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Q&A(QUESTION and ANSWER)

食品照射の応用分野(1)特長


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5.食料の安定供給対策としての意義


5.食料の安定供給対策としての意義

概要

 食品照射は、新たな食品の保存技術として世界的に実用化が期待されている。しかし、その技術を利用するには、放射線照射施設とその管理技術および照射前後での適切な食品の取り扱い技術と施設が整備されていることが前提条件となる。食品照射は飢餓対策の唯一の手段ではなく、先進国で普及している冷蔵・冷凍などの食品保存に関する技術の移転なども含め、多面的に対策が講じられている。

内容

1.食品照射の特徴を生かして、各種食料資源の損耗を防止し、また、衛生化を図っていくには、これを使いこなすための関連技術(放射線取り扱いと食品の特性の維持など)を修得することが不可欠である。このため、国連食糧農業機関(FAO)、国際原子力機関(IAEA)、世界保健機関(WHO)が共同で1984年に設置した国際食品照射諮問グループ(ICGFI)はこのためのトレーニングコースを開設している。

2.現在、飢餓に直面している国でも、将来的には食品照射技術が国内の食料保存や輸出用資源の保存などで、その国の経済に大きく貢献すると期待されるが、当面の飢餓問題の解決に食品照射が役立つとは期待しがたい。こうした飢餓対策にはFAOとWHOは約40年間にわたり、真正面から取り組んでいる。この2国際機関は、1989年に国際的な消費者組織である国際消費者連盟(IOCU)からの飢餓と食品照射の関連についての公開質問に対して、以下のように回答している。

 1)食品照射は経済が一定の水準にあり行政、通信、サービスなどの発達した地域で使用して初めて、その機能を発揮する。

 2)穀物などの収穫後の損耗が20〜30%にも達していており、しかも、現在、飢餓に直面して食料保存対策のための資金調達が非常に困難な地域では、その地域の実状に合った食料保存対策、例えば、家庭など末端での穀物など収穫物の保存性の向上対策,(害虫の侵入防止のための袋配布)や、収穫物の迅速な輸送手段の整備などが講じられるべきである。

 3)食品照射はこれらがある程度解決された後の技術である。




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