風味が重視されるそば、及びその主原料であるソバ粉に対しては、通常の加熱殺菌は適用し難い。また一般に、小麦粉などに比べてソバ粉の付着菌数は桁違いに多い。そこで、われわれは実用的な見地から、そば、ソバ粉、ないしはそば種実(通称、玄そば)の非加熱的殺菌手段としてガンマ線照射を取り上げ、その効果ないしは得失を検討することとした。予備的試験段階ではあるが、ソバ粉等に対するガンマ線照射の有用性が認められたので、その基礎的知見を報告する。
実験(照射)材料
そば種実(玄そば)
カナダ産玄そば(千粒重:33.5g),40Kg麻袋入り(信陽食品、扱)。照射の際は、約5Kgまたは10Kgづつポリエチレン袋に小別けした。
ソバ粉(Table1 参照)
R:ふつうの「信州そば」用ソバ粉(信陽食品そば製粉工場製)。
A:信陽食品そば工場製の一番粉(中国産玄そば)
B:同上の甘皮部の粉。
C:南沢そば製粉工場製の上質ソバ粉(国内産玄そば)。
ソバ粉Rは1Kgを薄手ポリエチレン袋に詰めて照射した。ソバ粉A,B及びCは、各150gをポリエチレン小袋に収納し、さらにK−ナイロン袋に密封したものを照射した。
半生そば(市販用)
長野市内、Yそば工場製、フィルム包装の半生そば(水分、約28%)。
この種類の通常製品は、保存性向上のため、加水量を少なくし、小量のプロピレングリコール、及びエチルアルコールを添加し、袋詰め後、約1時間、常圧で蒸気殺菌を施す。
本実験材料としては、非蒸気殺菌の半製品(100g詰め)を用い、製造直後から照射直前に至るまで、氷蔵、運搬した。また、照射後も同様の状態に保って運搬(高崎−長野)した。本実験に限り、フィルム包装材は、K−ナイロン袋を用いた。
Compositional characteristics of buckwheat flours for irradiation |
|
For Irradiation Test−1 |
For Irradiation Test−2 |
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R |
A |
B |
C |
|
Moisture(%) Ash (%) Protein (%) WSP(mg.Tyr./g) |
15.1 2.0 11.9 6.75 |
14.8 0.5 5.3 2.23 |
12.5 3.9 21.6 17.22 |
14.0 1.3 10.0 5.32 |
R:Common grade BW flour for‘soba’noodle; a commercial product of S milling factory. A:BW flour mostly comes from inner part of BW seeds.(Imported from China and milled at S factory.) B:BW flour mostly comes from outside layer of BW seeds.(of the same origin to A). C:Superior grade BW flour for‘soba’noodle,processed from the domestic grains; a commercial product of M milling factory. WSP:Water soluble proteins |
照射方向に対する層の厚み(容器内法)10cmの照射専用・厚紙箱に実験材料を収納して照射した。
Co−60線源(1.66×10・E(5)curie)から被照射試料までの距離により、0.05ないし1Mradのガンマ線照射線量を設定した。なお照射位置の線量率は、予かじめFricke鉄線量計で測定しておいた。照射時間はすべて1時間とし、照射途中30分後に各試料を線源に対して反転させ、所定線量の均整化を図った。ただし、1Mrad照射試料については0.5Mrad照射試料と同一配置とし、照射時間を2時間にした。
照射試験−1 昭和60年4月
照射試験−2 昭和60年7月
照射試験−1の玄そばについてだけ、Fig.1手順、操作によった。すなわち、製粉に当っては、まずグライダー型磨砕機(マスコロイダー,MKZA6−2型:増幸産業)を利用して脱皮した。次いで、研究用卓上製粉機(Quadrimat Junior:西独、Brabender社)を利用して製粉した。そば製粉工場の場合と違って、このような試験製粉(ソバ粉)の収率は非常に低率であるが、1Kg程度の玄そばを処理する便法として採用した。
そばの製造に当っては、ソバ粉と「つなぎ用」小麦粉とを同量混合し、小型ミキサー(米国、Kenwood社)を用いて加水、混捏した。次いで、小型家庭用製麺機(手廻し型:小野麺機)を使ってそばに加工した。
照射試験−2の玄そばについては、そば製粉工場(信陽食品)において、常法により、製粉した。
