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照射効果(IRRADIATION EFFECT):食品に放射線を照射した場合の貯蔵、衛生化等の効果

殺菌・腐敗抑制(ウインナーソーセージ)


発表場所 : 食品照射研究運営会議(放射線照射によるウインナ−ソ−セ−ジの殺菌に関する研究成果報告書・資料編)
著者所属機関名 : 農林水産省畜産試験所
発行年月日 : 昭和60年12月
1. ウインナーソーセージのγ線照射処理
1. 目  的
2. ネト発生を1週間抑制させる適正照射線量
(1) 試験方法
(a) 材  料
(b) 照射線量
(c) 保存条件
(d) 生菌数および官能検査
(2) 試験結果
3. ウインナーソーセージの官能的品質に及ぼすγ線照射の影響
(1) 試験方法
(a) 材  料
(b) 照射線量
(c) 官能検査員
(d) 検査方法
(2) 試験結果
4. 結  論



1.ウインナーソーセージのγ線照射処理


1. ウインナーソーセージのγ線照射処理
1. 目  的

 ウインナ−ソ−セ−ジは冷蔵期間が長くなるに従って風味が低下するが、一般に風味のよい期間は製造後約1週間と考えられる。そこで確実に1週間ネトを抑制する適正線量を求め、同時にこれらが官能的品質に及ぼす影響について検討した。

2. ネト発生を1週間抑制させる適正照射線量
(1) 試験方法
(a) 材  料

 保存料を用いず、燻製しないウインナーソーセージを2本ずつポリセロ(Cellophane−polyethylene)袋に密封して用いた。但し、ケーシングはamaranth(赤色2号)で着色した。

(b) 照射線量

 0(対照)、0.1、0.3、0.5、0.8、1.0、5.0 Mrad、線源はCo−60、3,000Ciの装置を用いた。

(c) 保存条件

 5〜8℃で10日間

(d) 生菌数および官能検査

 ネトの有無、色沢、風味について行った。また、生菌数は寒天培地を用い、コロニを計測した。

(2) 試験結果

 照射直後の生菌数は、図1に示すとおり、線量の増加に従って、対数的に減少し、0.5 Mrad以上では1g当り3,000以下となった。

 ネト発生時点と食用に供し得なくなった(変敗)時点は図2に示すとおりで、ネトは0および0.1 Mradでは5日目、0.3 Mradでは7日目、0.5 Mradでは9日目に発生し、変敗はいずれの線量区もネト発生後2日目ぐらいから起こった。

 品質への影響は、0.8 Mrad以上になると肉色がやや淡くなり、照射臭を感じたが、1.0 Mradでも、商品価値をおとすほどではなかった。ただし、amranthは、0.8 Mradでやや変色し、1.0 Mradでは桃色になった。


図1 照射線量と生菌数の関係


3. ウインナーソーセージの官能的品質に及ぼすγ線照射の影響
(1) 試験方法
(a) 材  料

 前実験と同じ配合割合、製法で燻煙し、クッキングしたウインナーソーセージを2本ずつポリセロ袋に密封して、半分はamaranthでケーシングを着色した。

 照射後冷蔵し、3日目に開封して官能検査を行った。

(b) 照射線量

 0、0.25、0.50、0.75、1.0 Mrad

(c) 官能検査員

 18名(男女各9名)

(d) 検査方法

 試料6点(非照射区のみ2点)を無作為のコードを付したのち、モディファイドラテン方格によって、ランダムにパネルグループにわりつけた。

 評価の尺度は1〜9段階に数量化し、、Factscaleと呼ばれる嗜好意欲評価尺度(食研)を用いた。なお、嗜好意欲を左右した理由については、検査項目に分けて記載させた(表1パネルテストカード例参照)。

