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Q&A(QUESTION and ANSWER)

食品照射の応用分野(3)健全性


文書



33.英国での照射食品の許可


33.英国での照射食品の許可

概要

  英国政府は1982年に食品関係の専門家からなる諮問委員会を設置し、この委員会で国内外の関連データなどを十分に検討した結果に基づいて、1991年に果実、野菜、穀物、香辛料、魚介類、食鳥肉などの照射を許可した。

内容

1.英国は1969年に入院患者用の無菌食品についての照射を許可した。その後、国連食糧農業機関(FAO)/国際原子力機関(IAEA)/世界保健機関(WHO)で構成する照射食品(の健全性)に関する合同専門家委員会(JECFI)の結論を契機として、多くの国で食品照射の許可、実用が進展していることから、現状のままでは英国食品業界での食品照射の実用化の阻害要因になると判断し、1988年、保健社会保証省や農業漁業食料省は、照射食品・新規食品に関する諮問委員会(ACINF)を設置した。同委員会は、1991年に照射食品の安全性(健全性)について答申した。その内容は1980年のJECFIの結論を確認するものであった。

2.これに基づき、保健社会保証省は、1989年に食品安全法(Food Safety Act)により一般食品への放射線照射を原則禁止した。このことは、英国において食品照射を取り扱う法律が整備されたことを意味している。

3.1991年に同法に基づき、果実、野菜、穀物、根茎類、香辛料、魚介類、食鳥肉などの食品の照射が許可された。この許可の背景には、前述の国際情勢に加えて、EC市場統合への動き、さらに当時、英国では食鳥肉や卵のサルモネラ菌汚染問題により、多くの中毒患者が発生していたことも契機になったと見られている。

4.英国における食品照射の経緯は以下の通りである。

   1962年  英国保健省(当時)医療担当長官が「食品照射に関する作業部会」を設置。照射が食品に与える影響やそれにより生じる可能性のある害について検討。

    1964年  上記部会が報告書を提出。要旨は、食品照射は(国が)管理すべきであり、照射食品の健全性の確認にはさらに調査が必要、というものであった。

    1967年  上記報告に基づき、政府は照射食品を流通させたり、輸入することを実質的に禁止する規則を制定。要旨は照射食品が危険である、ということからではなく、食品照射の利用にはさらに詳細な調査が必要なためで、照射が妥当と認められたときは特例として許可される、ということであった。

    1969年  英国保健省の諮問機関として「食品照射諮問委員会」を設置。任務は食品照射についての一般事項および照射食品の販売、輸入の禁止の特例規定の適用の是非を検討すること。上記委員会の勧告により、同年、入院患者用の無菌食品への照射を許可。

    1982年  EC諸国などの動向を反映して、保健社会保証省、農業漁業食料省は上記委員会を非政府、非食品産業界関係の専門家からなる「照射食品・新規食品に関する諮問委員会」に改組。

    1989年  上記委員会が英国での食品照射の導入にあたっての留意点などについて検討した結果を両省に報告した。

    1991年  保健社会保証省が果実、野菜、穀物、香辛料、魚介類、食鳥肉などの照射を許可。




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