わが国の原子力特定総合研究として実施された照射米及び照射小麦の安全性に関する試験では以下の試験結果が得られており、線量と用量関係のある現象及び偶発的でなく動物の飼育全期間を通じて観察される傾向もなく、照射した米や小麦は安全であると判断された。
1)慢性毒性試験
照射米、小麦を摂取することによって、生体が障害を受けるかどうかを評価するために、マウス、ラット及びアカゲザルを用いた慢性毒性試験を行った。米については、非照射、0.5kGy及び1kGy照射米添加飼料をマウス、ラット及びアカゲザルに対し、また小麦については非照射小麦添加飼料、0.2kGy及び2kGy照射小麦添加飼料をマウス及びラットに対し、20ヶ月ないし24ヶ月間にわたって摂取させ、一般症状、体重測定、血液学的検査、臓器重量測定、病理組織学的検査等を行った結果、いずれも照射の影響と考えられる変化は認められなかった。
2)世代試験
照射米、小麦を摂取することによって、次世代に影響を与えるかどうかを評価するために、マウスを用いて、非照射米添加飼料、0.5kGy及び1kGy照射米添加飼料、並びに非照射小麦添加飼料及び2kGy照射小麦添加飼料で3世代まで飼育し、各世代について、一般症状、体重、繁殖生理値(交配率、妊娠率、着床率、生存胎仔数等)及び骨格等を検査した。この結果、全項目について照射によるものと思われる影響は認められなかった。
3)変異原性試験
照射米、小麦の遺伝的安全性を評価するために、非照射及び0.5kGy照射の米、小麦について、細菌の遺伝子突然変異試験及びマウスを用いた遺伝子突然変異試験、染色体異常試験、優性致死試験を行った。その結果、照射による影響はいずれの場合についても認められなかった。
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