Flow of experimentally milling and ’soba’ noodle proces− sing for the irradiated grains with hulls,in Irradiation Test−1. Irradiated Buckwheat Grains : ca. 1 Kg ────────────┬────────────── │ Dehulling : Masuko Grinder │ ┌───────────┴──────────────┐ │ │ Residual Grains Dehulled Grains ──────┬──────── yield : ca. 30 % │ Milling : Brabender Experimental Mill │ ┌──────────────────────────┤ │ │ Unrefined flour Fine BW Flour and crushed hull ──────┬────── yield : ca. 20 % │ │100g │ 100g │ 70ml Wheat Flour for ─────── ─────── Water combining Mixing & kneading : Kenwood−1 Blender │ 9 min │ Processing of ’Soba’ Noodle : ONO Manual Pressing Roller of Noodle Process │ │ Fresh−style ’Soba’ Noodle ───────┬───────────────── │ Cooking in Boiling Water : 1.5 min. │ │ Cooling in Water & Drain off │ │ Common Type of ’Soba’ Noodle Dish ───────┬───────────────────────── │ For Eating Test (Organoleptical Test with No Seasoning Additive) |
ソバ粉成分(水分、灰分、タンパク質)の化学分析は、常法によった。ここで、水溶性タンパク質(WSP)は、試料1g当りのチロシン当量(mg)として表わした〔1〕。WSPは、ソバ粉の一つの特徴的化学成分である。
ソバ粉脂質の酸価及び過酸化物価は、エーテル抽出油分について常法により分析した。
ブラベンダー・ビスコグラフの測定は、9.%濃度(絶乾物基準)に調製した水けんだく液500gを測定液として、700cmgのメジャリングボックスを用いて実施した〔2〕。
一般生菌数:普通寒天培地(栄研化学)を使用し、30℃、72時間培養した。
耐熱性細菌数:約10mlのソバ粉・水希釈液を入れた試験管を、沸騰水浴中で10分間加熱した。次いで、一般生菌数の場合と同様の条件で平板培養した。
長野県乾そば品評会における食味審査と同要領により、適条件でゆでたそばを、つゆなしで食味試験した。この場合、試験場職員4名(男子)の合議の評価とした〔4〕。
初回の照射試験(昭和60年4月)において、玄そばの一般生菌数は0.5Mrad照射により、非照射玄そば菌数の4/10・E(4)に減少した(Table2)。
照射試験−2(60年7月)においては、玄そばの菌数は、同線量によりFig.2のように激減した。この場合は、初発菌数の8/10・E(6)に低下したことになる。
ソバ粉A,B及びCに対するガンマ線の殺菌効果は、一般生菌数についてFig.3のようであった。すなわち、1g当りの初発菌数2.6×10・E(5)〜9.4×10・E(5)個の3種類のソバ粉について、0.5Mradまでの照射線量範囲において、線量に対応して菌数は対数グラフ上、直線的に低下した。非照射に比べて0.5Mrad照射したものの菌数は7.7/10・E(6)〜39/10・E(6)に低下した。換言すると、菌数を90%減少せしめるに要した線量(Dn値と仮称)は、0.095〜0.115Mrad、大略0.1Mradであった。
そして、0.5〜1Mrad線量域では、線量・残存菌数(対数値)関係曲線は、いわゆるテーリング傾向を示した。すなわち、この線量域、もしくは菌数域(10〜10・E(2)個/g)においては、Dn値は大略0.4Mradであった。
Table3は、3種類のソバ粉の耐熱性細菌数に及ぼすガンマ線照射の効果を示す。この場合は、一例として0.1Mrad線量で、菌数は10〜1×10・E(2)個/gの範囲に低下した。
工場製「半生そば」に及ぼすガンマ線の殺菌効果はFig.4のようであった。すなわち、一般生菌数は非照射の1.2×10・E(4)個/gから2.0×10・E(2)個/g(0.5Mrad)に低下した。
Effect of irradiation to inactivate microorganisms (Standard plate count) in buckwheat grains with hulls* and buckwheat flour−R**,in Irradiation Test 1. |
BW Grains with hulls* |
BW Flour(R)** |
||
non−irradiation |
0.5 Mrad |
non−irradiation |
0.5 Mrad |
2.1×10・E(5) |
4.9×10・E(3) |
5.0×10・E(4) |
3.2×10・E(2) |
* Grains imported form Canada. ** See Table1. |
