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Q&A(QUESTION and ANSWER)

食品照射の応用分野(3)健全性


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32.米国FDAの特異的放射線分解生成物に関する見解


32.米国FDAの特異的放射線分解生成物に関する見解

概要

  特異的放射線分解生成物(URP)の総量は約3ppmであり、さらに、個々のURPの量はわずかで、食品の安全性に影響をもたらすことはない。

内容

1.1979年に米国食品医薬品局(FDA)は照射食品の安全性評価のための毒性試験方法を確立するために食品局照射食品に関する委員会(BFIFC)を設立した。BFIFCは照射食品の安全性について、次のような見解を出した。

 1)食品を1kGy照射した場合の全放射線分解生成物は約30ppmと推定される。

 2)このうち、90%は非照射食品の中にもともと存在する物質であり、非照射食品には見いだされないURPは全放射線分解生成物の10%、すなわち3ppmであると推定した。これはURPの総量であり、単一のURPの濃度は1ppm以下と推定した。

 3)上記の考え方を適用すると、一般の食品は1kGyまで照射しても、また、香辛料のように食品の中での割合が0.01%を超えないような少量の成分は50kGyまで照射しても、人間が摂取するURPはわずかであり安全性に問題はない。

2.さらにBFIFCは、1kGy以下の線量で照射した食品についての従来の毒性試験方法は毒性学的に意味のある解答を与えるとは期待できないとしている。これは次のような理由に基づいている。

 1)多量の非照射および照射食品の投与によって実験動物が栄養的に著しくアンバランスな状態を生じて潜在的な毒性がマスクされる。

 2)照射食品中の有毒な放射線分解生成物の濃度が低い。

 3)照射食品中の潜在的なURP濃度があまりに低く、従来の毒性学的試験方法では感度が十分ではない。

  ・上記3)を補足すると、米国では、食品の毒性審査に際しては、投与量とそれによる影響との間に相関関係を求め、その式から影響が十分に小さいレベルとなる投与量を算出することにより、毒性を評価する方法をとっている。2.の1)〜3)は、試験方法に欠陥があると指摘しているのではなく、相関関係が求められるほどの影響が検出されない、すなわち、従来の各種毒性評価に比べて、照射食品の影響は著しく小さいということを述べている。

3.これらの見解に基づいて、FDAは1986年4月18日に果実・野菜の1kGy以下の照射を許可した。




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