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Q&A(QUESTION and ANSWER)

食品照射の応用分野(3)健全性


文書



21.日本における照射食品許可が進まない理由


21.日本における照射食品許可が進まない理由

概要

 馬鈴薯以外に照射が許可されないのは、照射食品の安全性に問題があるからではなく、社会的判断によるものである。

内容

1.食品照射に関する原子力特定総合研究は1967年(昭和42年)に開始され、馬鈴薯(発芽抑制)、玉ネギ(同)、米(殺虫)、小麦(同)、ウインナーソーセージ(殺菌)、水産練り製品(同)、ミカン(表面殺菌)の7品目について検討され、いずれの照射食品もその安全性(健全性)が確認されており、これらの食品の照射について安全上の問題はない。

2.馬鈴薯に対する放射線照射の許可以降、今日にいたるまで、

1)生鮮食品について消費者の鮮度重視の傾向が強まり、穫れたての食品へのニーズが強まっていること、

2)保存、貯蔵手段について、1967年(昭和42年)当時と比べて技術の進歩がめざましく、コールドチェーン、紫外線殺菌技術、低温倉庫などが発達したこと、

3)照射食品の健全性、放射線照射と放射能汚染の違いなどについて、国民的理解が必ずしも十分でなく、照射食品を不安視する感覚が根強いこと、

4)これらを背景として、関連産業界からの許可申請が行われないこと、などの事情から、馬鈴薯以外の食品への照射が許可されていないものと推測される。

3.しかしながら、これら7品目のうちでは、玉ネギの発芽抑制については、他に適切な代替手段が見当たらないほか、オゾン層破壊物質の一つである臭化メチル(MB)の使用が国際的に禁止されると、害虫駆除を目的とした穀物の照射に対するニーズが出てくる可能性もある。




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