(2) 試験結果

 ウインナーソーセージの評価結果は、表2に示すとおり、パネル評点に個人差がみられるので、処理間について分散分析によって検討した。

 その結果(表3)、試食順序は無着色、着色いずれも有意差がなかった。

 パネルグループ間の評価水準および処理間には、かなり差があり、とくに無着色の方が着色よりも照射の影響が大きく出た。

 着色、無着色の各平均値と両者の平均値は図3に示すとおりである。対照区の平均値は、5.0〜6.0にあるが、γ線を照射した区はいずれも5.0以下であった。ただし、線量の多少との関連は明らかでなかった。

 表4は嗜好度を5以上とした試料と、4以下とした試料について、外観、香気、味、テクスチャーに分けて集計した結果である。

 また、非照射区と対比して良としたもの(○印)と不良としたもの(×印)とを比較すると、味がもっとも強い要因で、0.25〜1.00Mrad照射区について味が不良と評価された回数は24〜35%であった。ついで、香気、外観(色)、テクスチャーの順に要因として指摘される度合が強い。

 図4は、各処理区別に良とする理由と不良とする理由について、ヒストグラムで示したもので、外観では非照射と0.25Mradの両区は差はないが、線量の増加にしたがって評価が低下している。

 香気については、非照射区のみがよく、照射による照射臭を感知しているものが最低の照射線量でも約20%いることがわかる。

 テクスチャーは、各区とも良とするものが多く、照射による影響がなかった。

 なお表5〜表14および図5〜図15はそれぞれ補足実験結果である。


表2
 0.25、0.50、0.75及び1Mradのγ線照射処理をしたウインナーソーセージの官能テスト結果

       
Testing
       
 Order 
       
               Panel Group
               Non−colored               
  a   
  b   
  c   
  d   
  e   
  f   
   1   
       
       
       
       
 Total 
(0.75)
  4   
  4   
  2   
      
 10   
(1.00)
  7   
  4   
  6   
      
 17   
(0.00)
  6   
  7   
  5   
      
 18   
(0.50)
  6   
  6   
  5   
      
 17   
(0.25)
  6   
  4   
  3   
      
 13   
(0.00)
  7   
  7   
  7   
      
 21   
   2   
       
       
       
       
 Total 
(0.50)
  7   
  6   
  3   
      
 16   
(0.75)
  6   
  7   
  5   
      
 18   
(0.00)
  6   
  7   
  5   
      
 18   
(0.25)
  3   
  6   
  5   
      
 14   
(0.00)
  7   
  4   
  5   
      
 16   
(1.00)
  6   
  8.5 
  5   
      
 20.5 
   3   
       
       
       
       
 Total 
(0.00)
  5   
  6   
  5   
      
 16   
(0.00)
  7   
  8   
  5   
      
 20   
(0.50)
  6   
  4   
  2   
      
 12   
(1.00)
  3   
  5   
  4   
      
 12   
(0.75)
  8   
  2   
  6   
      
 16   
(0.25)
  5   
  7   
  7   
      
 19   
   4   
       
       
       
       
 Total 
(0.25)
  6   
  3   
  4   
      
 13   
(0.50)
  4   
  7   
  5   
      
 16   
(1.00)
  5   
  1   
  3   
      
  9   
(0.00)
  5   
  4   
  5   
      
 14   
(0.00)
  7   
  2   
  6   
      
 15   
(0.75)
  4   
  9   
  6   
      
 19   
   5   
       
       
       
       
 Total 
(1.00)
  1   
  3   
  5   
      
  9   
(0.00)
  6   
  8   
  5   
      
 19   
(0.25)
  3   
  1   
  4   
      
  8   
(0.75)
  4   
  5   
  4   
      
 13   
(0.50)
  8   
  1   
  3   
      
 12   
(0.00)
  7   
  6   
  6   
      
 19   
   6   
       
       
       
       
 Total 
(0.00)
  8   
  6   
  7   
      
 21   
(0.25)
  6   
  7   
  7   
      
 20   
(0.75)
  5   
  6   
  3   
      
 14   
(0.00)
  7   
  7   
  5   
      
 19   
(1.00)
  5   
  1   
  4   
      
 10   
(0.50)
  5   
  5   
  5   
      
 15   
       
Testing
       
 Order 
       
               Panel Group               
                 Colored                 
  a   
  b   
  c   
  d   
  e   
  f   
   1   
       
