FAO、IAEA、WHOの合同専門家委員会は次の理由により10kGy以下の実質平均線量で各種食品に対し放射線照射した場合、毒性学的危険性はまったくないこと、さらには10kGy以下の照射食品についての毒性試験は不必要との結論を出した。
1.1980年までに世界各国で行われてきた各種照射食品のラット、マウス等の動物を使った毒性試験において、放射線を照射したことによる有害作用はまったく認められない。
2.主要食品成分の放射線分解生成物は、食品の如何に係わらず、同じ成分からは同一の生成物が生じること、それらの生成物の多くは、加熱や紫外線殺菌等他の食品加工手段によっても生成される。
3.なお、実験用無菌動物飼料や一部の家畜動物用飼料用として殺・滅菌を目的とした10〜50kGyの照射によるラット、マウスの毒性試験を行い、いかなる有害作用も認められないという結果がイギリス、オランダ、ハンガリー、西ドイツ、日本など世界各国で得られており、20年以上の期間にわたり実用化されている。また、免疫力の低下した患者に対し、加熱滅菌した食事に比べ、10kGy以上の高線量で放射線滅菌した食事による方が治療効果が良いことがイギリスや米国で臨床学的に明らかとなっており、イギリス、米国などで実用化されている。
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