Decreases of heat resistant microorganisms(count/g) on buckwheat flours*,by gamma irradiation. |
BW flour |
Radiation dose(Mrad) |
||||
0 |
0.05 |
0.1 |
0.2 |
0.5 |
|
A B C |
9×10 3.1×10・E(2) 5.9×10・E(2) |
3×10 1.2×10・E(2) 5×10 |
10 1.0×10・E(2) 6×10 |
<10 3×10 <10 |
<10 <10 <10 |
* See Talbe1. |
初回の照射試験において、照射玄そばに異臭は認められなかった。この照射玄そばから試験製粉したソバ粉(Fig.1)は、むしろソバの芳香が増加したと感知された。そして、この粉を用いて生そばに加工し、ゆでたもの(Fig.1)の風味も、「対照より良い」と評価された。(Table4)。
テクスチャー(温度や「痛い」等の感覚は除外した。口腔内の一切の物理的感覚)〔5〕については、ビスコグラフ粘度からの推測と違って、対照との差異は認められなかった。
なお、この食味試験に供したそば(いわゆる「ざるそば」に相当する)の残品を、試みに大皿に載せ、乾き防止の意味でドンブリをかぶせて室温放置した。日中20℃を超す気温の高い時期であったが、2昼夜後、試製そばについては全く変質が認められなかった。対照品は明らかに変敗し、食用とはならなかった。
しかしながら、ソバ粉の状態で照射したものについては、照射翌日の時点で、粉のフレーバー(香/臭)として、わずかな異臭を感ずることもあった。この照射ソバ粉のフレーバーに関する官能評価については、一種のオフ・フレーバー(照射臭)と感知する者と、普通粉とやゝ異る香りだが、オフ・フレーバーとは認めない者との個人差があった。
なお照射試験−1におけるソバ粉Rの脂質については、評価(16.3→16.5)や過酸化物価(5.8→7.2)が、照射によって、とりわけ増加した、というほどのことはなかった。
Flow of experimentally milling and ’soba’ noodle proces− sing for the irradiated grains with hulls,in Irradiation Test−1. Irradiated Buckwheat Grains : ca. 1 Kg ────────────┬────────────── │ Dehulling : Masuko Grinder │ ┌───────────┴──────────────┐ │ │ Residual Grains Dehulled Grains ──────┬──────── yield : ca. 30 % │ Milling : Brabender Experimental Mill │ ┌──────────────────────────┤ │ │ Unrefined flour Fine BW Flour and crushed hull ──────┬────── yield : ca. 20 % │ │100g │ 100g │ 70ml Wheat Flour for ─────── ─────── Water combining Mixing & kneading : Kenwood−1 Blender │ 9 min │ Processing of ’Soba’ Noodle : ONO Manual Pressing Roller of Noodle Process │ │ Fresh−style ’Soba’ Noodle ───────┬───────────────── │ Cooking in Boiling Water : 1.5 min. │ │ Cooling in Water & Drain off │ │ Common Type of ’Soba’ Noodle Dish ───────┬───────────────────────── │ For Eating Test (Organoleptical Test with No Seasoning Additive) |
Sensory evaluation of experimentally processed ‘soba’ noodles. |
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Raw Material Buckwheat |
|
Control (non−irradiation) |
* BW Flour With Irradiation History |
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Taste Flavor Texture Color Total Sensory Evaluation |
normal normal normal normal normal |
sweet and tasty more‘soba’−like flavor normal slightly darkened better(worthier to be ‘soba’) |
