食品照射に関する文献検索

Q&A(QUESTION and ANSWER)

食品照射の基礎


Q&A集タイトル : 議会、官庁向けQ&A
発行機関名 : 科学技術庁
<答>



問15.加熱処理食品、低温処理食品と比較して照射食品の化学変化如何。


<答>

 1.放射線処理では、食品成分や食品中に含まれる水分が励起叉はイオン化されることにより遊離基を生じる。この遊離基が反応して食品成分に化学変化が起こる。この化学変化は、加熱処理によって起こる分解反応と類似している。

 2.加熱処理では、主として分子運動により食品成分に脱水、縮合、熱分解という反応が起きる。この結果、糖のカラメル化、タンパク質の変性(酵素の失活や抗原性の消失)等が起こる。また、脂肪の酸化は加熱処理を行うことにより著しく促進される。なお、熱処理によっても遊離基は生成し、放射線処理と同じような化学変化も併行して起こる。

 3.これに対し、放射線による変化は、例えば食品中の酵素はほとんど失活しない、糖やアミノ酸、ビタミンの分解が少ないなど加熱処理による変化に比べ少ない。

 4.なお、低温処理(0〜10℃)は、生物活性を低くする(微生物や酵素等の働きは温度が低いほど弱くなる)ことにより保存効果を得るもので、殺虫、殺菌効果はほとんど期待できない。従って、食品成分に対する直接の影響はないが貯蔵期間の延長は常温の2〜3倍程度しか期待できない。




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