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Q&A(QUESTION and ANSWER)

食品照射の応用分野(3)健全性


文書



27.照射の栄養成分に対する影響


27.照射の栄養成分に対する影響

概要

 食品を照射しても栄養問題を引き起こすことはない。1980年に開催された国連食糧農業機関(FAO)/国際原子力機関(IAEA)/世界保健機関(WHO)で構成される照射食品(の健全性)に関する合同専門家委員会(JECFI)は、10kGy以下で照射した食品は特別な栄養学的な問題を引き起こさないという結論を出した。

内容

1.タンパク質、炭水化物、脂肪のような主要栄養成分は放射線に対して比較的安定であり、また、わが国では多様な食事構成から十分に摂取されているので、これらの栄養成分に対する照射の影響は問題とならない。

2.ビタミンは種類によって放射線に対する安定性は異なる。ビタミンB2、ニコチン酸ビタミンDは放射線に対して比較的安定であるが、ビタミンA、B1 、C、E、Kは比較的不安定である。

3.生鮮農産物を照射した場合、これらは一時的に非照射のものに比べて栄養成分量が減少するが、一般的には、貯蔵中に農産物の代謝により照射物と非照射物との間で栄養成分量の差がなくなる。例えば、馬鈴薯や玉ネギにおいては、照射直後はビタミンCが減少するが、2〜3カ月貯蔵すると照射物と非照射物との間でこれらの成分の量の違いはなくなる。

4.調理による栄養成分の損失は、照射食品と非照射食品の間で差はない。例えば、馬鈴薯のビタミンCの各種調理操作による損失は、照射試料と非照射試料の間で差はない。

5.なお、放射線照射による一時的なビタミンの損失の重要性は、その食品のビタミン源としての食生活での重要度に依存している。世界で照射の対象となっているもののうち、香辛料、食鳥肉、エビなどはビタミンの主要な供給源とはなっていない。各国国民とも多様な食品を摂取しているので、2〜3品目の果実の照射によりビタミンCなどが多少減少しても、直ちに栄養学的な問題を引き起こすとは思われない。むしろ、多くの食品が腐敗や微生物汚染などにより食品としての適正を失い、これら食品が欠乏し、各種栄養源の摂取が不可能となる、つまり、飢餓状態を生じることのほうが最大の問題である。




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