1.1975年にインド国立栄養研究所で栄養障害児(浮浪児)を使って、0.75kGy照射した小麦を照射後3週間貯蔵したものを用いて6週間にわたり試食させたところ、血液中のリンパ球に異常染色体が0.6〜1.8%出現したが、非照射小麦ではまったく認められなかったと報告している。また、同研究所のヴィジヤラスクミーらはラットを用いた実験でも同様な結果が得られたと報告している。
2.一方、インドのバーバ原子力センターのジョージらは、0.75kGy照射した小麦に栄養不足を生じないように一定量の各種栄養成分を添加して追試し、異常染色体の出現率は非照射群とで差は認められなかったと報告している。また、同研究所のチャウハンらも遺伝的安全性試験での優性致死試験でも照射による影響は認められなかったと結論づけている。また、わが国での食品照射研究開発に基づく小麦の試験結果でも、生体内染色体異常試験、優性致死試験で2kGyまで照射しても何ら異常が認められていない。
3.インドの栄養障害児の試験では、非照射群での異常染色体がまったくないとされているが、そのようなことはありえず、正常な人間でも0.1〜1%は出現するといわれており、実験条件の設定そのものに問題があるとFAO、IAEA、WHOなど国際的に批判されている。また、ラットの試験でも1群のラット数が6匹しか使われておらず、必要数(15〜30匹)の半分以下であると批判されている。
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