       
       
       
 Total 
(0.75)
  4   
  2   
  3   
      
  9   
(1.00)
  6   
  8   
  5   
      
 19   
(0.00)
  6   
  6   
  4   
      
 16   
(0.50)
  6   
  4   
  6   
      
 16   
(0.25)
  4   
  4   
  4   
      
 12   
(0.00)
  6   
  7   
  6   
      
 19   
   2   
       
       
       
       
 Total 
(0.50)
  4   
  3   
  3   
      
 10   
(0.75)
  7   
  8   
  5   
      
 20   
(0.00)
  6   
  6   
  6   
      
 18   
(0.25)
  4   
  3   
  3   
      
 10   
(0.00)
  7   
  4   
  3   
      
 14   
(1.00)
  7   
  6   
  6   
      
 19   
   3   
       
       
       
       
 Total 
(0.00)
  5   
  4   
  6   
      
 15   
(0.00)
  4   
  7   
  6   
      
 17   
(0.50)
  6   
  5   
  4   
      
 15   
(1.00)
  2   
  2   
  6   
      
 10   
(0.75)
  1   
  3   
  3   
      
  7   
(0.25)
  7   
  4   
  5   
      
 16   
   4   
       
       
       
       
 Total 
(0.25)
  5   
  5   
  3   
      
 13   
(0.50)
  6   
  6   
  4   
      
 16   
(1.00)
  5   
  4   
  5   
      
 14   
(0.00)
  6   
  2   
  3   
      
 11   
(0.00)
  7   
  5   
  3   
      
 15   
(0.75)
  6   
  8   
  7   
      
 21   
   5   
       
       
       
       
 Total 
(1.00)
  5   
  5   
  2   
      
 12   
(0.00)
  5   
  7   
  6   
      
 18   
(0.25)
  4   
  6   
  4   
      
 14   
(0.75)
  2   
  2   
  3   
      
  7   
(0.50)
  3   
  6   
  3   
      
 12   
(0.00)
  7   
  5   
  8   
      
 20   
   6   
       
       
       
       
 Total 
(0.00)
  5   
  6   
  5   
      
 16   
(0.25)
  5   
  6   
  3   
      
 14   
(0.75)
  4   
  5   
  4   
      
 13   
(0.00)
  6   
  2   
  3   
      
 11   
(1.00)
  1   
  5   
  3   
      
  9   
(0.50)
  7   
  1   
  8   
      
 16   



表3 変動要因の分析(第2表より計算)
                      
         Item         
                      
 Sum of  
         
  square 
Degrees
  of   
Freedom
        
Variance
        
        
   F    
        
Non−colored           
   Treatment          
   (among dose)       
                      
   Between Panel Group
                      
   Order of Testing   
                      
   Error              
                      
   Total              
         
 131.815 
(131.732)
         
 179.815 
         
  62.815 
         
 107.245 
         
 481.690 
       
   5   
  (4)  
       
   5   
       
   5   
       
  20   
       
  35   
        
 26.353 
(32.933)
        
 35.963 
        
 12.563 
        
  5.363 
        
        
        
 4.919**
        
        
 6.140**
        
 6.705**
        
 2.342  
        
        
Colored               
   Treatment          
   (among dose)       
                      
   Between Panel Group
                      
   Order of Testing   
                      
   Error              
                      
   Total              
         
  50.556 
 (50.223)
         
 302.556 
         
  26.556 
         
 109.556 
         
 439.222 
       
   5   
  (4)  
       
   5   
       
   5   
       
  20   
       
  35   
        
 10.111 
(12.556)
        
 60.111 
        
  5.311 
        
  5.478 
        
        
        
 1.846  
(2.292) 
        
11.047**
        
 0.969  
        
        
        
        

