食品照射に関する文献検索

Q&A(QUESTION and ANSWER)

食品照射の基礎(1)


Q&A集タイトル : 食品照射Q&A
発行機関名 : 日本原子力産業会議
発行年月日 : 1987年
<答>



食品成分中の二重結合化合物の照射反応性について


<答>

 食品成分中の二重結合含有化合物として、脂肪族化合物および芳香族化合物をとりあげ説明する。さらに脂肪族は食品中の化合物として不飽和脂肪酸について述べる。

脂肪族炭化水素

 脂肪族飽和炭化水素(n−マルカン類)は一般にすべてのC−C結合、C−H結合で放射線によって同程度に切断されることが知られている。また側鎖を有するものは直鎖よりも切断されやすい。

 脂肪族不飽和炭化水素であるエチレンやアセチレン、その他多くの二重結合化合物は高線量(10kGy以上)の放射線により容易に重合反応を行うので、放射線重合の観点からの研究が多い。しかし、酸素共存下で照射すれば種々の酸化生成物の得られることは飽和炭化水素の場合と同じである。すなわち数多くの生成物を生じ、反応機構は複雑となる。

 例えばテトラクロルエチレンでは、主生成物がトリクロルアセチルクロリド、ホスゲン及びオキザリルクロリドで、そのG値も大きい。

 *C2Cl4+O2+γ線 → CCl3COCl(3,700),COCl2(2,400),(COCl)2(190)

芳香族

 二重結合をもつ化合物の中で芳香族化合物は一般にそれに対応する脂肪族化合物よりも放射線に対して安定である。例えばベンゼンはシクロヘキサンよりも著しく安定性が高い。この理由は芳香族の環式系にπ軌道にある電子のために減少し、分子の分解を起さないためである。

脂 肪

 脂肪を照射することによって揮発性炭化水素である Octene,hexane,hexene 等が生じる。また脂肪中のリノール酸エステルによって、heptadecadiene を生じることが知られている。すなわち食品中の脂肪含量を知ることによって、照射生成物をある程度予測が可能と言われている。不飽和脂肪酸は分解だけでなく、2量体や多量体を生じるが、酸素の共存下では自動酸化が生じ、過酸化物やカルボニル化合物が生じる。

 実際の脂肪の照射について、ラード、ココナツオイル、コオーンオイル、ニシン油を1〜20kGy照射したところ、ラード、ココナツオイル等の飽和脂肪酸からなる脂肪はもとより、不飽和脂肪酸を有するコーンオイルでも組成に変化はなかった。これは共存する抗酸化剤(V.E.)による。不飽和度の高いニシン油は、照射により過酸化脂質とマロンアルデヒド等の照射生成物を生成する。蛋白質が共存する過酸化物の生成は抑制される。10kGy以下では、ビタミンE、BHTや没食子酸を0.01%添加すると過酸化脂質の生成は抑えられるが、10kGy以上の照射は抗酸化剤自体が分解するので、これらの抗酸化剤は0.1%添加が必要である。




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