照射が食品の栄養価に及ぼす影響については総説が書かれている(27)。あるビタミンは照射により一部分解されること、栄養成分の分解は線量の増加とともに増すが低温や脱酸素条件下で照射することにより低減できることはよく知られている。このようなビタミンの損失は、香辛料、乾燥野菜、穀物、バレイショ、タマネギ、冷凍水産物の照射等、世界中で実施されているいかなる食品照射においても問題とはならない。好ましくない条件下で高線量照射した時に食品によってはある種のビタミンがかなり損失するという議論は、現在実用化されている食品照射にとっては適切ではない。食品中の栄養成分の変化を測定する高感度の方法が開発されているので、もしも現在食品照射が実用化されている食品の栄養素の損失が他の処理を施した食品よりも識別できるほど大きければ、照射食品の検知技術の開発という問題は解決される。文献
27.Murry,T.K.:「食品照射の栄養」,「食品照射の最近の進歩」,Elias and Cohen編,Elsevier,Amsterdam 1983,p.203
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