 *   Significance of 5% level.
 **        〃      〃  1%   〃



表4
    γ線照射処理(0、0.25、0.50、0.75、1.0Mrad)ウインナーソーセージの品質評価

             
無着色          
   線量(Mrad)  
 0.00
 0.25
 0.50
 0.75
 1.00
 ○
 ×
 ○
 ×
 ○
 ×
 ○
 ×
 ○
 ×
   
   
   
   
無着色
   
   
   
   
5≦
  
  
  
外観(色沢)
香気    
食味    
肉質    
38
32
44
24
 3
 0
 3
 6
24
 6
18
18
 0
 0
 5
 0
24
24
24
24
12
 0
12
 0
12
 6
12
12
 6
 0
12
 0
 0
12
29
 6
12
 0
12
 0
4≧
  
  
  
外観(色沢)
香気    
食味    
肉質    
 0
 0
 0
 0
 0
 0
 6
 0
18
 0
 6
 5
 0
18
24
18
 6
 0
 0
 6
 6
 0
18
 0
12
 6
 0
12
 6
12
35
 0
18
 0
 0
 2
12
29
29
12
   
   
   
   
着 色
   
   
   
   
5≦
  
  
  
外観(色沢)
香気    
食味    
肉質    
15
24
38
15
12
 0
 0
 3
18
12
18
 6
 6
 6
 6
12
12
 6
24
12
12
12
 6
 0
18
 6
29
29
 6
 6
 6
 0
 6
 6
18
18
12
 0
 0
12
4≧
  
  
  
外観(色沢)
香気    
食味    
肉質    
 0
 0
 3
 3
12
 0
15
 9
 0
 0
 6
 6
18
12
35
12
 0
 6
 6
 6
18
 6
29
12
 0
 0
 0
 0
12
18
35
 6
 6
 0
 0
 6
12
18
24
12
   
   
   
   
平 均
   
   
   
   
5≦
  
  
  
外観(色沢)
香気    
食味    
肉質    
27
28
41
20
 8
 0
 5
 5
21
 9
18
12
 3
 3
 6
 6
18
15
24
18
12
 6
 9
 3
15
 6
21
21
 6
 3
 9
 0
 3
 9
24
12
12
 0
 0
 0
4≧
  
  
  
外観(色沢)
香気    
食味    
肉質    
 0
 0
 2
 2
 6
 0
 9
 5
 9
 0
 6
 6
 9
15
30
15
 3
 3
 3
 6
12
 3
24
 6
 6
 3
 0
 6
 9
15
35
 3
12
 0
 0
 9
12
24
27
12

 5≦  好ましい
 4≧  好ましくない
 ○   非照射より良いと評価
 ×   非照射より悪いと評価



表5 ネトから分離した細菌の放射線感受性
 菌 
   
   
   
 種 
照射線量
    
    
    
Mrad
        細        菌        数        
  照射前細菌数   
         照射後生菌数        
           
    0  時間  
 24時間(5〜8℃)
   
 黄 
 色 
 ぶ 
 ど 
 う 
 状 
 球 
 菌 
   
   
0.00
    
0.10
    
0.25
    
0.50
    
0.75
    
1.00
4.2×10・E(7)
           
    〃      
           
    〃      
           
    〃      
           
    〃      
           
    〃      
    ∞      
           
2.2×10・E(4)
           
2.2×10・E(3)
           
    0      
           
    0      
           
    0      
    ∞      
           
1.2×10・E(3)
           
1.8×10・E(3)
           
     0     
           
     0     
           
     0     
白ぶ状
 ど球
色う菌
0.00
    
0.50
3.1×10・E(7)
           
    〃      
1.2×10・E(4)
           
    0      
     −     
           
     0     
 双 
 球 
 菌 
0.00
    
0.50
4.1×10・E(7)
           
    〃      
1.7×10・E(4)
           
1.8×10・E(3)
     −     
           
1.4×10・E(3)



表6 菌初濃度と照射(0.5Mrad)効果
   
   
No.
   
