1.健全性試験として、
1)誘導放射能の生成、
2)動物を使った毒性試験、
3)遺伝的安全性試験、
4)栄養成分の変化
を行った。
2.誘導放射能の生成については、理論的に電子線は10MeV、ガンマ線とX線は5MeV以下で生成しない。なお、コバルト−60から発生するガンマ線(1.33MeV)をジャガイモ、玉ねぎ等に照射した結果、誘導放射能は検出されなかった。
3.動物を使った毒性試験については、毒性物質の生成や発ガン物質の生成の有無、子孫に及ぼす影響の有無について検討した。
7品目(ジャガイモ、玉ねぎ、米、小麦、ウィンナーソーセージ、水産ねり製品、温州みかん)の毒性試験は、食品添加物等での試験方法と同じ国際的な基準に基づいて行った。*1)
試験項目は、短期毒性試験*2)、長期毒性試験(発ガン試験を含む。)、世代試験、催奇形性試験であり、ラット、マウス、サルによる試験が行われた。各品目毎に2年以上に及ぶ試験が行われ、すべての品目に対する全試験項目について、照射群と非照射群との間に有意な差は認められていない。
4.遺伝的安全性試験としては、細菌による遺伝子突然変異試験、試験管内染色体異常試験、優性致死試験が行われ、すべての品目に対する全試験項目について、照射群と非照射群との間に有意な差は認められていない。
5.栄養成分の変化については、化学分析と動物飼育試験によって調べられたが、すべての品目について照射による影響は認められていない。
*1)白須、松岡編、新しい毒性試験と安全性の評価、ソフトサイエンス社刊、1975年。
*2)急性毒性試験ともよばれ、短期間内の毒性効果をしらべ死亡変化を起こす毒物量を求めることが主目的とされる。
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