米国においては、既に許可されていた照射ベーコンについて、1968年に、安全性に関するデータが不十分だとして、その許可が取り下げられた(第19項参照)こともあり、照射した肉製品の安全性についてはその後詳しく検討されている。そして、それら安全性試験の結果に基づいて、1985年に豚肉、1990年に家禽肉の照射が許可されている。
一方、わが国の特定総合研究では、照射したウインナーソーセージの安全性が検討されて、以下のような結果が得られ、照射ウインナーソーセージには安全性に問題はないと判断された。
1)慢性毒性試験
照射ウインナーソーセージを長期間摂取することによって、生体が障害を受けるか否かを評価するために、マウス、ラット及びアカゲザルを用いた慢性毒性試験を行った。
動物に非照射及び0.6kGy照射ウインナーソーセージ添加飼料(添加量は5w/w%。ラットでは2w/w%も実施)を24ヶ月間にわたって摂取させ、飼育期間中の一般症状、体重、摂餌量、血液形態学的検査、血清生化学的検査、死亡率、臓器重量、病理学的検査及び腫瘍発現数について調査した。
この結果、マウス、ラット及びアカゲザルの血液形態学的検査及び血清生化学的検査で、照射群と非照射群の間で有意の差を示す項目が散発的に認められるが、毒性上意味のある変化とは認められず、また、その他の検査でも差は認められなかった。以上の結果を総合的に判断すると、照射によると見なされる影響は認められなかった。
2)世代試験
照射ウインナーソーセージを摂取することによって、摂取動物が次世代に及ぼす影響を評価するために、マウスに非照射及び0.6kGy照射ウインナーソーセージを5w/w%の割合で添加した飼料を3世代にわたって摂取させ、各世代について一般症状、体重、繁殖生理値(交配率、妊娠率、同腹仔数等)及び骨格等を検査した結果、照射によると思われる影響は観察されなかった。
3)変異原性試験
照射ウインナーソーセージの遺伝的安全性を評価するために、非照射及び0.6kGy照射のウインナーソーセージについて、細菌に対する突然変異誘発試験、マウスによる宿主経由試験、哺乳動物培養細胞(ハムスターの胎仔細胞、ヒトリンパ球)を用いた染色体異常試験、マウスの生体を用いた染色体異常試験及びマウスを用いた優性致死試験を実施した。この結果、いずれの試験項目についても、非照射と照射の間に差は認められず、照射による影響は認められなかった。
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