   
           時           期           
         照 射 前         
   照 射 後   
           
   生 菌 数   
  総 菌 数    
   生 菌 数   
 1 
   
 2 
   
 3 
   
 4 
   
 5 
7.2×10・E(7)
           
7.2×10・E(4)
           
7.2×10・E(3)
           
7.2×10・E(4)
           
7.2×10・E(3)
3.7×10・E(4)
           
1.6×10・E(3)
           
8.3×10・E(4)
           
3.6×10・E(3)
           
3.4×10・E(3)
    <40    
           
    <30    
           
    <10    
           
    <10    
           
     0     



表7 照射による菌種の消長
             
             
             
 微  生  物  属  
             
             
             
    20 ℃ の 経 過 日 数   線 量(Mrad)な ど  
     分  離  微  生  物  の  属  組  成     
    
ネト洗液
    
   0 日 目    
   7 日 目    
14日目
 0
0.25
0.50
 0
0.25
0.50
0.50
Pseudomonas  
             
Achromobacter
             
Micrococcus  
             
Lactobacillus
             
Leuconostoc  
             
Yeast        
             
不明           
             
      計      
 12 
    
  8 
    
  0 
    
  1 
    
  1 
    
  1 
    
  1 
    
 24 
 0
  
 0
  
 1
  
 7
  
 1
  
 0
  
 0
  
13
  1 
    
  6 
    
  0 
    
  3 
    
  1 
    
  0 
    
  0 
    
 11 
  0 
    
 10 
    
  0 
    
  0 
    
  0 
    
  0 
    
  0 
    
 10 
 0
  
 0
  
 0
  
 8
  
 2
  
 0
  
 0
  
10
  0 
    
  0 
    
  0 
    
  4 
    
  6 
    
  0 
    
  0 
    
 10 
  0 
    
  0 
    
  0 
    
  7 
    
  3 
    
  0 
    
  0 
    
 10 
  0 
    
  0 
    
  0 
    
  9 
    
  1 
    
  0 
    
  0 
    
 10 



表8 肉製品の変敗に関与する細菌の放射線感受性
                            
                            
      菌             種       
                            
                            
                            
        照     射     処     理         
            
     前      
            
            
           後           
   0.25    
   Mrad    
   0.50    
           
Flavobacterium  10−F        
                S−1         
                            
                            
Achromobacter   lacticum    
                butyri      
                viscosum    
                            
Alcaligenes     viscosus    
                faecalis    
                            
Bacillus        subtilis    
                firmus      
                            
Aerobacter      cloacae     
                            
Paracolo−       aerogeroides
  bacterium                 
                            
Proteus         vulgaris    
                morganii    
                            
Micrococcus     caseolyticus
                            
Sarcina         flava       
                lutea       
                            
Aeromonas       liquefaciens
                            
Pseudomonas     fluorescens 
                aeruginosa  
1.4×10・E(10)
6.0×10・E(9) 
            
            
1.1×10・E(10)
1.6×10・E(10)
1.5×10・E(10)
            
3.8×10・E(5) 
4.6×10・E(9) 
            
1.7×10・E(10)
2.0×10・E(7) 
            
8.2×10・E(9) 
            
2.0×10・E(8) 
            
            
1.0×10・E(10)
2.8×10・E(8) 
            
2.8×10・E(5) 
            
4.0×10・E(8) 
3.0×10・E(8) 
            
3.4×10・E(5) 
            
1.4×10・E(10)
7.3×10・E(9) 
    0      
2.6×10・E(9)
           
           
7.2×10・E(5)
2.8×10・E(5)
    0      
           
5.0×10・E(3)
    0      
           
1.2×10・E(5)
9.0×10・E(2)
           
    0      
           
4.2×10・E(4)
           
           
    0      
1.0×10・E(4)
           
4.0×10・E(3)
           
4.0×10・E(3)
3.6×10・E(5)
           
    0      
           
    0      
    0      
    0      
6.0×10・E(3)
           
           
2.3×10・E(5)
    0      
    0      
           
    0      
    0      
           
1.5×10・E(4)
    0      
           
    0      
           
4.0×10・E(3)
           
