食品照射に関する文献検索

Q&A(QUESTION and ANSWER)

食品照射の基礎


Q&A集タイトル : 議会、官庁向けQ&A
発行機関名 : 科学技術庁
<答>



問7.米国FDAが照射ベーコンの許可を取り消した理由如何。


<答>

 1.米国では1963年に陸軍省から申請のあったベーコンに対する45〜56kGyでのガンマ線照射による滅菌処理を許可。

 2.その後、FDAの食品添加物や照射食品の安全性に対する考え方が従来の「マイナスの結果を見いだせない」から「危険性のないことを積極的に証明せよ」に変わったため、陸軍省が行った動物を使った安全性試験のデータの再検討が行われた。

 3.その結果、照射ベーコンを与えた動物(ラット)で、繁殖率、死亡率、発育度、白血球数、白内障、腫瘍の発生率が非照射ベーコンを与えた動物に比べ有意に高かったことから、安全性を確認するためにさらに実験動物による長期毒性試験(慢性毒性試験)を行う必要があるとして、1968年に禁止の処置を取ったもの。

(参考)

 その後の動向

 1.米国議会の原子力合同委員会は、1968年に公聴会を開き、FDA、米国原子力委員会、陸軍省の3者からそれぞれの主張を聞き、食品照射研究計画の継続と照射食品の安全性の基準の設定の2点について政府及びFDA等の関係当局に勧告を行った。

 2.FDAは勧告に従って照射食品の安全性の基準について検討し、1981年にその試案を発表した。1984年には照射食品を許可するために必要な安全性評価の基準を示す食品照射規制案が正式に提案され、1986年には1kGy以下の生鮮果実、野菜類の照射、30kGyまでの香辛料の照射が許可された。

 3.陸軍省はFDAと協力して照射した牛肉、鶏肉、豚肉、ハムについてラット、マウス、犬の3種類の動物を使った長期毒性試験を継続し、安全性を証明するデータを得ている。特に、1983年に得られた58kGyを照射した鶏肉の安全性のデータはFDAの照射食品の許可推進の政策に大きな影響を与えている。




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