動物試験結果に関する包括的な評価はFAO/IAEA/WHO照射食品の健全性に関する合同専門家委員会(JECFI)により行われた。IOCUが要求しているようにWHOが評価をやり直しても、新しい情報は得られないであろう。IOCUのペーパーにおいて有害な照射の影響と記されているものは、次の2つの例に示すとおり、非常に古い研究によるものである。
心臓障害
これは、約30年前にH.Monsenにより報告されたマウスを用いた実験を参考にしている。この実験の追試を行ったところ、心臓障害は1例も観察されなかった(19)。この問題についてはこれ以上検討する必要性は認められない。
凝血能の低下
この問題も約30年前に行われた研究によるものである。照射牛肉を35%含む飼料をラットに長期間与えたところ、内出血が観察され、当時問題になったものである。その後の研究により、照射前の飼料のビタミンK含量が非常に低く、それを滅菌に必要な高線量照射したのでビタミンKがさらに減少して、ビタミンK欠乏症が現れたものであることが明らかになった。飼料にビタミンKを添加することにより、出血は完全に防ぐことができた(20、21)。この問題についてはこれ以上検討する必要性は認められない。
文献
19.Thompson,S.W.,et al.:J.Nutrit.87,274(1965)
20.Johnson,B.C.,et al.:Fed.Proc.19,1038(1960)
21.Matschiner,J.T.and Doisy,E.A.:J.Nutrit.90,331(1966)
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