           
    0      
    0      
           
    0      
           
    0      
    0      
           
    0      
           
    0      
    0      
                            
                            
      菌             種       
                            
                            
                            
  照     射     処     理  
           後           
   0.75    
   Mrad    
   1.00    
           
Flavobacterium  10−F        
                S−1         
                            
                            
Achromobacter   lacticum    
                butyri      
                viscosum    
                            
Alcaligenes     viscosus    
                faecalis    
                            
Bacillus        subtilis    
                firmus      
                            
Aerobacter      cloacae     
                            
Paracolo−       aerogeroides
  bacterium                 
                            
Proteus         vulgaris    
                morganii    
                            
Micrococcus     caseolyticus
                            
Sarcina         flava       
                lutea       
                            
Aeromonas       liquefaciens
                            
Pseudomonas     fluorescens 
                aeruginosa  
    0      
2.0×10・E(3)
           
           
2.0×10・E(3)
    0      
    0      
           
    0      
    0      
           
1.0×10・E(3)
    0      
           
    0      
           
    0      
           
           
    0      
    0      
           
    0      
           
    0      
    0      
           
    0      
           
    0      
    0      
    0      
5.0×10・E(2)
           
           
1.0×10・E(3)
    0      
    0      
           
    0      
    0      
           
3.0×10・E(2)
    0      
           
    0      
           
    0      
           
           
    0      
    0      
           
    0      
           
    0      
    0      
           
    0      
           
    0      
    0      



表9
  0.5及び1.0Mradのγ線照射処理をしたウインナーソーセージの官能評価*1

 評 価 の 項 目
     肉    食      
  香      気   
  食      味  
 嗜   好
 順 位 の 項 目
  好ましい  
 好ましくない 
 好ましい 
好ましくない
好ましい 
好ましくない
 好ましい 
 照 
   
 射 
   
 線 
   
 量 
 | 
 M 
 r 
 a 
 d 
 0    
      
 0.5  
      
 1.0  
   1    
        
   2    
        
   3    
   1    
        
   2    
        
   3    
  2   
      
  3   
      
  1   
  2   
      
  1   
      
  1   
  2  
     
  3  
     
  1  
  3   
      
  1   
      
  2   
  1   
      
  3   
      
  2   
 w 値*2
      
 s    
  0.519 
        
 66.5** 
  0.856 
        
108.5** 
 0.082
      
10.5  
 0.019
      
24.0  
0.001
     
0.5  
0.074 
      
9.5   
 0.222
      
28.5  
 判 定*3
      
 照射により、よい影響が明らかに 
      みられた。      
      照射による影響はみられなかった。

 評 価 の 項 目
 嗜    好 
  総       合  
 順 位 の 項 目
 好ましくない 
 好ましい 
好ましくない
 照 
   
 射 
   
 線 
   
 量 
 | 
 M 
 r 
 a 
 d 
 0    
      
 0.5  
      
 1.0  
   2    
        
   1    
        
   3    
  3   
      
  2   
      
  1   
  1   
      
  2   
      
  1   
 W 値*2
      
 s    
  0.027 
        
  3.5   
 0.016
      
 2.0  
 0.105
      
13.5  
 判 定*3
      
 照射による影響はみられなかった。     
                      

 *1  6人のパネルで順位を判定し(1、2および3)、W−値(Kendall’s
     Coefficient of Concordance)
 *2  W値
             2  2
     W=12 S/n (k −k)
        k   n             2
     S= ・  ・・  Xij−n(k−1)/・
       δ=1 i=1
     k=サンプルの数
     n=パネル人数
 **  1%水準で有意
 *3  評価にはS(k=3、n=6)=66.8(1%)、48.1(5%)を参照。



