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Q&A(QUESTION and ANSWER)

食品照射の応用分野(3)健全性


文書



20.照射食品の健全性を支持する実験動物飼料の放射線滅菌


20.照射食品の健全性を支持する実験動物飼料の放射線滅菌

 概要

 実験動物用飼料の栄養成分の組成はバランスがとれており、25〜50kGyの高線量で処理されている。放射線滅菌された飼料は蒸気滅菌したものよりはるかに良好な飼育成績を示しており、実用化されて既に30年以上を経ている。これらの飼料を摂取した実験動物には、照射食品に由来すると考えられる影響は見られていない。

内容

1.実験動物は医学、生理学、栄養学の研究や薬品、食品の安全性試験などに使用されているが、個体差(個体毎の遺伝的偏り)によるデータのバラつきなどを最小限にするため、無菌動物または特定の病原菌に感染していない動物(SPF)が用いられている。

2.実験動物を無菌環境下で飼育するためには飼料の滅菌も必要となる。放射線滅菌法が導入される前は、蒸気滅菌および酸化エチレンガス(EOG)による滅菌が行われていた。しかし、蒸気滅菌では動物の飼育成績が悪く、死亡率が高いことが問題になっていた。EOG滅菌の場合には滅菌効果と毒性物質生成の可能性が問題になっていた。

3.放射線滅菌では動物の飼育成績が良好で、繁殖率が良好、死亡率が低いという成績が得られたため、各国で普及するようになった。さらに、1977年に国連食糧農業機関(FAO)/ 国際原子力機関(IAEA)の飼料の放射線殺菌に関する専門家会議が、50kGyまでの線量は安全であるとの報告をまとめ、加盟国に勧告した。

4.実験動物用飼料は主要栄養成分である澱粉類、タンパク質、脂質、ビタミン類、ミネラルが適量含まれており、放射線滅菌の際に起きる化学変化は人間の食品と類似している。実験動物用飼料は滅菌線量が25〜50kGyと著しく高く、飼料組成の100%が照射されており、飼育環境も無菌下のためデータのバラつきが少なく、数10世代にわたって飼育してきた子孫に悪影響が全く見られない。

5.わが国でも30年にわたり実験動物用飼料の放射線滅菌が実用化されている。




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