生管理の悪い地域での香辛料等製造にあたって安易に放射線照射される恐れはないか。


<答>

 東南アジア諸国でも近年、食品照射技術の有効性が認められ、研究にも国際原子力機関、国連食料農業機構、世界保健機構の指導により研究が活発に行われ始めている。これらの地域では害虫による被害が著しく、害虫により破損された部分からカビが発生したり腐敗が起こることが多い。これらの地域での香辛料製造がかならずしも衛生的でないと決めつけるのはどうかと思われるが、熱帯地方特有の問題があることはたしかである。香辛料について輸出国側で困っている問題は輸送中にカビが発生して商品価値が低下したり輸入国側から受取りを拒否されることである。輸出国側でアフラトキシンなどのカビ毒生産菌で汚染されているものを安易に放射線殺菌したとしてもカビ毒は放射線に対して安定のため、輸入国側で化学分析法により検知できる。また腐敗した食品は放射線滅菌後にも品質低下が分析法により簡単に検知することが可能である。したがって、わが国の検査体制さえしっかりしていれば安易な放射線処理は困難と思われる。途上国の場合、資本力が弱いため放射線照射装置を設置できる企業はほとんどなく、結論的には香辛料等の放射線殺菌は国内で行うのが現実的のように思われる。

文  献

 1) Muhamad L.J.,H.Ito,H.Watanabe and N.Tamura,Distribution of microarganisms in spices and their decontamination by gamma−irra 2) K.Miyaki,K.Aibara and T.Miura,Resistance of Aflatoxin to chemical and biological changes by gamma irradiation,STI/PUB/168,P 3) T.Kume,H.Ito,H.Iizuka and M.Takehisa,Radiosensitivity of Aspergillus versicolor isolated from animal feeds and destruction

 4) 小原 哲二郎、鈴木 隆雄、岩尾 裕之、食品分析ハンドブック、建帛社、1979年。




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