表10
  0.5Mradのγ線を照射したウインナーソーセージを冷却して食べたときの嗜好性

   
回 数
   
   
項 目
   
    選       択    
   照     射     臭    
 非照射 
 照 射 
 検 定 
 識別可能 
 識別不可能 
 検 定 
   
   
 1 
   
   
風 味
肉 色
肉 質
香 気
総 合
  6  
  8  
  6  
  6  
  6  
  4  
  2  
  4  
  4  
  4  
  −  
  −  
  −  
  −  
  −  
      
      
  10  
      
      
       
       
   0   
       
       
     
     
  *  
     
     
   
   
 2 
   
   
風 味
肉 色
肉 質
香 気
総 合
  7  
  5  
  8  
  8  
  7  
  3  
  5  
  2  
  2  
  3  
  −  
  −  
  −  
  −  
  −  
      
      
   8  
      
      
       
       
   2   
       
       
     
     
  −  
     
     
   
   
総 合
   
   
風 味
肉 色
肉 質
香 気
総 合
 13  
 13  
 14  
 14  
 13  
  7  
  7  
  6  
  6  
  7  
  −  
     
  −  
  −  
  −  
      
      
  18  
      
      
       
       
   2   
       
       
     
     
  *  
     
     

 *  有意差あり(5%)
 −  有意差なし



表11
  0.5Mradのγ線を照射したウインナーソーセージをボイルして食べたときの嗜好性

   
回 数
   
   
項 目
   
    選       択    
   照     射     臭    
 非照射 
 照 射 
 検 定 
 識別可能 
 識別不可能 
 検 定 
   
   
 1 
   
   
風 味
肉 色
肉 質
香 気
総 合
  6  
  4  
  6  
  7  
  5  
  4  
  6  
  4  
  3  
  5  
  −  
  −  
  −  
  −  
  −  
      
      
   8  
      
      
       
       
   2   
       
       
     
     
  −  
     
     
   
   
 2 
   
   
風 味
肉 色
肉 質
香 気
総 合
  3  
  5  
  7  
  7  
  5  
  7  
  5  
  3  
  3  
  5  
  −  
  −  
  −  
  −  
  −  
      
      
   6  
      
      
       
       
   4   
       
       
     
     
  −  
     
     
   
   
総 合
   
   
風 味
肉 色
肉 質
香 気
総 合
  9  
  9  
 13  
 14  
 10  
 11  
 11  
  7  
  6  
 10  
  −  
  −  
  −  
  −  
  −  
      
      
  14  
      
      
       
       
   6   
       
       
     
     
  −  
     
     

 *  有意差あり(5%水準)
 −  有意差なし



表12
  0.5Mradのγ線を照射したウインナーソーセージをサラダ油で炒めて食べたときの嗜好性

   
回 数
   
   
項 目
   
    選       択    
   照     射     臭    
 非照射 
 照 射 
 検 定 
 識別可能 
 識別不可能 
 検 定 
   
   
 1 
   
   
風 味
肉 色
肉 質
香 気
総 合
  8  
  6  
  7  
  7  
  5  
  2  
  4  
  3  
  3  
  2  
  −  
  −  
  −  
  −  
  −  
      
      
   8  
      
      
       
       
   2   
       
       
     
     
  −  
     
     
   
   
 2 
   
   
風 味
肉 色
肉 質
香 気
総 合
  6  
  7  
  6  
  5  
  5  
  4  
  3  
  4  
  5  
  4  
  −  
  −  
  −  
  −  
  −  
      
      
   7  
      
      
       
       
   3   
       
       
     
     
  −  
     
     
   
   
総 合
   
   
風 味
肉 色
肉 質
香 気
総 合
 14  
 13  
 13  
 12  
 13  
  6  
  7  
  7  
  8  
  6  
  −  
  −  
  −  
  −  
  −  
      
      
  15  
      
      
       
       
   5   
       
       
     
     
  *  
     
     

 *  有意差あり(5%水準)
 −  有意差なし



表13
       羊腸を殺菌処理したあとの生菌数

      
      
 線  量 
      
(Mrad)
      
      
     
     
     
 国 名 
     
     
     
           培    地    の    食    塩  %        
           0          
        10          
   培    養    日    数   
  培    養    日    数  
  2  
   4   
   7    
 2 
   4   
   7    
      