* The BW flour itself which was experimentally processed from the irradiated grains with hulls(in Irradiation Test−1)had more preferable flavor than control did.(See Fig.1). |
生の状態、及びゆでた状態で、照射半生そば(工場製)の食味が、とくに対照(非照射品)と差別(忌避)されることはなかった。また、対照より優るとも判定されなかった。ただし、テクスチャーについては、0.1〜0.5Mrad照射品が、いく分か劣ると思われた。照射品は、俗に言う「腰抜け」のテクスチャーで、軟かく、かつ粘着する傾向を示した。
一例だけであるが、ガンマ線(0.5Mrad)を照射したソバ粉Rのビスコグラフ粘度は明らかに低下した(Fig.5)。
このビスコグラフ粘度の解釈の仕方については、考察において述べる。〔2,6〕
ソバ粉の原料となる玄そば(種実)、あるいはソバ粉を原材料の一つとして加工した半生そばも、ソバ粉それ自体と同様にガンマ線照射によって有効に殺菌されることがわかった。
Fig.2〜Fig.4を総括して、一般生菌数は0.5Mradの線量以下で、1g当り1×10・E(2)個以下に低減し、そばの保存性向上の目的に充分かなう、と考えられる。この0.5Mradという線量は、従来、食品照射一般について知られている知見の範疇にあり、著者の一人、伊藤の予見と違はなかった。〔7〕
玄そばについて、初回の照射と2回目の照射とで一般生菌数の低下水準が異なったが、その理由は現段階において説明し難い。照射後、細菌検査に至るまでの試料の保存条件に違いがあったかもしれない。
耐熱性細菌、カビ、あるいは特定細菌、等については、今後の研究にゆずりたい。
全般に、ソバ粉、あるいはそばのフレーバーが、ガンマ線照射によって決定的に損ねられる、ということは認められなかった。オゾン殺菌(処理)に伴なうオゾン臭のような強烈で持続性の異臭はなかった。
初回の一例ではあるが、玄そばに照射した場合、反って芳香が増強されたことは興味深い事実である。これは、そば種実の酵素活性などと関連して、今後、大いに検討すべき課題の一つとしたい。
なお、(同線量水準における殺菌効果がガンマ線と同じとみなされている)電子線を照射した場合には、フレーバーについて如何なる影響差が現れるかについても、後日の課題としたい。
ソバ粉のビスコグラフ粘度は照射により明らかに低下した。それにもかかわらず、照射歴のある原料ソバ粉から通常のそばを加工し得た。このことは、ソバ粉の量的な主成分であるデンプン質の粘度だけによってそばの加工性を判断してはならないことを例示している。〔6〕すなわち、Fig.5に例示されるビスコグラフ粘度と、ソバ粉(そば)の加工性との関係は一義的でない。
ちなみに、ビスコグラフ測定において、通常、穀粉類は10%濃度前後の水けんだく液として評価される。これに対して、そばの混捏時の加水量は、粉100量に対して、おおよそ25〜40量で〔6〕)粉と水との量比、従ってソバ粉の物理的状態も、かなり相違する。なお、照射ソバ粉のビスコグラフ粘度に関する詳細な測定は、次報にゆずる。
殺菌効果から判断すると、玄そばとソバ粉とは、照射によって同等の影響を受けたと思われるが、いわゆる殻つき状態の種実にあっては、デンプン質の低分子化が抑制されていたことも考え得る。しかし、その後、照射粉を用いてそばを製造した際に、格別の不都合を認めなかったことから、上記の推定要因は、たとえ、あり得たとしても大きな要因とは考え難い。
工場製半生そばは照射によってテクスチャーが低下した。その一因は、そばのいま一つの構成成分である小麦粉に与えられた照射に影響が関与していた、と考えられる。
そばのテクスチャーは、ソバ粉及び小麦粉以外の副材料によっても改質できる。それゆえ、起り得るフレーバーの変化や、デンプン質粘度の低下を抑制し、かつ一定の殺菌効果を目ざす場合、このようなことも考慮して実用的な照射方法を工夫すべきであろう。
そばの保存性確保のためにガンマ線照射が有効なこと、そして玄そば、ソバ粉、フィルム包装半生そばのどの段階で照射しても良いことがわかった。原料(玄そば)から最終製品に至る過程のどの段階で照射するのが最得策かは、今後の蓄積データにまたなければならない。それぞれの段階で一長一短が考えられる。たとえば、玄そばの段階で照射するならば、初期段階で微生物を抑制することになり、その意味では好ましい処理対策である。しかし、輸送、貯蔵、製粉、とくに現状のそば製粉工場の環境条件を考えると、初期段階の殺菌処理が無意味な技術的措置になりかねない。
そのいっぽう、現在、わが国内で消費される玄そばの約70%は輸入品であり、カナダ産が有力海外原料の一つである。原料の選別も比較的良好とみられている。そこで、コバルト60線源と玄そばの両方の生産国であるカナダにおいてガンマ線照射の実用化試験を試みることも、大いに検討すベき一策と考えられる。Fig.6に、照射を適用し得る段階を模式的に示した。
ところで、そばは元来、生鮮食品として扱うべき加工食品と思われる。現在、国内各所に出廻っているみやげ用品や、スーパー市販品の大部分は、実はその名に値しない。
