1975〜1978年の期間インドのHyderabadにある国立栄養研究所(NIN)の研究者は、照射直後の小麦をマウス、ラット、サル及び栄養失調の子供に与えると好ましくない影響が観察され、このような影響は照射後貯蔵した小麦では観察されないという、いくつかの論文を発表した。このことについてはJECFI、各国の政府当局や専門家により詳しく論議され、NINの研究結果は照射小麦に好ましくない影響があるということを表しているものではないという結論に達した。NINの研究で用いられた試料数は少なくて統計的な意義が明確でなく、病理学的には意味のあるものとは思われない。他のグループがもっと多くの試料を用いて行った追試によると、NINの研究と同様の結果は得られなかった(ポリプロイドについては22、子宮内死亡については23)。照射後24時間後の小麦をサルに与えて別の検査方法で試験をしたところ、変異原性は観察されなかった(24)。このような科学的な事実以外に、小麦を照射する目的は貯蔵することにあるという単純な事実からも、これ以上、照射直後の小麦に関するこの問題に係わる実験を行う必要はないと判断できる。
文献
22.George,K.P.et al.:Food Cosmet.Toxicol.14,289(1976)
23.Chauhan,P.S.et al.:Toxicology 7,85(1977)
24.Murthy,P.B.K.:Food Cosmet,Toxicol.19,523(1981)
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