  0   
      
インド  
パキスタン
中国   
3,200
1,700
  <10
48,000 
46,000 
 2,800 
10・E(7)<
  L.A.  
142,000 
<10
<10
<10
184,000
125,000
    <10
10・E(7)<
10・E(7)<
   <10  
      
  0.5 
      
インド  
パキスタン
中国   
  <10
  <10
  <10
   500 
   120 
   100 
  1,700 
  5,200 
  3,700 
<10
<10
<10
    <10
    <10
    <10
   <10  
   500  
   300  
      
  1.0 
      
インド  
パキスタン
中国   
  <10
  <10
  <10
   <10 
   100*
   <10 
    <10 
  2,000 
    <10 
<10
<10
<10
    <10
    <10
    <10
   <10  
   <10  
   <10  
      
 NaOCl
      
インド  
パキスタン
中国   
  <10
  <10
  <10
   100*
   200*
   <10 
  2,600*
  L.A.  
    <10 
<10
<10
<10
    <10
    <10
    <10
   <10  
   <10  
   <10  

 * 糸状菌が混在していた。
   なお、培地の食塩濃度を20%にしたものおよび5Mrad照射したものは生菌は認められなかった。



表14 微生物相
      国     名    
   イ  ン  ド   
  パ キ ス タ ン  
   中    国    
      殺 菌 処 理    
  −   
 NaOCl
  −   
 NaOCl
  −   
 NaOCl
      培地の食塩 %    
0.5
10
0.5
10
0.5
10
0.5
10
0.5
10
0.5
10

 

 

 

Micrococcus    
Corynebacterium
Achromobacter  
Flavobacterium 
Leuconostoc    
Mold           
  合       計    
 5 
 1 
 1 
 0 
 0 
 0 
 7 
 0
 0
 1
 0
 0
 0
 1
 4 
 3 
 0 
 0 
 0 
 0 
 7 
 0
 6
 1
 0
 0
 0
 7
 3 
 0 
 1 
 0 
 1 
 0 
 5 
 3
 3
 1
 1
 0
 0
 8
 2 
 0 
 2 
 0 
 0 
 2 
 6 
 2
 0
 5
 0
 0
 0
 7
 2 
 3 
 1 
 0 
 0 
 1 
 7 
 6
 0
 1
 0
 0
 0
 7
 1 
 1 
 4 
 0 
 0 
 0 
 6 
 0
 5
 1
 0
 0
 0
 6



図2 照射線量と保存性



図3 照射線量とパネル評点との関係



図4 γ線の照射処理(0、0.25、0.50、0.75、1.0Mrad)したウインナーソーセージの官能項目別の評価



図5 照射線量と保存性(10℃)



図6 照射線量と保存性(20℃)



図7 保存中の増菌(10℃)



図8 保存中の増菌(20℃)



図9 ソーセージ表面pHの変化(10℃)



図10 ソーセージ表面pHの変化(20℃)



図11 保存中のVB−N(10℃)



図12 保存中のVB−N(20℃)



図13 保存中のTBA価(10℃)



図14 保存中のTBA価(20℃)



図15 殺菌処理後の羊腸の強度


4. 結  論

 ウインナーソーセージのγ線処理は、線量としては0.5Mradが適正で、10℃以下に冷蔵することにより、きわめて効果的に保存性を高めることが認められた。

 すなわち、照射直後の生菌数は10・E(3)/g以下になり、生き残る菌種は限定され、floraも単純となり、無照射に対して保存期間(ネト発生までの期間)を2〜3倍延長することが出来た。

 0.5Mrad照射後3日目までは、色沢の劣化がみられないが、咀しゃく時およびのど越し時に、微かに照射臭が認められた。

 しかし、7日目ぐらいになると、照射ソーセージは退色を示し、色沢の劣化が認められたが、照射臭は少なくなり、注意しないとわからない程度であった。またこの間、外観、肉質には変化がみられなかった。




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