これらの事情を考慮すれば、そばの場合、缶詰食品のような殺菌水準を採る必要はない。たとえば1週間ないしは2週間の保存期間が確実に保証できれば充分と考えられる。従って、いわゆる“12−D concept”〔8〕〔10〕のような完全殺菌を目的とするよりも、保蔵性向上、及び衛生化を目的として、今後の研究を積み重ねていくべきであろう。
最終的にはそばの保存性向上の目的で、玄そば(そば種実)、ソバ粉(Table1)、及び工場製半生そばにガンマ線を照射し(Fig.6)、殺菌効果、並びにフレーバーとテクスチャーに及ぼす影響の概要を検討し、次の結果を得た。
1.0.5Mrad以下の線量で、いずれの試料も一般生菌数を1g当り1×10・E(2)個以下に低減できた。
ソバ粉A,B及びCの場合、0.05〜0.5Mrad線量域で、一般生菌数を90%減少せしめるに要した線量は大略0.1Mradであった。また、これらのソバ粉(A,B及びC)の耐熱性細菌は、0.2ないし0.5Mrad照射により、1g当り10個未満に低下した。2.照射によって、ソバ粉のフレーバーは必ずしも低下せず、一例ではあるが芳香が増強された場合があった。ただし、その一例は、玄そばの段階で0.5Mrad照射されたものを実験用製粉機で粉砕して得たソバ粉に限られた。
フィルム包装の半生そばに照射した場合、異臭は認められなかった。
3.照射ソバ粉のビスコグラフ粘度は低下した。
しかし、照射によってそばの加工性が失われるということはなかった。フィルム包装の半生そば(工場製品)は、照射によってテクスチャーが低下した。
4.以上のことを総合して、ガンマ線照射は、ソバ粉の殺菌、又は玄そば、もしくはそば(生そば)の殺菌手段として実用性があると認められた。
なお、産業的な使用段階の選択についても、若干の考察を付記した。
Compositional characteristics of buckwheat flours for irradiation |
|
For Irradiation Test−1 |
For Irradiation Test−2 |
||
R |
A |
B |
C |
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Moisture(%) Ash (%) Protein (%) WSP(mg.Tyr./g) |
15.1 2.0 11.9 6.75 |
14.8 0.5 5.3 2.23 |
12.5 3.9 21.6 17.22 |
14.0 1.3 10.0 5.32 |
R:Common grade BW flour for‘soba’noodle; a commercial product of S milling factory. A:BW flour mostly comes from inner part of BW seeds.(Imported from China and milled at S factory.) B:BW flour mostly comes from outside layer of BW seeds.(of the same origin to A). C:Superior grade BW flour for‘soba’noodle,processed from the domestic grains; a commercial product of M milling factory. WSP:Water soluble proteins |
本研究の実施について、温かいご理解とご指導を賜った日本原子力研究所高崎研究所長 武久正昭博士、同所開発部長 田村直幸博士、ほか関係所員に深甚の謝意を表する。
また、本研究の意義を理解し、支援された長野県下の「そば工業技術研究会」会員諸氏にも謝意を表する。
この報告の要旨は、第21回日本食品照射研究協議会大会(1985)において発表した。
〔1〕松橋鉄治郎・島田俊夫・酒井武一・黒河内邦夫:長野県食工試研報,
4,109(1976)。
〔1−6〕黒河内邦夫・松橋鉄治郎:同上,4,114(1976)。
〔2〕松橋鉄治郎・黒河内邦夫・小原忠彦・近藤君夫・大日方洋・
坂上孝彦:同上,12,138(1984)。
〔3〕食品衛生検査指針−1,第4版(日本食品衛生協会,1973),
P.103。
〔4〕Civille,G.V.and Szczesniak,A.S.
:J.Texture Studies,4(2),204
(1973)。
〔5〕松橋鉄治郎:食品工業(光琳),14(10),17(1971)。
〔6〕松橋鉄治郎・小原忠彦・村松信之・大日方洋・黒河内邦夫
:ニューフード・インダストリー,27(5),27(1985)。
〔7〕伊藤 均:包装技術,20(2),75(1982)。
〔8〕Ross,E.W.:J.Food Sci.,39(4),800
(1974)。
〔9〕Rowley,D.B.and Brynjolfsson,A.
:Food Technol.,34(10),75(1980)。
〔10〕Thayer,D.W.,Lachica,R.V.,
Huhtanen,C.N.and Wierbicki,E.
:Food Technol.,40(4),159.
(1986)。
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