ボツリヌスE型菌芽胞の放射線抵抗性に及ぼす諸因子の影響をしらべ、次の結果を得た。
(1)芽胞の蒸留水懸濁液について、照射温度の影響をみると、0〜20℃では抵抗性にあまり差は認められないが、20〜50℃では、温度の上昇とともに、その若干の増加が認められ、保護効果のあることがわかった。また−10℃以下の凍結温度では、再び抵抗性の増加が認められた。そして抵抗性の極小点は、0℃の附近にあるようである。
(2)芽胞懸濁液の影響では、有機または無機倍地は、蒸溜水に比較してやゝ保護効果のあることがわかった。
(3)照射後の培養温度の影響をみると、10℃及び20℃では30℃に比較してかなり抵抗性の減少が認められた。
(4)北海道地方において、これまでに分離されたボツリヌスE型菌の全14株の芽胞について、一定条件の下で照射してその放射線抵抗性をしらべたところ、D値の平均値は0.138Mrad,最低値は0.103Mrad、最高値は0.174Mradであった。
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